誰もが“自分らしくはたらける”未来へ。IT基盤を整え、活かし、進化させるワークスタイルインフラ部の挑戦

テクノロジードリブンの人材サービス企業を目指すパーソルグループ。今回は、グループ全体の“はたらく環境”を支える塚本に、テクノロジー環境の整備と利活用、現場起点の改善にかける想いについて話を聞きました。

自ら動き、組織をけん引する。変化の連鎖で進める「ワークスタイル変革」

まず、2025年4月に行われた部長同士のポジションチェンジには、どのような狙いがあったのでしょうか?

最大の目的は、グループIT本部として人材の流動性を高め、成長の機会を広げていくことにあります。異なる環境に身を置いてこそ、得られる経験や視座がある。そうした認識のもと、若手社員を含めたローテーションの必要性については、以前から管理職のあいだで繰り返し議論してきました。

そこでまずは、マネジメント層が率先して変化を示すために、長らく同じ部門を担当していた水戸と私でポジションを交代しました。このチャレンジを通じて、メンバーにも新たな環境へ前向きに踏み出してもらいたい。そんな健全な循環を、組織に根づかせていきたいと考えています。

異なる領域へ移ったことで、特に苦労された点は何ですか?

未来を構想するには、その分野の歴史や背景を深く理解していなければなりません。知見がないと有効な打ち手を見出すことが難しいため、着任当初はかなり苦労しました。

そこで自分自身の視座を高めることを意識し、さまざまなセミナーに参加しながら、関係するベンダーやパートナーにも「今この領域に関心がある」と伝え、積極的に情報を集めていきました。そうした積み重ねによって、少しずつ領域への理解を深められたのだと思います。

ワークスタイルインフラ部は、どのような役割を担っているのでしょうか?

現在の中期経営計画2026では、「ワークスタイル変革」が大きな柱となっています。グループ社員の多様なはたらき方に合わせて、必要なテクノロジーを提供し、自分らしいはたらき方を選べる環境を整えることが、私たちのミッションです。

そのミッションを推進する、現在の組織体制を教えてください。

ワークスタイルインフラ部はもともと4室体制でしたが、10月に2室を新設し、現在は6室体制となっています。

まず、グループ全体の生成AIの利活用を担うデジタルEX推進室と、AIツールの導入・活用を推進するコミュニケーションインフラ室が密に連携しながら、全社的なAIの実用化を進めています。さらに、社員が利用するPCやスマートフォンなど標準デバイスの展開・管理を行うユーザーインフラ室、ヘルプデスクの運用・改善を担うグループサポート室とともに、部門としての役割を果たしてきました。

今回新たに加わったのが、「音声インフラ室」と「GzeroPC推進室」です。音声インフラ室は、これまでコミュニケーションインフラ室に内包されていたソフトフォンなど音声領域を切り出したものです。GzeroPC推進室は、ゼロトラストモデルに基づいた次世代PC導入をより戦略的に推進するため、ユーザーインフラ室から独立させました。

このように、AIの活用支援からデバイス管理、サポート業務まで、社員のはたらき方を多面的に支える体制を整備し、全社的な業務改革を支える基盤を着実に強化しています。

AIをつなぎ、守り、変える――業務変革を支える次世代プラットフォームへ

多様な領域を管掌する中、具体的にどのようなテーマに取り組まれているのでしょうか?

現在は、グループ全体のAI活用を加速させるために、複数のAIツールや基盤を連携させたプラットフォームの整備に注力しています。たとえば、社内専用ChatGPT「CHASSU」では、異なるサービスの生成AIやAIエージェントを展開し、プロンプトギャラリーも各種AIツールと連携させました。また、独立していたコミュニティを生成AIコミュニティとして統合し、社内勉強会でのナレッジ共有やアウトプットの場の一本化を進めています。

そして、いま注目しているのがクラウドストレージ「Box」の活用です。AI機能を利用可能なライセンスを全社員分保有しており、500TBにもおよぶ膨大なデータも利活用できるため、業務効率化やナレッジ活用の面で非常に大きなインパクトがあります。

