グループ5,000名の営業研修に変革を。AI企画室の若手ホープが挑むAIプロダクトの最前線

テクノロジードリブンの人材サービス企業を目指す、パーソルグループ。今回は、HR領域に新たな価値を生み出すAI企画室の今枝に、AI時代に求められる実践知とキャリアの可能性について聞きました。

スタートアップで磨いた実行力を、グループ横断のAI企画で活かす

まずは、今枝さんの現在の役割について教えてください。

AI企画室で、主に営業領域と音声領域に関わるAIプロダクトの企画を担当しています。営業担当者が日々行う業務や社内研修などをAIで代替・効率化することで、業務プロセスそのものを進化させる。また、音声技術を活用した新たなプロダクトの開発にも取り組んでいます。さらに、グループの国内49社(2026年2月1日時点)にまたがる多様な組織と連携しながら、AIプロダクトの活用推進もしています。

パーソルホールディングスに入社する前は、どのような仕事をされていましたか?

キャリアのスタートは、創業1年目のDXコンサルティングのスタートアップ企業です。大学時代に1年間インターンとして立ち上げ期から携わり、計5年間ほど在籍していました。採用やマーケティング、セールスなど幅広い業務を経験したことで、ビジネスの基礎が身についたと感じています。

また、さまざまな業種、業態に対して、事業課題の特定からシステムの開発、導入後の運用まで、一気通貫で支援していました。事業のどこに課題があり、テクノロジーでどうインパクトを出すかを考えてきた経験は、現在の仕事にもつながっています。

新たな活躍の場としてHR業界、中でもなぜパーソルホールディングスを選んだのでしょうか?

コンサルティングといった外部支援ではなく、事業に近い立場から、自らの企画でより大きなインパクトを社会に生み出したいという思いが強くなり、転職を決意しました。

パーソルホールディングスを選んだ理由は、いくつかあります。
まず、これまでは「売上拡大」を重視するスタートアップ的な視点でしたが、社会的な意義と市場への価値提供を両立できるHR領域に興味を持っていました。また、立ち上げ期の「まだ何も決まっていない環境で仕組みをつくっていく」フェーズが好きだったんです。パーソルホールディングスのテクノロジー領域がまさにそのタイミングにあり、自分の志向や経験と合っていました。

さらに、テクノロジー人材向けのPE制度*や、柔軟なリモートワーク環境など、はたらきやすい制度が整っていたことも大きな後押しになりました。いくつかの企業からオファーをいただく中で、パーソルホールディングスが自分の価値観にもっともフィットしていると感じたんです。

* PE制度(プロダクト・エンジニア制度):テクノロジー領域に携わるテクノロジー人材を市場価値に即した基準で評価する人事制度

「まだ専門家がいない」――だから”熱い”AI人材市場

前職はコンサルティング領域でしたが、現在のAI領域に関わるようになった経緯を教えてください。

入社当初は、前職で培ったテクノロジー活用の経験を活かし、パーソルテンプスタッフのCRM導入プロジェクトに携わっていました。全国約1,500名の営業メンバーに向けて新たなシステムを展開・定着させていく取り組みで、事業会社におけるDXの実行フェーズを経験できたのは大きな学びでした。

そんな中、入社から半年ほど経ったタイミングで、当時の上長から「新設されるAI推進部にチャレンジしてみないか」と声をかけてもらったんです。もともとAI領域には強い関心があり、グループとしてAIに本格的に取り組んでいく方針も示されていたため、迷わず異動を決めました。

以前からAIに触れていたのでしょうか?

転職を視野に入れたころから、SNSなどでAIに関する情報収集をはじめ、新しいツールが出ればすぐに試していました。また、副業でAIを使ったDX支援にも関わっており、「今後、事業や企画の文脈でAIは避けて通れない」と考えていたんです。結果として、テクノロジー活用の経験と、個人的に積み重ねてきたAIへの関心が重なり、AI企画室への異動につながったのだと思います。

キャリアを考えるうえで、AI領域をどのように捉えていますか?

AIは、どの業界にも適用できる「汎用性の高いスキル」です。あらゆる分野で活用が進む中でも、キャリアの幅を広く持ち続けられる強みになると捉えています。

ただ、AI領域にはすでに専門家が多くいるように見えますが、実際にはまだLLM(大規模言語モデル)のアップデートに皆が追いつこうとしている状態です。また、多くの企業が「まずは社内の人材で試してみよう」という段階にあり、AI活用の本格的な成功事例はまだ限られています。しかし、間違いなく数年以内に成果が見えはじめるタイミングが来る。そのときには、AI人材のニーズが一気に高まり、競争も激化すると考えています。

AI人材がまだ少ない今だからこそ、AI領域に深く関わり、プロジェクトを通じて実践的な知見を積むことで、自分自身の市場価値を高められる。非常に“熱い領域”だと思います。

グループ全体の営業職へ、AIロープレで仕掛けるスキル研修の変革

現在、取り組まれている具体的な施策があれば教えてください。

もっとも注力しているのは、「ロールプレイング研修のAI化」です。これは、新人研修やスキルアップ支援の場面で、AIが仮想の顧客や求職者として応答し、実践的な対話トレーニングを行えるようにする仕組みです。

昨年4月の組織立ち上げ後、まずはPoC(実現可能性の検証)に着手し、実用性に手応えを得たうえで、10月には本開発フェーズへと移行しました。今春に正式リリースを目指して開発を進めており、すでに複数のグループ会社での展開が決定しています。現場で顧客対応を担う営業職を中心に、人材育成を担う管理部門でも活用を見込んでおり、最終的にはグループ全体の営業職への展開を目指しています。

なぜロールプレイングのAI開発を選んだのですか?

