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【後編】”全体最適”の視点で、テクノロジー活用によって生み出されるパーソルキャリアの価値を最大化する

今回は、パーソルキャリアでCIOを務める片山へのインタビュー後編。
片山が牽引するテクノロジー本部 ITマネジメント&インフラ・セキュリティ統括の役割や今後の展望、その実現に向けて推進する取り組みについて、詳しく話を聞きました。

【前編】はこちら→【前編】パーソルキャリアのシステム・プロダクトを段階的に磨き、時代や事業の変化に追随できる新たな仕組みをつくる

全体最適の視点を重視し、さらに組織の実行力を高める

―まずは改めて、パーソルキャリアのご紹介からお願いします。

片山:パーソルキャリアは、パーソルグループのCareer SBU*の中核会社です。転職サービス「doda」やハイクラススカウトサービス「doda X」、プロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro」などの多様なサービスを展開しています。

*¹ Career SBU:人材紹介や転職メディア、ダイレクトソーシングなどをはじめキャリア関連の事業を展開するSBU(Strategic Business Unit)。

パーソルキャリアにおいてサービス開発や事業のプロセス設計、システム開発などを担う「テクノロジー本部」では、2024年度から組織体制を変更されたと伺いました。その背景や狙いを聞かせていただけますか。

片山:これまで各事業やプロダクトにおいて個別最適でさまざまなテクノロジー活用の取り組みを進め、一定の成果を挙げることができてきた今、さらに実行力を高めて取り組みを力強く推進していくために“全体最適”の視点も取り入れていこうという考えが背景にあります。 

新たな体制では、ITマネジメントやITアーキテクチャなどを強化するための機能を新たに部として配置し、各機能を連携させてテクノロジー本部全体のケイパビリティを高めることを目指していきます。 

こうした全体最適視点で見られる体制によって、個別最適の取り組みが進んだ結果、各事業・プロダクト内で生じた品質面や技術的負債などの課題を解消するとともに、ITの取り組みの難易度が高まる中でも継続的に成果を挙げて、事業の成長により貢献できることを狙いたいです。 

“顧客体験価値の最大化をテクノロジーで実現する”べく、施策の実行推進・支援を担う「ITマネジメント&インフラ・セキュリティ統括」 

―テクノロジー本部の中で片山さんが管掌される「ITマネジメント&インフラ・セキュリティ統括」とはどのような組織なのでしょうか。概要をお聞かせください。 

片山:『中期経営計画2026』におけるテクノロジー戦略のメインテーマ「顧客体験価値の最大化をテクノロジーで実現する」を形にするために、各事業・プロダクト領域におけるテクノロジー活用の取り組みを“実行支援”・“実行推進”していく役割を担う組織です。 

事業成長を牽引する実行組織(1線組織)を、事業横断的なリスク管理(2線)と実行力の向上(1.5線)の観点からサポートするという位置付けになります。 

組織としては「ITマネジメント&セキュリティ部」と「インフラ部」、ソリューション軸での横展開を担う「統括直轄組織」の3つからなり、ITマネジメント&セキュリティ部とインフラ部はそれぞれ20〜30名ほど、直轄組織は10名ほどの体制で取り組んでいます。 

―具体的にどのような取り組みを行うのでしょうか。「実行推進(2線)」と「実行支援(1.5線)」それぞれについて教えてください。 

片山:まず実行推進については、ITガバナンス / ITマネジメントの確立、インフラの安定化 / クラウド化、ITセキュリティの強化を主なテーマとしています。 

● ITガバナンス / ITマネジメントの確立

これまでもITガバナンスやITマネジメントは行ってきましたが、事業成長を加速させるためにもう一段高度な仕組みにアップデートしていくことが必要です。 

具体的には、ITガバナンス方針を確立して事業戦略に紐づくIT戦略を網羅的なものにブラッシュアップしていくこと、品質管理やITリスク管理の取り組みを底上げするべくITマネジメントを標準化すること、IT投資の結果を分析・フィードバックしてIT投資の実行レベルを高めていくことなどに取り組みます。 

