PERSON
エンジニアからマネジメントの道へ―「とりあえずやってみる」から創り上げる、私らしいキャリア
テクノロジードリブンの人材サービス企業を目指す、パーソルグループ。同じ志をもつテクノロジー人材が次々とジョインしています。
今回は、未経験から転職をきっかけにセキュリティ領域へチャレンジし、その後専門性を磨きながらキャリアを築いてきた山田に、これまでの歩みやセキュリティ領域の業務の魅力について聞きました。
新卒では物流・倉庫事業を展開する会社に入社しました。就職活動をしているなかで、会社が将来的に上場を目指していると知り、会社の将来性に可能性を感じたことが入社の大きな理由のひとつです。また、人事担当者の誠実な人柄にも惹かれ、「ここではたらきたい」と思い入社を決めました。
大学では法律を学んでいたため、当初は法務部での仕事を希望していました。しかし新卒から法務部に配属されることは少なく、まずは現場で経験を積んでから法務の仕事に挑戦できる環境を目指していました。
入社後は営業事務に配属されました。その後、内部統制部門でIT統制業務を担当することになり、これがセキュリティとの出会いでした。
会社の成長・変化が著しかったこともあり、最終的に総務部へと異動し、約4年半の間にさまざまな部署で経験を積むことができました。
はい。内部統制課では「会社の業務が法令や社内ルールに従って適切に行われているか」「経費や売上の記録が正しいか」をチェックする内部監査に近い業務を担当していました。そのなかで「IT統制」という業務に触れ、セキュリティという概念を初めて知ったんです。
ITの世界にも守るべきルールがあり、会社運営の「守り」の機能があることを実感しました。自分が大学で勉強してきた法律とは分野が違いますが、共通する部分もあり、当時の私にとって未知の世界だったITの仕事に強く興味を持つきっかけとなりました。
パーソルグループには「キャリアチャレンジ*1」という制度があり、多くのグループ会社も存在するため、さまざまなことに挑戦できる環境が整っています。私はセキュリティ業務により深く挑戦したくて転職活動をしていたのですが、将来もし別分野でスキルアップしたいと思った時にも、自ら手を挙げて挑戦できる環境――。そうした柔軟性のある制度に魅力を感じました。
また偶然なのですが、転職活動ではグループ会社のパーソルキャリアが運営するdodaを利用していました。その際、キャリアアドバイザーの方との面談を通じて、パーソルグループの方々と関わる機会が何度かあったのですが、皆さんがとても良い方で「この人たちとはたらきたい」と素直に思えたことが最終的な決め手になりました。
*1 キャリアチャレンジ制度:グループ全社の社員を対象にした、グループ会社間での公募型異動制度
入社後、組織的・人的・物理的なセキュリティの企画・運用を担当する「情報管理室」に配属されました。
私が入社した2017年の前年は、「PERSOL(パーソル)」というグループブランドが誕生した年で、人と組織にかかわる多様なサービスを展開してきたグループ会社が集結しました。まずはパーソルホールディングスが各社の情報を把握し、管理体制を整える必要があり、私はそのプロジェクトの一員として、情報の集約や台帳作成、確認といった基本となる業務からスタートしました。
はい。怒涛の日々でしたね(笑)。周囲は他社で経験を積んだ優秀な方ばかりで、私だけが未経験。何をすべきか分からない状態で不安や葛藤もありました。ただ、会社も新体制で前に進もうとしている状況でしたし、私も早く情報管理室やプロジェクトメンバーに貢献したいという気持ちがあったので、とにかく目の前のことに必死で取り組んでいきましたね。
「できることは全部やった」ということに尽きます。
前職では少しセキュリティに関わった程度だったので、セキュリティを学ぶには何から始めれば良いのかもわからない状態でした。そこから専門書籍などから独学で学び、セキュリティだけでなく個人情報保護の資格も取得しました。実務は周囲の詳しい方に教えてもらい、上司の方にもサポートしていただいて、本当に少しずつスキルアップすることができたと思います。
実際にやってみて感じたことでもあるのですが、正直に言うと、大変だと思うことの方が多く、自分には向いていないのではないか悩んだこともありました。それでも「与えられたミッションを一つひとつ丁寧にクリアし、最後まで必ずやり切る」という気持ちを強く持っていたことと、上司をはじめとした周りの方たちに支えられたことが大きかったですね。
表立って目立つ仕事ではありませんが、会社の社会的な信用・信頼を守っているところに魅力を感じています。もちろん事業の成長には営業や開発などのフロント業務が必要ですが、組織が法令やルール、時代と共に変わる社会の規範から逸脱しない「守り」の役割も不可欠です。
