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【前編】社員の知識やスキルに拠らず、パーソルテンプスタッフの顧客体験を高められる仕組みづくりを  

今回は、人材派遣・アウトソーシング事業を手がけるパーソルテンプスタッフで、DX推進本部 本部長としてテクノロジー活用をリードする漆原にインタビュー。パーソルテンプスタッフにおけるDX推進の取り組みと、その先で目指す世界観について聞きました。  

後編はこちら→【後編】パーソルテンプスタッフが目指す、“クライアント企業ごとにパーソナライズした価値をご提供できる世界”

“人に寄り添う”領域で自身の経験を活かし、お客さまや社会に貢献したい 

―前半は、漆原さんがDX推進本部 本部長の役割を担われるに至った背景にフォーカスしてお話を伺います。まずはこれまでのご経歴からお聞かせいただけますか。 

新卒で入社した電気機器メーカーで、営業職としてセンサーや測定器などの販売を5年ほど経験した後、1998年にパーソルテンプスタッフに転職して今に至ります。 

―前職からのキャリアチェンジを考えられたのはなぜですか? 

営業職として質の高い製品を販売することでお客さまに価値をご提供できる一方、お客さまが技術的な面でお困りの際に、文系出身の私ではできることに限りがあると感じたことが転職を考えたきっかけです。一から技術を学んで顧客対応に活かす選択肢もありましたが、より自分がお客さまの役に立てる場所は、と考えて新たな道に進むことを決めました。 

―転職先としてHR業界、中でもパーソルテンプスタッフを選ばれたのはなぜですか? 

前職の営業所で、人材派遣サービスを利用して就業されている方と一緒にはたらいたことが大きかったと思います。その方のスキルや一生懸命にはたらく姿、さらにその方をバックアップする営業担当者の存在を見て、「このサービスは何だ」と衝撃を受けたことを覚えています。 

そこから人材派遣について調べていく中で、パーソルテンプスタッフが新たにパートタイム型派遣を手がける会社を設立すると知って。育児や介護などで思うようにはたらけない方々を支援するという考えに共感するとともに、ここでなら自分の経験やスキルを活かして社会に貢献できるのではないかと感じ、入社を決めました。 

―パーソルテンプスタッフでは、どのような経験をされてきたのでしょうか。 

入社と同時に新会社に出向してワークシェアリングサービスに携わった後、転籍と吸収合併を経てパーソルテンプスタッフに戻ることになりました。その後は、メイン事業である人材派遣サービスにおける営業組織のマネジメントや立ち上げなどを経験しています。 

テクノロジーを活用して “誰もがお客さまに寄り添い、質の高いサービスを提供できる仕組み” をつくる  

―改めて、現在の役割についてお聞かせください。 

現在は、パーソルテンプスタッフにおけるDX推進を担う組織の本部長として、 

  • クライアント企業向けのDX推進を担う「クライアントDX推進部」 
  • 社員向けのDX推進を担う「マネジメントDX推進部」 
  • 新たなテクノロジーの社内展開やDX推進本部内における人材育成などを担う「DX横断企画室」 

の2部1室を率いています。 

―どのように「DX推進」を行っていくのか、漆原さんが今描いているコンセプトや目指す世界観について教えてください。 

パーソルテンプスタッフの価値提供の源泉は“人”であり、人の誠実さや一生懸命さをご評価いただきながら、これまで事業を展開してきました。クライアント企業や派遣スタッフに寄り添う姿勢や思いは、私たちの中にしっかりと根付いていると言えます。 

しかしクライアント企業にご提供するサービスの質は、そういった姿勢や思いだけで決まるものではありません。現時点では、一人ひとりの社員が持つ知識や経験の違いによって、サービスの質に差が生じてしまっていると捉えています。 

そこで今後は、サービスの質の“標準化”に挑戦して現状を変えていきたいなと。そしてそのために、テクノロジーを活用して、“誰もが一定以上のパフォーマンスを発揮できる仕組み”をつくっていきたいと考えています。 

―その実現に向け、具体的にどのような取り組みを行うのでしょうか。 

現在、クライアント企業向け・派遣スタッフ向け・社員向けにそれぞれアプリケーションを提供し、活動をサポートするシステムやツールの導入、活動データの収集などを進めてきました。 

今後はこれら3つのアプリケーションを繋ぎ合わせて各システム・ツールを拡張するとともに、インタラクティブなコミュニケーションを生み出していきます。またこれらのシステムを通じて日々の活動の中で収集したデータを分析・活用し、予測やレコメンドといった情報提供を行うことで、社員一人ひとりのスキルに拠らない顧客体験を高める仕組みを築きたいと考えています。 

―特にAI活用に力を入れているとのことですが、どのような活用の仕方を考えていらっしゃいますか? 

