部門を越えた顧客価値最大化に挑戦。DXで経営層・企画部門とフロントを結ぶ
テクノロジードリブンの人材サービス企業を目指す、パーソルグループ。同じ志をもつテクノロジー人材が次々とジョインしています。今回は、新卒入社以来継続してパーソルテンプスタッフではたらく吉田に、現在の仕事とパーソルテンプスタッフではたらく魅力について聞きました。
パーソルテンプスタッフに新卒入社。派遣営業からDX推進部門へ
ーパーソルテンプスタッフは、女性社員が活躍しているイメージがあります。
そうですね。創業者が女性であることも関係しているのか、全体的に女性比率が高い会社だと思います。営業職では男性も増えてきましたが、現在も女性が多いですね。とくに私が所属しているDX推進本部では6名の部長のうち4名が女性なんですよ。お客さまである派遣スタッフのおよそ9割が女性という現状もあり、女性特有のお悩みや状況が理解しやすい、という側面はあるかもしれません。
ー吉田さんは新卒でパーソルテンプスタッフに入社し、営業職からキャリアをスタートしたそうですね。これまでどのような仕事を担当してきたか教えてください。
私は2004年にパーソルテンプスタッフに新卒入社しました。今の部署に異動になるまではずっと派遣営業の部門におりまして、2012年以降は首都圏エリアのオフィスマネージャーを10年ほど務めていました。
2021年にDX推進本部へ異動となり、クライアント企業向けポータルサイトのお客さまへ向けた導入提案や、社内の営業組織向けに勉強会などを実施していました。推進活動を担当しましたね。DX部門でありながら、お客さまとの接点が営業部門と同じくらい多かったので、営業と親和性の高い仕事に携われているなと感じていました。
ーその後アジャイル推進部に異動されたのですね。アジャイル推進部は、どのようなミッションを持った部門でしょうか?
アジャイル推進部は、営業やコーディネーターといった現場で活躍する社員向けツールのDXを推進する組織で、スマホアプリの企画・開発・運用推進や、アジャイル開発手法を用いたプロダクト開発を担当しています。
もともと当社では時間をかけてスケジュールや仕様を綿密に組み立てて開発するウォーターフォール型の開発手法が主だったのですが、よりスピーディーかつ臨機応変に現場の意向を汲みながら開発を進める、アジャイル開発に挑戦しよう、という方針が固まりました。ほぼ同じくらいのタイミングでアジャイル推進部の部長とアジャイル企画室の室長を兼務するようになり、今に至ります。
お客さま、事業、社内…さまざまな切り口で架け橋となる、DX横断企画部
ー2024年7月からは、DX横断企画部の部長にも着任されて、仕事の幅がかなり広そうです。DX横断企画部は、どのような役割を持つ組織でしょうか?
DX推進本部全体のDX人材育成や研修企画といった本部内人事の側面と、予算管理など総務的役割のほか、全社員向けの生成AI利活用推進などの役割があります。
また、派遣スタッフがはたらくうえで「はたらくWell-being」を実現するための企画・推進もDX横断企画部の大きな役割です。派遣スタッフに安定してはたらき続けていただくため、「はたらくこと」の周辺にある困りごとに対してパートナー企業を見つけて、派遣スタッフに福利厚生のような新しいサービスをローンチしていく構想があります。この「FC(Flexible Connected)構想」に今後注力していく予定です。
ーDX横断企画部で2024年度とくに注力している取り組みやトピックスがあれば、教えてください。
DX本部内の人材育成には力を入れて取り組んでいて、キャリア支援を充実させるためのコンテンツを準備しているところです。本部内のメンバーとコミュニケーションをとるなかで、「自分らしいキャリアを築きたいが、どうすれば良いかわからない」という悩みが聞こえてきていて。
本部内のキャリアパスを整理して可視化し「こんな道があるんだよ」と分かる図や職種カタログを制作して本部内で展開しています。マネジメント職以外にも専門職として自分の今の仕事を突き詰めていく方法があることを示したり、各職種にどういったスキルが必要なのかをマップで可視化したりしています。
ーさまざまなキャリアの道筋をコンテンツにした後は、本部内でどのように活用されるのでしょうか?