ただ、現場ごとに求められるAIの用途や業務特性は異なります。そのため、「一つに統合する」のではなく、それぞれのツールの強みを活かし、コスト面も考慮しながら、最適な組み合わせで使い分けるアプローチを取っています。

AI活用を進める中で、セキュリティ面の取り組みについても教えてください。

アクセス環境では、従来の仮想デスクトップに加え、高度なセキュリティ機能を持つブラウザ(CEB)を導入しました。これにより、コストを3分の1に抑えながらも、1万人規模の同時接続に耐えうるセキュアなアクセス環境を構築し、BCP(事業継続計画)の観点からも非常に有効な体制が整っています。

一方、エンドポイントセキュリティの強化では、従来のウイルス対策を進化させ、100%に近い高精度な脅威検出を実現しました。さらに、サポート体制を24時間365日対応に拡充し、インシデント対応のスピードと柔軟性が飛躍的に向上しています。

グループ各社にはたらき方の変革を推進していくために、工夫していることはありますか?

特に注力しているのは、AIの利活用を自らの業務にも根づかせることです。AIエージェントを使いこなせれば、業務がコンパクトになり、リードタイムの短縮や迅速な対応にもつながります。

その一環として、ワークスタイルインフラ部では、業務効率化に資するAIエージェントを一人一つ開発する「AIエージェントカップ」を開催しました。役職に関係なく約40名の社員全員が参加し、現場の課題や技術の可能性を体感しました。AI文化を育てるうえでも、実践による理解は欠かせないと感じています。

組織のミッションと並行して、組織運営面も見直しをされたと伺いました。

そうですね。着任当初は、タイミング的に新たな課題が同時多発的に表面化したことで、マネジメントの視界が行き届きにくい状況がありました。現場の負荷が高まりやすい局面でしたが、まずは案件を緊急度と重要度で切り分け、選択と集中を徹底しました。加えて、組織単位を「一人で見られる」範囲に分割し、現在の6室体制へと再編しています。

この半年は、そうした状況を整理しながら、室長やメンバーとともに少しずつ改善にも取り組んできました。まだ道半ばではありますが、これまでの土台を活かしながら、より自律的に前進できる体制が整いつつあります。

終わらせる決断が、未来を軽くし、持続可能なIT環境を実現する

新たな技術を導入すればするほど、コストや運用負荷も増えていくため、持続可能なIT環境をどうつくっていくかは難しいテーマだと感じます。塚本さんはどういった視点を大切にされていますか?

ビジネスコアインフラ部時代から一貫して意識するのは、「導入すること」と「やめること」をセットで考える視点です。

新たなサービスを導入すれば、機能とともにコストや運用負荷も確実に増していきます。「やらないこと」を決め、確実に終わらせる――その覚悟こそが、持続可能な組織をつくる。たとえ全体に影響がおよぶ難しい判断でも、それを実行に移すことが、管理職の責任だと捉えています。

導入と廃止の両立を実現していくためには、なにが重要だと考えますか?

まずは「やめる」と決めたことを、組織全体で揺るぎない共通認識として持つことです。そのうえで、廃止すべき対象を曖昧にせず、明確に実行計画へ組み込むことが重要になります。こうした取り組みは、地味で目立ちにくい分、後回しにされがちです。しかし、いつまでも不要な仕組みが残っていると、現場の負担は積み重なり、気づかぬうちに組織全体の力を削ぎかねません。

だからこそ、「やめる取り組み」も大切な仕事だということを、繰り返し伝えるようにしています。実行してくれたメンバーにも、感謝と称賛をきちんと届ける。それが次のアクションを生み出す力になると感じています。

そうした考え方は、これまでの経験から培われたのでしょうか?

