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【後編】パーソルテンプスタッフが目指す、“クライアント企業ごとにパーソナライズした価値をご提供できる世界” 

人材派遣・アウトソーシング事業を手がけるパーソルテンプスタッフでは、クライアント企業向け、派遣スタッフ向け、社員向け、とそれぞれ領域を分けてDXの取り組みを進めています。 

今回はクライアント企業向けのDXにフォーカスし、取り組みの方針や現在地、そして今後の展開まで、詳しく話を聞きました。 

前編はこちら→【前編】社員の知識やスキルに拠らず、パーソルテンプスタッフの顧客体験を高められる仕組みづくりを 

“人の介在価値の最大化”を目指し、クライアント企業向けプラットフォームの整備を推進 

―クライアント領域におけるDXの取り組みについて、概要から教えてください。 

クライアント企業に向けては、派遣契約の請求書確認や契約に関する情報照会、人材サービス情報の閲覧などが行えるプラットフォーム「T-PLA」をご提供しており、現在はこの「T-PLA」をさらにご利用いただき、より良い顧客体験をしていただくための企画を行っています。 

―クライアント企業向けプラットフォームを提供するに至った背景には、どのような課題があったのでしょうか。 

「T-PLA」の整備は、“営業担当者の介在” が最適な形で行われていない、という課題を出発点として始まった取り組みです。 

例えば、請求書の再発行など、今まではクライアント企業の担当者様から営業担当者が依頼を受け付けて担当部門に依頼をしていましたが、現在は「T-PLA」にてクライアント企業側でいつでも閲覧・ダウンロードできるようなっています。そして現在取り組んでいる課題では、派遣スタッフの就業を管理していただく「指揮命令者」様とのコミュニケーション機会が少なく、最大のユーザーと言えるこの方々の満足度が低くなってしまっていたり、ご依頼数や契約数の多いクライアント企業へ営業担当者による対応が集中しやすく、最適なタイミングで情報をご提供できていないクライアント企業がいらっしゃったり、といった事態が生じています。 

―そのような課題を、どのように解決しようと考えたのでしょうか? 

プラットフォームを整備し、クライアント企業への情報提供を営業担当者を介さずテクノロジーによって行うことで、より正確かつ迅速な対応が可能になるとともに、営業担当者が “人の介在価値がより高い瞬間” に寄り添うことができると考えています。 

そのため、請求書や契約書の保管・閲覧といった、クライアント企業に必須な機能をリリース後、現在は第二段階として、「T-PLA」の機能を充実させて顧客接点を強化することと、そして「T-PLA」と社内の他システムとの連携を図ることを掲げて取り組みを進めています。

顧客接点の強化とシステム連携を掲げ、多様な取り組みを推進

―それぞれのテーマについて、具体的にどのような施策を進めているのでしょうか。まずは顧客接点の強化について聞かせてください。 

今後は派遣のご依頼時や派遣スタッフの就業時、派遣契約の更新時といったクライアント企業とコミュニケーションが必要な領域での便利機能を充実させることで、「T-PLA」の利用を促進していこうと取り組んでいます。 

中でも企画が具体化しているのが、クライアント企業自ら要件をご入力いただいてオーダーを作成できる「セルフオーダー機能」です。これによって営業担当者を介さず発注ができるようにするだけでなく、過去の発注内容をふまえてスキル要件や業務内容などを提案する「サジェスト機能」もかけ合わせてご提供することで、クライアント企業の発注プロセスをしっかりとご支援していきたいと考えています。 

他にも、ご依頼いただく前に派遣スタッフのご提案難易度や市場価格といった市場感の情報を提供し、要件の検討をご支援したり、派遣スタッフのコンデションや派遣契約の更新についてコミュニケーションを取りやすくするための機能の企画・実装を進めています。 

これらの機能が実装され、システム上で従来のサービスがご提供できるようになることで、クライアント企業には “見たい!知りたい!がいつでも叶う” というメリットを得ていただけることになると思っています。また営業担当者がより多くのクライアント企業のニーズにご対応できるようになるとともに、スキルや経験、スケジュールなどによるクライアント企業へのご対応の質・スピードのばらつきを解消することも期待できます。 

―「指揮命令者」の方の満足度を高めるための機能として構想されているものはありますか? 