マネージャーとの1on1を含め、メンバーとの会話のなかで自由に使ってもらうほか、上位レイヤーの皆さんにも活用してもらえるものに仕上げたいと思っています。たとえばアジャイル推進部にはどのようなスキルを持った人材が在籍していて、どのような強みを持った人材が不足しているかなど、組織型ケイパビリティを可視化するものとして参考になるものを作りたいですね。
テクノロジーの力でフロント部門を支えるアジャイル推進部
ー次に、アジャイル推進部のことももう少し教えてください。アジャイル推進部の2024年度のメインミッションは何でしょうか?
アジャイル推進部は、社員向けアプリ開発とアジャイル開発の2つの役割があります。
アプリ開発の役割は、テクノロジー活用により営業部門の人材が外出先から効率的に業務ができるようにすることです。具体的には、今フロント部門で利用されている「Sally」という社員向けアプリケーションの利活用推進を担当しています。
現在当社で取り組んでいる派遣スタッフの就業開始後のフォローアップ体制整備の動きを受け、フォローアップに必要な各種情報が蓄積できるツールを「Sally」内に開発して情報を簡易に登録し可視化できる仕組みを整えています。このフォローアップの過程はこれまでマニュアル化されておらず、対応が担当営業に委ねられている状況でした。
この取り組みは、営業担当やマネージャーが気づかぬうちにトラブルが発生していたり、先方が不安を抱えていたりする状態を解消するのが目的です。マネジメント層から適切なタイミングでアドバイスしたり面談に同行したりと、会社全体でフォロー体制をバックアップし、派遣スタッフ・企業双方にご満足いただける仕組みを構築しようとしています。
ー2つ目のアジャイル開発におけるミッションと2024年度の取り組みについて教えてください。
アジャイル開発の最大のミッションは、全国にリリースするプロダクト開発に成功することです。
すでに複数のプロダクトを開発しており、一部はプロトタイプが完成して実際に活用できるものも出てきました。アジャイル開発にチャレンジし始めて約1年と少しの時点ですので、まずは2024年度中に1つ成功事例を作りたいと考えています。
ー実際にアジャイル開発で生まれ、現在使用されているプロダクトについて具体的にお聞きしても良いですか?
派遣業界では、企業の求人にマッチする候補者が見つかったタイミングで、コーディネーターが候補者の職歴をまとめたスキルシートを作成し、クライアント企業に共有しています。転職活動でいう職務経歴書のようなものですね。
これまではこのプロセスがコーディネーターによる手作業だったのでかなり時間がかかっていたのですが、生成AIを活用したツールを利用することで、職歴を要約してスキルシートを簡単に作成できるようになりました。思い通りに作動してくれない生成AI特有の難しさはありつつ、楽になったと喜びの声もいただいています。
アジャイル開発を通じて、経営層とフロントをつなぐ
ーアジャイル開発にチャレンジしてみて1年ほどが経過した現在、アジャイル開発の良い点やメリットはどういった点でしょうか?
従来のウォーターフォール型開発だと、入口で固めた仕様を長期間かけてようやくローンチしたときにはもう現場は求めていないとか、情勢が変わっているなどということが往々にしてありました。一方のアジャイル開発は、開発しながら実際に使ってもらって、またやり直すことを繰り返せるため、現場の声をリアルタイムにキャッチアップできる点が最大の強みです。
もう一点は、使い手であるフロント組織の社員を共同オーナーとしてともにプロジェクトを進められることです。開発者が作った完成品を活用してもらうというスタンスではなく、現場が主体者として開発に携わります。先ほどお話ししたスキルシートを生成AIで作成する開発プロジェクトでは、私がオーナーを務めながらコーディネーターのマネージャー2人とともに仕様を決めたり、開発を進めたりしていましたよ。
「現場の声を形にしたい」という思いは、開発者や企画者なら誰しもが持っていると思いますが、実現するのはなかなか難しいものだと思います。アジャイル開発ではそれが実現しやすく、現場が喜んでくれたり、逆に使いづらいといわれたりと直接反応が見える点がメリットではないでしょうか。
ー一方でステークホルダーの意見をマネジメントしながらプロジェクトを推進していく難しさは感じませんか?