強く意識するようになったのは、ビジネスコアインフラ部でグループ全体のクラウドシフトを本格的に進めていたときです。

当時は「クラウドファースト」を掲げてはいたものの、現場ではオンプレのシステムがほとんど削減できておらず、「移行する」という表現だけでは動きが生まれないことを痛感しました。しかし、「オンプレを廃止する」というメッセージをセットで伝えたことで、関係者が自分ごととして捉え、具体的なアクションが生まれるようになったんです。その時に「やめること」を明確に示すことの重要性を、深く実感しました。

現場の声を未来の価値へ。確かな改善で“はたらく”をアップデートする

パーソルグループに25年間所属する塚本さんから見て、現在のパーソルホールディングスの魅力は何だと感じますか?

現パーソルビジネスプロセスデザインへ入社してから長くパーソルグループではたらいていますが、やはり一番大きな魅力は、経営層がテクノロジーへの理解と期待を明確に示してくれている点ですね。

中期経営計画にも「テクノロジードリブン」という言葉が掲げられており、経営陣自らがそうしたメッセージを発信することで、IT部門としても非常に動きやすく、やりがいを持って取り組めています。また、テクノロジーに対する投資にも理解があるため、計画的に準備し、適切なタイミングで提案すれば、実行フェーズまできちんと進められる環境がある。これは、実務者にとって非常に大きな魅力だと思います。

そしてもう一つ、社員数の多いグループ組織だからこそ、日々の業務にひそむちょっとした不便を解消するだけでも、その効果は大きく広がります。自分たちの改善活動の積み重ねが、グループ全体の生産性やはたらきやすさを底上げする――そんな手応えを感じられる点も、パーソルホールディングスではたらく醍醐味のひとつです。

ワークスタイルインフラ部の今後の展望を教えてください。

注力するのは、今まさに多くの社員が使っている既存のサービスを、もっと快適で使いやすいものに変えていくことです。運用改善は、新たな取り組みや派手な変革に比べて、なかなか注目されにくい領域です。しかし、その改善によって喜んでくれる社員が何万人もいる――これほどやりがいを感じられる仕事はありません!

現場から「こんなことに困っている」と声が上がったら、すぐに改善につなげる。「声を上げれば動いてくれる」という実感が、組織全体の信頼と改善の好循環を育むと考えています。

そうすることでスマートサービス化を進め、どれだけの改善を実現し、どれほど多くの社員の力になっているのか。その価値や重要性をきちんと可視化して、経営層にも伝えていきたいと思います。それが、現場で努力を重ねているメンバーの貢献を正当に評価し、称えることにもつながると信じています。

最後に、未来の仲間に向けたメッセージを聞かせてください。

サービスはリリースして終わりではなく、改善を重ねてこそ価値が生まれます。そのため、社員の声に丁寧に耳を傾け、課題を次の企画や要件定義へとつなげる視点が欠かせません。加えて、既存のルールや前提に対して「それは本当に最適か?」と問い直す姿勢も重要です。直近でも、中途入社のメンバーの柔軟な発想から、かつて難しいとされていた業務改善が実現した事例もあります。

組織に貢献する方法は、大きなプロジェクトや目新しい派手な企画だけではありません。日々の業務の中で感じた違和感を丁寧にすくい上げ、改善につなげていくことも、本質的で価値のある取り組みです。そして、みなさんがこれまで培ってきた経験や視点によって、新たに組織を前進させられることもたくさんあります。ぜひ、ともに現場に寄り添いながら、より良い未来をつくっていきましょう。

ありがとうございました!

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=嶋田純一/撮影=山本崇(PalmTrees)
※所属組織および取材内容は2026年1月時点の情報です。
※略歴内の情報は2026年1月時点での内容です。

Profile

塚本陽太 Yota Tsukamoto

パーソルホールディングス株式会社
グループIT本部 ワークスタイルインフラ部
部長

2000年に現パーソルビジネスプロセスデザインへ入社。アプリ・インフラ案件の企画提案、プロジェクトマネジメントなどを経験。2015年に現パーソルテンプスタッフへ異動し、基幹システムの刷新やPMI対応など、多数の改善活動を実施。2018年にパーソルホールディングスへ異動し、2025年4月より現職。

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