「価値ある仕事に集中できる状態」を目指す―業務改善を文化へと育むプロジェクト

Profile

Miki Washizu

パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社
テクノロジーコンサルティング事業部
エンタープライズビジネス統括部
コンサルティング 1 部 コンサルティング第 5 グループ
マネジャー

前職では大手 SIer にて、EPP パッケージの導入から保守までを担当。2021 年より現職にて、行政・民間の顧客に対し、ローコードツール導入を含む BPR の実施や、ツール内製化支援に従事し、顧客の DX 推進や生産性向上に寄与。業務の可視化・DX 推進に関わる幅広いサービスを提供している。

Nana Otani

パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社
テクノロジーコンサルティング事業部
エンタープライズビジネス統括部
コンサルティング 1 部 コンサルティング第 5 グループ
コンサルタント

2022 年 4 月、現パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社へ新卒入社。BPM 推進や UiPath を活用した RPA 開発・市民開発者育成を得意とし、通信・製造・行政分野での実績を持つ。

パーソルワークスイッチコンサルティングは、テクノロジー活用を軸に、現場に深く入り込んで課題解決を共に進める「伴走型」の実行支援を提供しています。

継続的な支援を行っている通信会社様とのプロジェクトでは、RPA運用課題の解消を起点に、業務フローの可視化や人材育成を通じ、段階的に改革を広げてきました。

今回はプロジェクトをけん引するマネジャーの鷲津と、新卒4年目ながらフロントを担い、現場と共に挑戦を重ねてきた大谷に、改革の歩みと現場に根づき始めた「自走する改善文化」について話を聞きました。

RPAの運用課題から始まった、業務改革を包括的に支える伴走型プロジェクト

まず、プロジェクトが立ち上がった背景を教えてください。

鷲津

2021年、本プロジェクトのクライアント企業様に、パーソルワークスイッチコンサルティングのソリューション「パーソルのRPA」のRPAライセンスを導入いただきました。これをきっかけに、当社による開発支援がスタートしました。

しかし、その後私が担当を引き継いだ際に改めて状況をヒアリングすると、RPAの運用ルールや体制が整備されていない状況が判明したんです。

同時に、無駄な作業や手間を削減することを目的に、クライアント企業様が独自に企画していた「業務改善活動」のことも伺い、業務改善やテクノロジー活用を包括的に支援するプロジェクトへと発展しました。

実際に支援を進めていく中で、どのような課題が見えてきましたか?

大谷

当初の目的はRPAによる業務時間の削減でしたが、ヒアリングを重ねる中で、そもそも業務フロー自体が整理されていないことが分かりました。

そのため、まずは業務構造を可視化し、「どんな業務が、どこで、誰によって、どう行われているのか」を一つひとつ明らかにする必要があったんです。

そうした課題に対して、どのような方針や考え方で改善を進めていったのでしょうか?

鷲津

目指すのは、「ムダな業務を減らし、価値ある仕事に集中できる状態」です。

その実現に向けて、業務の流れを最適化するBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)を取り入れています。業務をフロー図に落とし込み、「やめるべき仕事」「自動化できる仕事」を仕分け、どの順番で改善していくかを設計しました。

すべてを厳密に定めず、「目指すべき全体像」だけを描いたロードマップをもとに、柔軟に進めるアプローチを取りました。

「ゼロから学ぶ」姿勢で現場に深く入り込み、本質的な課題を引き出す

業務の全体像が見えにくい中で、どのように理解を深めていったのですか?