それも一部あります。ただそれ以上に「現場の困りごとを解決する」という軸を保ちつつ、我々本来のミッションである「プロトタイプで終わらせずに全国展開できるようなプロダクトを開発する」という2つの視点を持って両方が実現できる企画提案をすることの方が難しさを感じますね。
フロント人材の皆さんの困りごとを解決しながら、全国展開したときに投資対効果やインパクトがある企画を考案し、テクノロジーを活用して会社・社会に貢献できる。この2つのバランスを取ることこそが私の役割だと考えています。
ー2つの視点を持ってDX企画・開発を進めるうえで、吉田さんご自身で工夫していることがあればお聞きしたいです。
フロント人材へのヒアリングは私が担当しているのですが、そこで得た困りごとや希望、情報をそのまま解消するだけの企画を考案するのではなく、もう少し高い視点から俯瞰的に捉えようとしていますね。
そうすると、別の領域のビジネスモデルや営業プロセスを組み合わせることで、経営的・社会的により一層インパクトがある企画に昇華できることがあります。彼らの課題に加えてプロダクトを使った先の効果を想定しながら、私がどのような絵を描けるかが大事だと考えていて。今の私のポジションは、フロント人材と経営層をつなぐ大切な役割だな、と感じます。
企画・開発部門を巻き込み、全社をあげて顧客に価値提供
ー今後どのようなキャリアを描いていきたいか、今後挑戦したいことを教えてください。
いつかフロント部門に戻って、新たな武器を手に入れた状態で企業や派遣スタッフに直接価値を提供したいです。
DX推進本部に来てみて、機能部門は想像以上に現場の力になってくれることが身をもってわかりました。「もっとわがままを言っていいんだ」とか「もっと要望を出してもいいんだ」という実感と気づきが得られたので、「企画・開発部門を含め、全社で企業や派遣スタッフに価値を提供していこう」というマインドでフロント部門を牽引したいです。
フロント人材だけで頑張ること以外に、選択肢が広がったことは私個人の大きな成長ポイントだと思います。
ー吉田さんは、長らくパーソルテンプスタッフに在籍されています。最後に、ずっとここではたらき続けられる理由やなぜはたらき続けたいと思うのかを教えてください。
派遣スタッフとしてはたらくことに対して、まだまだ社会ではネガティブに捉えられるケースがあると考えていて。その概念を変えていきたい思いが強いです。世の中には多様なはたらき方があって、そのなかの1つに派遣という雇用形態がある。「自分の勤めたい会社ではたらける」「好きな時間にはたらける」「やってみたい職種にチャレンジできる」など、「はたらくWell-being」に貢献できる1つの手段に人材派遣という選択肢があります。それを世間にもっと認知してもらえるように頑張ります。
取材・文=ファーストブリッジ 宮口佑香
(2024年10月時点の情報です。)
- 吉田聡子Satoko Yoshida
- パーソルテンプスタッフ株式会社
DX推進本部 アジャイル推進部 兼
DX横断企画部 部長
アジャイル推進部 アジャイル企画室 室長 - 2004年にパーソルテンプスタッフに新卒入社。首都圏エリアで派遣営業に従事し、2012年から10年にわたりマネージャーとしてフロントを統括。2021年にDX推進本部に異動し、企業向けポータルサイトの利用推進責任者を務めた後2022年に現在のアジャイル推進部へ。2023年に部長に着任し、2024年7月以降は新設のDX横断企画部長を兼務。現在は社員向けアプリ開発およびアジャイル開発の企画推進の責任者に加え、FC構想の運営やDX人材育成に注力している。