【後編】R&Dの取り組みで拓く、パーソルグループの未来と新しい“人材サービス”の可能性
パーソルグループはグループビジョンの実現に向けて進むべき方向性を「テクノロジードリブンの人材サービス企業」と定め、テクノロジーの活用によってサービスの価値を高めるとともに、“新たな価値の創造”を目指す戦略を掲げています。
今回は、この新たな価値の創造を見据えたテクノロジードリブンでの探索・検証の取り組みをテーマに、パーソルホールディングス グループデジタル変革推進本部 本部長の朝比奈に話を聞きました。
【前編】はこちら→テクノロジードリブンの“人材サービス企業”への進化に向けて―パーソルグループのシステムの今とこれから
テクノロジーの力を活かした新価値創造を目指す、未来を見据えた取り組み
―まずは、グループ中期経営計画2026をふまえて、パーソルグループのR&D領域における取り組みについて概要をお聞かせください。
パーソルグループはグループ中期経営計画2026において、中長期的にテクノロジーの導入・活用強化に注力し「テクノロジードリブンの人材サービス企業」へと進化することを掲げました。そしてその実現に向けて進める取り組みとして、4つの領域を定義しています。
そのうちの一つが「新たな価値の創造」です。テクノロジーの力を使って既存のビジネスを磨くだけでなく、パーソルグループとして今はまだご提供できていない新たな価値をつくり出すことを目指し、グループにとって相性の良いテクノロジーを探索し、そのノウハウや成果をグループ内事業に展開する取り組みを進めていこうと考えています。
―R&Dの領域において、グループデジタル変革推進本部はどのような役割を担われるのでしょうか。
まずは各個社が挑戦したいと考えている取り組みについて、それぞれのシステム担当者やBITA組織(ビジネス・データ・アプリケーション・インフラの各領域におけるITの専門性を有するシステム部門)と連携しながら支援していきます。
各個社には事業会社としての事業に対する責任があり、そのためにテクノロジー活用のチャンスを前に思い切った投資を行うのが難しい側面もありますから、私たちが横串を通し、各個社がテクノロジーを最大限活用し切れるよう後押ししていきたいところです。
また各個社、各事業における取り組みだけでなく、“パーソルグループ×〇〇”で価値を生み出す可能性についても、さまざまな領域で探索していければと思っています。
―R&D領域において、特にどのような点に力を入れていこうとお考えですか?
テーマとしては、“AIとデータの活用”です。
グループ全体で、事業変革、業務活用、共通利用の3つの段階に分けてAI技術の利活用を推進していく構想です。
中でも「生成系AI」は確実に取り組み、加速させるべきものと考えており、2023年7月にはグループデジタル変革推進本部内に「Generative AI Hub室」という組織を立ち上げました。この組織を起点として全社に横串を通し、取り組みを展開していきたいと考えています。
―具体的に想定されている、または始動された取り組みがあれば教えてください。
第1弾の取り組みとして、パーソル版社内GPT「PERSOL Chat Assistant」を内製で構築しました。6月よりテクノロジー組織を中心に試用を重ね、国内全社への展開を開始したところです。
また他にも、顧客体験を向上させ、はたらくことを通じてその人自身が感じる幸せ“はたらくWell-being”を高めることを見据えて、各事業でテーマの具体化が進んでいます。
従来の“人材サービス”の枠や常識を取り払い、その新しい可能性をお見せしたい
―R&D領域における積極的な取り組みは、パーソルグループにどのようなものをもたらすと思われますか? 現段階で描かれている将来像をお聞かせください。
R&D領域の取り組みによってテクノロジーの導入・強化が進んだ先では、パーソル独自のデータベースを活用した新たな価値創造を目指します。
これらが進むことで、幅広い領域のデータの活用や利用サービスの連携、さまざまな外部パートナーのみなさまとの協創が可能になり、より一人ひとりのお客さまに合った体験価値と、多様な“はたらく”の考え方や選択肢をご提供できるようになると見据えています。
「はたらいて、笑おう。」を実現できる社会を目指して、パーソルグループがお届けする、“今までにない人材サービス”のあり方にご期待いただければ幸いです。
―そのような未来の実現に向け、グループデジタル変革推進本部としてどのように取り組みを牽引されるか、今後に向けた思いをお聞かせください。
テクノロジーの力を使ったビジネスや業務の変革を目指すにあたっては、ゴールを描くこと自体難しいですし、ましてや進め方も未知なものばかりです。
だからこそ私たちグループデジタル変革推進本部は、新しいはたらき方を志向し、自分たち自身が実験台になって挑戦し、うまくいかない部分は柔軟に変化させながら価値をつくっていく、そんな“アジャイル”なマインドセットを大切にしていきたいと思っています。
またそうして自分たち自身のはたらき方を変えながら挑戦を繰り返す中で、優秀なグループ社員のみなさんが安心して挑戦できる場をつくり、「一緒に挑戦しようよ」と一人ひとりをエンカレッジできるような組織であれたらと思います。
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈)
(2023年8月時点の情報です。)
- 朝比奈ゆり子Yuriko Asahina
- パーソルホールディングス株式会社
グループデジタル変革推進本部
本部長 - 外資系プロジェクトマネジメントソリューションベンダーにて、製品開発、マーケティング、経理などを幅広く担当。外資系ITセキュリティ会社2社でのCorporate IT部門長を経て、2014年、パーソルキャリア入社。アルバイトサービス「an」のIT責任者に就任。2018年、パーソルホールディングスへ転籍し、新規事業創造・オープンイノベーション推進を担う新会社パーソルイノベーションの法人設立に従事。
2020年、パーソルホールディングス グループデジタル変革推進本部 ビジネスITアーキテクト部 部長としてコーポレートIT部門の組織変革を推進。2021年より現職。