● インフラの安定化 / クラウド化

現在クラウドリフトが6割ほど完了している段階にあり、今期中に主要な業務システムすべてを、来期中にはサブシステムや個別システムなども含めて、クラウドリフトを完了させることを想定しています。一方でクラウドリフトが目的ではありませんから、インフラ構成の見直しやマネージドサービスの活用など、クラウドシフトについても同時に体制を強化しながら進めていきたいところです。 

● ITセキュリティの強化

エンジニア環境などパーソルキャリアの固有環境と言われるものについて、グループ全体の環境とは別でログの取得・分析ができる仕組みを作っていくことに今期注力していければと思っています。 

―「実行支援」についてはいかがですか。

片山:確立されたITガバナンス / ITマネジメント方針を現場の運用に落とし込んで品質を高めていくこと、SFDCやRPAといったソリューションにまつわるナレッジをしっかりと蓄積して横展開していくことによって、取り組みの実行を後押ししていきます。 

また組織力を底上げするために、BITA人材の採用や最適配置、育成強化にも実行支援の一環として注力していく必要がありますね。 

―「BITA人材」には、どのような価値発揮を期待されていますか?

片山:BITA*2人材はITの専門性と事業理解の両方を持ち合わせている、“事業のIT人材”と言える存在です。そのため事業を深く理解した上で、ITやプロジェクトマネジメントのスキルを活かし、当事者意識を持ってテクノロジー活用の取り組みを推進してもらうことを期待しています。 

ただ、すべてを一人で担う必要はありません。もし事業観点が弱いのであれば事業のメンバーを、ITに自信がないのであればITに詳しいメンバーを巻き込んで、チームとして取り組みを推進していけばいい。BITA人材としてのマインドを持って、足りないスキルは補完しながら事業・ITの両方の観点を持ち合わせて取り組んでもらうことが重要なのかなと思っています。 

*2 BITA (Business IT Architect):「ITとビジネス両方の知識を持ちながら、IT施策を推進する」という思想。2012年に旧インテリジェンスで新設部門「BITA」が立ち上げられた。 

「ITセキュリティのレベルが高く、テクノロジー活用が高度に進んでいる企業」を目指して 

―ITマネジメント&インフラ・セキュリティ統括として、今後の方針やロードマップをどのように描かれていますか? 

片山:まず2024年度は、ITガバナンス/ITマネジメントの領域において“全体最適管理”をしっかりと確立することに注力していきたいと考えています。 

そのためにIT戦略のアップデート、IT戦略のパフォーマンスを評価できる指標の定義とモニタリング、IT投資管理やリスク管理といった重点領域における方針の策定と標準化などを進めていきます。 

こうした土台の部分を整えた次の段階としては、運用をしっかりと現場に浸透させて回していくことが重要になります。テクノロジー活用の取り組みの実行レベルが引き上がっていると体感できる状態を目指して、来期は今期行った取り組みを評価することをはじめ、運用定着に向けた対応を進めていければと思います。 

―それらを実現した先で、パーソルキャリアがどのような状態になることを目指していますか? 長期的なゴールを教えてください。

片山:最終的には、パーソルキャリアがテクノロジー活用によって大きな成長を遂げ、業界や社会において「ITセキュリティのレベルが高く、かつテクノロジー活用が高度に進んでいる」と言われる存在になっていたいなと。またミッションとして掲げる「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」の実現に少しでも近づき、人々の“はたらく”にまつわる課題の解決や、 “キャリアオーナーシップ”の社会的な広がりに貢献できている会社だと認知されていることを目指したいなと思います。 

―ありがとうございました!

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=合同会社ヒトグラム
(2024年7月時点の情報です。)

片山健太郎Kentaro Katayama
パーソルキャリア株式会社
CIO(Chief Information Officer)兼
テクノロジー本部 BITA 統括部
エグゼクティブマネジャー
1998 年に IT コンサルティング会社でシステムの開発、運用保守、BPR に伴うパッケージシステムの導入を実施。 IT 化構想策定など、上流案件も実施し、14 年間務める。 一つの企業の経営にもっとしっかり携わりたいと考え、2012 年 2 月にパーソルキャリアに入社。 人材紹介・転職メディア事業の IT 責任者を務め、2015年から IT 組織(BITA 統括部)を管掌。

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