【後編】現場の挑戦に伴走する“身近なテクノロジー人材”を輩出し、テクノロジードリブンのさらなる加速を
パーソルホールディングスでは「テクノロジードリブンの人材サービス企業」への進化に向け、テクノロジー人材の採用や育成と、一人ひとりが最大限に価値発揮できる環境づくりに注力しています。
今回はこのようなテクノロジー人材・組織の拡充にまつわる取り組みをテーマに、パーソルホールディングス グループテクノロジー推進本部 本部長の内田に話を聞きました。
【前編】はこちら→“身近にITが当たり前にある”状態になることが「テクノロジードリブンの人材サービス企業」への第一歩
テクノロジー人材の拡充に向け、制度・環境の整備と育成に力を注ぐ
―まずは、「テクノロジー人材・組織の拡充」に向け現在掲げている目標をお聞かせください。
中期経営計画2026では「テクノロジー」を“事業成長のエンジン”の一つとして据え、テクノロジーの実装・活用の強化に向け、グループ全体のテクノロジー人材や組織を拡充していく方針が定められました。
パーソルホールディングスとして掲げる具体的な目標は、2026年までの3年間でグループのテクノロジーに携わる人材を2,000名以上にすることです。
そのために、経験者採用を中心に強化しながら、新卒採用や人材育成のあり方の幅を広げることにも取り組んでいきます。
また単に採用目標を達成するだけでなく、入社いただいた方々に「この会社ははたらきがいがある」と思って定着していただくこと、蓄積した採用や育成のナレッジを各グループ会社に展開していくことも重要になると考えています。
―テクノロジー人材の採用・定着に向け、どのような戦略や取り組みを構想しているのでしょうか。
現在の市況をふまえ、テクノロジー人材に活躍し続けていただくためには“誇れる面白い仕事”があるだけでなく、さらに“自分の市場価値を高め続けられる環境”であることが欠かせません。
「この事業特有のシステムには詳しくなれるが、他の環境で通用するスキルが身につかない」「年功序列型で、高いスキルや市場価値に見合った報酬が得られない」、こういった市場とのギャップが発生してしまわないように、目標を立ててスキルを伸ばしてもらい、市場価値に見合った報酬を支払うための環境をしっかりと整えていきます。
その一環として、パーソルキャリアで運用されていた「プロダクト・エンジニア(PE)制度※」をパーソルホールディングスでも導入し、今後全社展開していく方針です。
※PE制度:エンジニアやデータサイエンティスト、ITコンサルタントなど、テクノロジー領域に携わるIT人材のために新設した評価・人事制度。社員が自ら設定した目標の達成度合いや、身に着けたスキルによって報酬が決まるなど、個人の成長や市場価値を意識した制度となっている。
またテクノロジー人材が、自身の手がけた成果や技術について発信する機会を提供するために、広報にも注力していきます。「パーソルグループではこんな人がこんな活躍をしています」と積極的に発信し、その結果“テクノロジーの会社”としての認知も高めていきたいと思っています。
―目標達成に向けた取り組みの第一歩として、まず制度や環境の整備に注力されるのはなぜですか?
「テクノロジー人材が自分の仕事に価値を感じ、気持ちよくはたらけている状態とは?」をまず考え、「そのためにどのような仕組みが必要か」の逆算から戦略を立てています。私自身がシステム屋で、インフラ領域出身だからかもしれませんが、土台がしっかりしていない仕組みは上手くいかない、土台となるビジョンからしっかりと組み上げていきたいという思いが強くありますね。
―テクノロジー人材拡充のポートフォリオとして「育成」を挙げられていますが、これにはどのような意図があるのでしょうか。
この先労働人口が減少していく中、人を育てるナレッジを蓄積することが重要だと認識しており、中期経営計画においてもテクノロジーと並ぶ事業成長のエンジンとして「人的資本」「ラーニング」が据えられています。
テクノロジー人材のニーズが高まる今、育成に注力することで、会社の競争力と育てた人たちの市場価値を高めることに貢献していきたいと思っています。また「自分が学んだことを教えることで、人の役に立ちたい」という思いを持っている人は多いと思っていて、育成に関われることはテクノロジー人材の採用やエンゲージメント向上にも繋げられるのではと考えています。
実際に昨年からセキュリティ人材育成の取り組みをスタートしました。自ら手を挙げたグループ会社のセキュリティ職種未経験者7名が半年間の学びを経て、セキュリティ領域での業務に携わり始めました。この成功事例をもとに、今後は職種や人数を拡大して育成の取り組みをさらに強化していきたいと思います。
パーソルグループらしさに共感し、一緒に世の中を変えようと取り組んでくれる“同志”が欲しい
―“テクノロジーの会社”としての認知に言及されましたが、「テクノロジードリブンの人材サービス企業」のイメージを醸成するために、広報・ブランディングの観点ではどのように取り組んでいこうとお考えですか?