情報資産の漏えいは、企業活動に深刻な影響を与える可能性があります。セキュリティ業務は会社のあらゆる部門に関わり、グループ全体のブランド価値や理念を守る使命も担っています。私は、セキュリティ対策こそが事業リスクを軽減し、会社が正しく成長していくための「安全装置」だと考えており、大きなやりがいと責任を感じられる業務だと思います。
以前役員の方に「パーソルのガーディアンとして、これからも会社を守っていってください」と言われたことがあります。セキュリティ業務の重要性を強く意識させられたこの言葉は心に残り、今も私を支えてくれています。
そうですね。なくてはならない仕事をしているという自負があります。
また、セキュリティ業務はどの企業にとっても欠かせない存在であり、専門性の高さから市場でのニーズも大きいと感じています。そのため、スキルを磨けば人材としての評価も高まり、キャリアの可能性も広がるのではないでしょうか。業界問わず必要とされ、将来性もあるため、チャレンジする価値の高い分野だと思います。
昨年4月にSBUセキュリティ支援室に異動し、今年の4月にエキスパート*2を選択し、昇格しました。ただ、これまでの自分のキャリアに自信が持てず、打診を受けても引き受けるべきか迷っていたんです。専門的なスキルを十分に身につけたとは言えないのではないか、果たして自分に務まるのだろうか、と葛藤していました。
*2 エキスパート:専門性を発揮し、事業経営に貢献することが期待される役割
上司が私のスキルを「十分に専門的だ」と評価してくれたことが、大きな後押しとなりました。ITやシステムの知識だけでなく、コミュニケーション力や人材育成、段取りや調整といったソフトスキルも専門性として高く評価していただけたことが、とても光栄で嬉しく、自信につながりました。
また「エキスパート職に進んでも、そこからマネジメント職へ転向できる選択肢もある」と教えてもらい、今回の昇格が将来を左右する重大な決断だと深く考えすぎる必要はないと理解しました。その言葉に背中を押され、「思い切ってチャレンジしよう」と決意できました。
この昇格は、キャリアに自信を持てなかった私にとって、とてもありがたいターニングポイントになり、本当に感謝しています。
部署には3つのチームがあり、私はそのうちの1チームでリーダーを任されています。メンバーとしての業務に加え、後輩のサブマネジメントや業務進行の管理も担当するようになりました。
少し昔の話になりますが、初めて後輩ができた際、自分がこれまで感覚的に行っていた業務を言語化し、体系的にまとめる必要がありました。現在の業務は企画職のため、決まった作業の繰り返しではなく、後輩への指導方法も一筋縄ではいきません。「どのように伝えればわかりやすいか」「どうすればスムーズに進められるか」を常に考えながら、私自身も学びつつ試行錯誤を重ねました。
こうした経験は、キャリアの中でスキルを深める大きなきっかけになったと思います。今では、その経験を通じて、自分のためだけでなくチーム全体のために、人材育成にどう向き合うかをより意識するようになりました。
昨今はセキュリティ分野のニーズが高まり、パーソルに限らず社会全体でセキュリティ人材が不足しています。一方、パーソルグループ内では「セキュリティ」という専門領域に限定せずに視野を広げれば、多様な人材が活躍できる余地があるのではないかと考えています。
現在は会社ごとに独立して取り組んでいる状態ですが、今後はグループ全体でセキュリティ人材を育成できる仕組みをさらに強化し、内製化につなげていきたいですね。セキュリティ人材が交流できる場も提供したいと考えています。
そして、パーソルグループだけでなく他企業の取り組みを知る機会も大切にし、社外のセキュリティ部門との交流にも積極的に参加していきたいと思っています。その交流を通じて得た情報をグループ全体に展開したり、グループ会社が社外のセキュリティ部門と交流できる場を作るなど、新しい道をひらきながら、パーソルグループにとってより効果的なセキュリティの仕組みを作っていくことが目標です。
取材・文=いしげまやこ(ファーストブリッジ)/撮影=山口修司(ファーストブリッジ)
※所属組織および取材内容は2025年9月時点の情報です。
※略歴内の情報は2025年4月時点での内容です。
パーソルホールディングス株式会社
グループ IT 本部 情報セキュリティ部 SBU セキュリティ支援室
シニアコンサルタント
2017 年にパーソルホールディングスへ中途入社。実務未経験から、情報セキュリティ・個人情報保護の領域における組織的・人的・物理的なリスクへの対策を企画・運用。その他、複数の社内部署と連携する大規模なセキュリティインシデントのハンドリングも担当。2024 年に SBU セキュリティ支援室に異動。現在はグループ会社のセキュリティ担当部門とともに情報セキュリティリスク対策の企画・効率化を実施。