「テクノロジー活用によってサービスの質の向上、標準化を図る」という大きな方向性のもと、業務効率・生産性とサービス品質を高めることを目的として、AI技術を活用していきます。 

特に、クライアント企業にご発注いただいてから人選・職場見学・調整を経て契約に至るまでの過程において、一人ひとりの社員による対応のスピードや質の差をAIの力を用いて解消していきたいところです。 

現在は各業務プロセスにおいて「クライント企業のご担当者様や社員がどのような点に困っているのか」を特定し、デジタル化を進めていこうと取り組んでいます。 

―ここまでお聞きしてきたような取り組みを進めるにあたって、パーソルテンプスタッフとパーソルホールディングスで連携を行っていると伺いました。具体的にどのような連携を行っているのでしょうか。 

各ステークホルダー向けのアプリケーションを提供するにあたって、ホールディングスのCoE組織*と連携しながらモノづくりを進めています。 

当社の基幹システムにおいては、法規制への対応をはじめとした、優先度の高い必須の開発項目がずらりと並んでいて。サービス品質を高めるための私たちの取り組みを、こうした“開発リスト”に差し込むことはなかなか難しく、現場の社員のニーズにすぐに対応できないことが一つの課題でした。 

しかしCoE組織のエンジニアの皆さんにより、開発リソースを確保できるようになったほか、「こんなツールをつくってほしい」「この情報を可視化してほしい」といった現場の声に柔軟にに応えられるようになったことがよかったなと思っています。 

また開発を進めるにあたっては、パーソルテンプスタッフ内でも自立してアジャイル開発を進めていけるよう、ホールディングスの皆さんがコーチとして支援してくれています。パーソルテンプスタッフに新たな文化が生まれているという点で、価値の大きな連携だと感じますね。 

* CoE(Center of Excellence)組織:パーソルグループ全体のテクノロジー人材・組織の拡充とともに、事業・サービスでの実装・活用を強化するために組成された組織。2023年4月にパーソルホールディングス内に設置され、グループ各社の技術支援を行っている。 

パーソルテンプスタッフならではの良さを残しながら、テクノロジーの力で社員一人ひとりの頑張りを最大化したい  

―パーソルテンプスタッフにおけるDX推進をリードするという、この役割をどのように受け止めていらっしゃいますか? 

営業の現場を長い間見てきてビジネスや業務を理解していること、その中で「課題は何で、改善のために何ができるか」を考えて問題解決や仕組みづくりに取り組んできたことをふまえ、この役割を任せてもらえたのかなと捉えています。 

デジタイゼーションやデジタライゼーションによる業務改善にとどまらず、その先にある“ビジネス変革”まで意識してテクノロジー活用を推進すること、それによって全社に貢献していくことは、自分にとって大きなやりがいのある役割だと感じます。

―それでは最後に、漆原さんが今後チャレンジしたいこと、取り組みの先で描く世界観についてお聞かせください。 

一生懸命さや誠実さといったテンプスタッフならではの良さを残しながら、社員一人ひとりの頑張りを最大化するためのツールとしてテクノロジーを活用していきたいなと思っています。またその取り組みの過程においては、アジャイル開発の考え方をベースに失敗を学びに変えながら、スピード感を持ってさまざまなことに挑戦し、良いものをウォーターフォール型で開発して全社にも展開する、というサイクルをつくっていきたいと考えています。 

そうして多様な取り組みを進め、顧客体験の向上が実現した先で描くのは、クライアント企業から他社に先駆けてご依頼をいただけるようになること。また派遣スタッフが安心して長くはたらくことができ、新たな仕事を探す際に「またテンプスタッフで仕事を探したい」と思ってもらえるような世界をつくることです。 

さらに各ステークホルダーとのコミュニケーションやデータ収集・活用の基盤をしっかりと築くことで、営業組織としての生産性をさらに高めたり、この基盤を活用して新たなビジネスを展開したりすることにも繋げていければと思います。 

―ありがとうございました!

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=合同会社ヒトグラム
(2024年1月時点の情報です。) 

漆原壮太Sota Urushibara
パーソルテンプスタッフ株式会社
DX推進本部
本部長
1998年9月にテンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)へ入社後、ワークシェアリング型派遣事業を行うグッドジョブ株式会社へ出向。2011年よりテンプスタッフ東日本営業部銀座1課へ異動後、大手顧客を担当する東日本第一営業本部SC営業部を立ち上げ責任者を担当。2021年よりDX推進本部 マネジメントDX推進部へ異動し、2023年より 現職。

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