鷲津

私たちはパーソルグループの中でも、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)領域に特化したSBU*に属するコンサルティング企業で、現場に深く入り込む支援を得意としています。

業務は、現場の方にとって当たり前になっていることが多く、いざ整理しようとすると、意外と抜けや曖昧な部分が出てくるものです。だからこそ私たちは、「新入社員だと思って、業務ができるように一から教えてください」とお願いし、現場の方と同じ目線で業務を理解するようにしています。

大谷

表面的な情報収集では、本質的な改善につながりません。現場の方と丁寧に対話を重ねることで、皆さん自身も気づいていなかった非効率や課題が明らかになっていきます。

*SBU:Strategic Business Unitの略称。サービス事業領域ごとに分けた組織単位

業務理解を深めていくために、大切にされていることを教えてください。

大谷

「ここが分からない」といった声は、どんなことでも曖昧なままにせず、言い換えや可視化を通じて分かりやすく伝えることを心がけています。

例えば、「チャットツールの使い方が分からない」という声があった際には、細かい操作マニュアルを作成しました。単に作成するだけではなく、現場の方はもちろん、経営層にもしっかり理解してもらえるよう注力しています。また、現場から上がってきた課題については、半年に1~2回ほど報告会を実施することで経営層へ現状の報告にも取り組んでいます。

また、当初はオンラインでのやり取りが中心でしたが、途中からは対面での確認に切り替えました。些細なことも見逃さないよう、現地に伺って資料を一緒に指差しながら確認することで、業務理解を深めるようにしています。

技術支援以外にも、取り組んでいることはありますか?

鷲津

RPAやMicrosoftサービスに関する研修も実施し、ただ導入するのではなく、現場で継続的に活用できるよう、スキルの定着もサポートしています。

現在は、組織内のコミュニケーションツールを統一する支援も進めており、将来的にはAI活用の提案も視野に入れています。

現場意識の変革─業務改善が特別な取り組みから「主体的に取り組む文化」へ

今回の取り組みで、実際にどのような成果が生まれていますか?

鷲津

現在、「業務改善を自走できる組織」を目指し、RPA開発スキルを持つ市民開発者(非IT部門の社員)を15名育成しました。

これにより、小さな業務課題にも現場で即応できる体制が整いつつあり、既にいくつかの業務では、現場主導の自動化によって実際の業務時間削減が報告されています。

RPAの保守・運用だけでなく、開発までを社内で完結できるようになってきています。

現場の方や経営層には、どのような変化や反応がありましたか?

鷲津

業務改善によって、現場や管理職の方からは業務の質が上がったという声をいただきました。また、育休に入る社員の業務量をカバーできたことで、よりクリエイティブな仕事に集中できるようになったと伺っています。

さらに経営層からは、「残業が減り、売上も伸びた」という声もいただいています。こうした成果が認められ、今年度からは「業務改善の取り組み」が正式に評価制度に組み込まれました。

大谷

何より印象的なのは、現場の業務改善に対する意識変化です。以前は「やらなければならない」という感覚でしたが、今では「取り組むべきもの」として浸透しています。私たちが提案する前に、「この業務も改善できるのでは?」と声が上がるようになりました。

鷲津

業務改善が特別な活動ではなく、自然に行われる文化が根づき始めたことは、非常に大きな変化だと感じています。

主担当として現場を支えてきた中で、印象的だった出来事や学びがあれば教えてください。

大谷

業務改善を進める中で、難しい問題や大きな壁にぶつかった時は、「本当に自分にできるのか?」と悩む場面もあります。ただ、そのたびに鷲津さんや社内のメンバーに相談しながら、提案・実行してきました。

また、お客さまとの距離が近く、対話の中から課題や改善のヒントが見えてくることも多いので、「お客さまと一緒に進む」感覚で取り組めています。

鷲津

大谷さんが現場の担当窓口を担っていますが、決して一人ではなく、組織として支える体制で動いています。

専門性の高い技術課題が発生した際には、社内メンバーもレビューや検証を実施し、最適な方法を模索しています。また、クライアント企業様が利用しているツールのベンダーともパートナー関係にあり、社外の知見も活用しながら課題解決を図っています。

クライアント企業様との信頼関係が深まったと感じる、印象的なエピソードはありますか?