パーソルグループらしさを打ち出したいなと思っています。「こんな世の中を作りたい」という私たちの思いと「このような苦労の末にこの成果を挙げた」という具体的な事例を出していきたいですね。小さなものでも構いませんし、むしろ失敗事例でもよいので、とにかく「パーソルグループは他の会社とここが違う!」というポイントを見せていければと思います。
―内田さんの考える“パーソルグループらしさ”とは?
不器用ながら社会課題に一生懸命向き合い、「はたらいて、笑おう。」を本当に実現しようとしているところが、私にとって“パーソルグループらしさ”であり、この会社の好きなところです。
失敗事例も含めイケていないところも見せていく中で、その純粋な真面目さ、不器用さを知って「この会社面白いね」と思ってもらいたいですし、その“らしさ”に共感してくれる同志が欲しいと思っています。
―具体的にどのような方に“同志”になってほしいと思われますか?
言われたことをただやるのではなく「テクノロジーをこう使って、こんな面白い方向に持っていけるんじゃないか」とアイディアや仮説を考え、一緒にチャレンジしてくれる人です。
パーソルグループは情熱と意思がある人には大きな裁量を任せてくれる会社で、やりたいと思ったことにはどんどんチャレンジできる環境だと思っています。自分が面白いと思うテーマや世の中の課題に興味を持ち、さまざまな仲間と議論したり、共謀したりして実現していって欲しいと思っています。
そういったチャレンジを見せていくことが、さらに「面白いよね」と賛同してくれる方を増やし、はたらくにまつわる世の中の凝り固まった常識をテクノロジーで少しずつ変えていくチャンスになるのではないでしょうか。
―最後に「テクノロジードリブンの人材サービス企業」の実現に向けて、グループテクノロジー推進本部はどのような組織を目指していくのか、今後の展望をお聞かせください。
現場には「業務をこう改善したい」「常識に見えるけど、本当はこうしたらもっとよいのでは」と思いながらも、「お金や時間がかかるから」「技術が足りないから」と諦めてしまっていることがたくさんあります。
もしかしたら何かのきっかけで素晴らしい解決方法を世に提示できるかもしれないのに、そのチャンスを逃し続けているということなのかなと。ヒットは打席に立たなければ打てませんから、今はとにかく打席に立つ数を増やしたいと思っています。
何かアイディアを思いついた時に身近にテクノロジー人材がいれば、「こんなことをやりたいんだけど」という相談から「こうやったらできますよ」「一緒に試してみましょうよ」と伴走ができますよね。そして実際にやってみることで、失敗から学び、小さな成功を積み重ねて新たなサービスにしていくこともできるはずです。
そんな“身近なテクノロジー人材”をどんどん輩出して各グループ会社をサポートできる存在に、グループテクノロジー推進本部がなっていけたらと思います。
――ありがとうございました!
取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影:合同会社ヒトグラム
(2023年9月時点の情報です。)
- 内田明徳 akinori uchida
- パーソルホールディングス株式会社
グループテクノロジー推進本部
本部長 - 1999年京都大学を卒業、外資系HWベンダ・独立系SIベンダ・外資系通信ベンチャーを経て、2007年からIT系サービス企業で旅行・結婚・住宅などのサービス開発・運用を担当。パーソルグループでは、2016年にグループIT本部 本部長に着任。2023年7月より新設したグループテクノロジー推進本部 本部長を担当。