Webマーケティングの機能、つまり「以前ご発注いただいた要件にマッチする派遣スタッフが複数登録されていますが、現在の状況はいかがですか」などお客さまに合わせた情報のご提供を行う機能を、セルフオーダー機能・サジェスト機能と結びつけることを構想しています。 

そうすることで、他社から就業中の派遣スタッフのパフォーマンスや、急な業務繁忙などによって現場で業務の遂行に悩んでいるご担当者の方々と、他社に先駆けてコミュニケーションをとる機会を生み出し、お困りごとを解消するといった差別化を図っていきたいと考えています。 

―「システム連携」についてはどのような施策を行っているのでしょうか。 

テンプスタッフでは「T-PLA」の他に、派遣スタッフ向け、社員向けにそれぞれアプリケーションを提供しており、これら3つを繋ぎ合わせて各ステークホルダーとのシームレスなコミュニケーションを生み出そうと取り組んでいます。 

例えば最近では、社員が外部ツールを頼らずに担当する派遣スタッフの方々とスムーズにコミュニケーションをとれるよう、チャット機能を実装するなど、システム連携の取り組みが進んでいます。 

大切なのは、クライアント企業によって異なる期待やニーズに応えること 

―第ニ段階である「接点強化」と「システム連携」を達成した先では、どのように取り組みを進めていくのでしょうか。今後の展開について教えてください。 

第ニ段階で実現するシームレスなコミュニケーションを通じて蓄積された情報や、基幹システム上のデータをかけ合わせて、「このクライアント企業はどのタイミングでこのページを閲覧しているか」「どのようなときに、どのようなコミュニケーションをとっているか」などを分析していきます。 

そしてこの分析結果をふまえ、クライアント企業のご担当者様一人ひとりにいつ・どのような情報をご提供していくべきかを見極め、それに紐づく機能を企画していくことを第三段階の取り組みとして掲げています。 

これによって、ご契約いただいているクライアント企業のご担当者様の満足度を高めるとともに、一度お取引が終了してしまったご担当者様の部門やクライアント企業にもう一度テンプスタッフを利用していただく機会をつくっていきたいと考えています。 

―パーソルテンプスタッフではAI活用に力を入れているとのことですが、クライアント領域におけるDXの取り組みを進めていくにあたって、AI技術はどのような役割を果たすのでしょうか。 

人材派遣は非常に複雑なビジネスプロセスで、ご依頼や掲載のタイミング、クライアント企業や派遣スタッフに対する要件のヒアリングの粒度、職場見学〜契約に至るまでのファシリテーションなど、さまざまな要因によってご契約の成立する確率が変わってきます。 

こうした複雑さゆえに、ロジックだけでは上手くいかず、社員のスキルや経験に裏付けされた判断や行動に拠る部分が大きくなってしまっていました。このような人による判断や行動をテクノロジーの力で行っていくにあたっては、AIの学習機能で判断の精度を高めていくことが重要になるのではないかと捉えています。 

―それでは最後に、クライアント領域におけるDX推進の今後に向けた漆原さんの思いを聞かせてください。 

それぞれのクライアント企業にご満足いただけるサービスを提供すること、クライアント企業によって異なる期待やニーズに応えることができれば、たくさんのご依頼や良いご評価をいただいたり、長い間利用を継続いただいたり、ご契約終了後に再度ご依頼をいただいたりすることに繋がるはずです。このことをふまえて今あるサービスを高め、“クライアント企業ごとにパーソナライズした価値をご提供できる世界”の実現を目指していければと思います。 

また「T-PLA」の活用によってご対応の質やスピードを高め、全国の各エリアにおいてクライアント企業にご満足いただける状態を実現した上で、特にクライアント企業のニーズの多いエリアに営業担当者を増やしたりさらなる投資を行ったりと、戦略に柔軟性を持たせることができればという期待もあります。 

そうしてより大きく事業や会社に貢献することで、新たなデジタル投資、顧客体験の向上に繋げられるようになる。そのような状態を目指して、その基盤となる重要なシステムとして「T-PLA」を磨いていきたいと思います。 

―ありがとうございました! 

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=合同会社ヒトグラム
(2024年1月時点の情報です。) 

漆原壮太Sota Urushibara
パーソルテンプスタッフ株式会社
DX推進本部
本部長
1998年9月にテンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)へ入社後、ワークシェアリング型派遣事業を行うグッドジョブ株式会社へ出向。2011年よりテンプスタッフ東日本営業部銀座1課へ異動後、大手顧客を担当する東日本第一営業本部SC営業部を立ち上げ責任者を担当。2021年よりDX推進本部 マネジメントDX推進部へ異動し、2023年より 現職。

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