鷲津

大谷さんが粘り強く現場に入り込み、丁寧に業務を理解していった結果、「社内の誰よりも業務を把握している」と言っていただけるまでになりました。

今では、次の期の予算計画にも、私たちの関与を前提として検討が進められるようになっており、継続的なパートナーとしての信頼関係が確かなものになってきたと感じています。

信頼を得られたのはなぜだと思いますか?

鷲津

私たちはパーソルの行動指針にもある「誠実」な対応を何よりも大切にしています。

プロジェクト初期には、思うように成果が出ず、期待に応えきれなかったこともありました。ただ、そうしたときこそ結果を取り繕わず、すべての状況を率直に報告し、そのうえで、できることを明確に示して対応を続けてきました。

言い訳をせず、誠実に向き合い続ける。ひたすら愚直に取り組んできた姿勢が、信頼につながっていったのだと思います。

柔軟な挑戦姿勢とテクノロジーの力で、持続可能な改善基盤を未来へつなぐ

パーソルワークスイッチコンサルティングならではの強みは、どこにあると思いますか?

鷲津

最大の強みは、「まずやってみる」という姿勢だと捉えています。会社として厳格すぎる非効率なルールがあまりないため、状況に応じて柔軟な支援ができます。

「これは無理かもしれない」と感じたことも、まずは挑戦してみることで、本質的な提案につながっていくんです。お客さまからは、「家も建てられるんじゃない?」と冗談まじりに言われたこともありました(笑)。

大谷さんをはじめ、どのメンバーも責任を持って誠実に仕事に向き合い、私の挑戦にも真摯に応えてくれるからこそ、さまざまなことに取り組めています。

大谷

私は、「お客さまの会社の社員として一緒に取り組む」という気持ちを大切にしています。「ここ、大変ですよね」「改善していきましょう」と、現場の方と一緒に悩み、考えながら、課題解決に向き合ってきました。

もちろん、自分一人で判断できないこともあります。でも、社内にはいつでも相談できる環境と、真剣に応えてくれるメンバーがいます。だからこそ、お客さまと本気で向き合えるし、安心して提案ができるんです。

パーソルワークスイッチコンサルティングでは女性の活躍も多いと伺っています。

鷲津

そうですね。実際、社員の男女比率はほぼ半々で、管理職も4割近くが女性です。

背景には、フレックス制度やリモートワークが浸透しており、ライフステージに合わせた柔軟なはたらき方ができる環境があります。

産休・育休を経て復職した後も、知見や経験を活かして再び第一線で活躍するメンバーが多く、自分のキャリアを大切にしながら、長くはたらける仕組みと風土がしっかりと根づいていると思います。

大谷

入社して感じたのは、性別を意識する場面がほとんどないことです。最初の3カ月間は男性の上司でしたが、それ以降は女性マネジャーのもとではたらいており、それを特別と感じたこともありません。

誰もが一人の個人として、フラットに接してもらえる環境だからこそ、日々の仕事にもやりがいを持って取り組めています。

最後に、今後のプロジェクトの展望や、パーソルワークスイッチコンサルティングが目指す姿を教えてください。

大谷

クライアント企業様が目指す「自走型の組織」構築に向けて、これからも業務改善の基礎力と挑戦する自信の土台づくりを支援していきます。

また、私たちが現場で直面した苦労や試行錯誤も、それ自体がノウハウになり、他のお客さまの力になれると信じています。そうした実体験を活かしながら、より多くの現場に寄り添っていきたいですね。

鷲津

クライアント企業様は、契約関連の業務が多く、同じような課題を抱える企業の先進事例になると感じています。テクノロジー活用や業務改革に意欲的なため、私たちが伴走することで確かな成果を積み上げ、成功モデルとして東海エリア全体に広く展開していきたいと思います。

その中で、大谷さんには業務改善や利益創出をけん引する存在として、さらに大きな役割を担ってほしいと期待しています。

ありがとうございました!

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=嶋田純一/撮影=山口修司(ファーストブリッジ)
※所属組織および取材内容は2025年10月時点の情報です。
※略歴内の情報は2025年10月時点での内容です。

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