実は、AI企画室の設立前から、パーソルテンプスタッフより「新人研修のロールプレイングをAIで代替できないか」という相談が寄せられていました。従来のロールプレイング研修は、講師役のベテラン社員に大きな負荷がかかるうえ、採用人材が増えるほど対応が難しくなります。そのため、対話やフィードバックをAIで再現することで、現場の負担を抑えながらも、質の高い育成を実現できる仕組みを目指しました。

このプロジェクトは、グループAI推進部にとって初の本格的なプロダクト開発であり、全社的なAI活用の“足がかり”となる、最初の一手としてふさわしいテーマだと捉えています。

AIツールの導入は、これまでの運用フローを変える場合も多く、現場に必要性を感じてもらう難しさもあると思います。どのようにアプローチしたのでしょうか?

まずは、各グループ会社にデモアカウントを配布し、実際の業務に近い形でツールを体験してもらいました。「まず使って価値を実感してもらい、本導入につなげる」――前職でも成果を上げていた手法を試したんです。結果として、10名〜20名規模で多くの現場に利用され、「想像していたより実用的」「プロンプト次第で自然な対話ができる」といった声も得られました。こうした反応をもとに調整することで、スムーズな導入につなげています。

私は使ったうえで合わなければ「無理に使わなくていい」と考えています。ただ、市場のロープレAIツールより業務にフィットしているという高い自信があり、現場の声を反映しながら継続的にアップデートできるため、一度使ったらやめられないはずです(笑)。

今後、どのような広がりを考えていますか?

今回のプロジェクトは、グループ各社とつながりを生む「フック」としての役割も担っています。導入を通じて現場との関係性が深まることで、各社が抱える多様な課題やニーズも見えてきます。

実際、昨年12月にパーソルテンプスタッフで開催された、約40名の新人が参加するロールプレイング大会で、このロープレAIを審査員として起用してみたところ反響が良く、「こういった場面でも使えるのではないか」との声が自然と上がってきました。今後は、そうしたユースケースを丁寧に拾い上げ、ナレッジとして蓄積することで、次のプロダクト開発に活かすといった好循環を生み出していきたいと思います。

そして、HR領域の実務にフィットした「使えるAIプロダクト」を実現できれば、本格的に取り組んでいる企業がまだ少ない今、優位性を築けるチャンスでもあると思っています。来期以降は、蓄積された知見をもとに、より実用性の高いプロダクトへと進化させていきます。

AIプロダクトを進化させていった先に、どのような未来を描いていますか?

今回のプロダクトは、対話のナレッジを蓄積できるプラットフォームにもなります。そのため、ベテラン社員の高度な営業スキルや、お客さまに響く提案をAIが学習・蓄積することで、誰もが再現可能な形で活用できるようになる。その結果、グループ全体の提案力や顧客対応力の底上げにつながるはずです。

将来的には、人と対話が必要なフロント業務そのものをAIで代替できる、革新的な取り組みになるのではないかと考えています。すでに営業領域のAIエージェントは別部門が開発を進めており、今後はナレッジを統合して、より高度なAI活用へ発展させていきたいですね。

AIと事業の両輪で実現する。ホールディングスで描く、未来志向のキャリア戦略

AI人材として活躍する今枝さんは、今後のキャリアをどう描いていますか?

前職では管理職としてマネジメントも経験しましたが、人を束ねる役割よりも、事業の本質に切り込み、価値を生み出す企画の仕事の方が自分には向いていると感じました。今後は、事業全体の構造を捉えたうえで、実行と戦略の両面から価値を設計できる「事業企画の専門家」として、自分の強みを磨いていきたいと考えています。

AI領域は、今後10年〜20年にわたって社会の中心にあり続けるでしょう。ただ、数年後にはAIの活用は当たり前となり、差がつくのは「どのように事業へ組み込むか」という視点です。だからこそ、AIの知見を深め続けながら、常に事業の現場に軸足を置いたチャレンジを続けていきたいと思います。

グループ横断で取り組む立場から見て、パーソルホールディングスの魅力は何だと感じますか?

もっとも大きな魅力は、はたらきやすい制度や環境が整っている安定性と、新しい技術やアプローチにも果敢に挑戦できる柔軟性にあると思います。グループ全体で売上1兆円を超える規模でありながら、この両立ができている企業はかなり珍しいのではないでしょうか。

また、事業を直接持たないからこそ、グループ各社に対して横断的に企画を提案できる。一歩引いた視点で全体を見ながら、複数の事業にインパクトを与えられることも、ホールディングスならではの面白さです。中長期で価値のある取り組みに集中できる点は、結果的にはたらきやすさにもつながっていると感じます。

そして、グループとしてAI活用を重点領域と位置づけており、長期的な戦略の中で本気で取り組んでいます。AI分野でスキルを磨き、事業に本質的な価値を出していきたい人にとって、これほど恵まれたフィールドはなかなかないのではないでしょうか。

最後に、グループの変革を加速させる今、どんな仲間と未来を描いていきたいか教えてください。

試行錯誤を重ねながら、自ら道を切り拓いてきたような方と、ぜひ一緒にはたらきたいですね。そういう方は、パーソルホールディングスの環境に身を置くことで、業務に余白が生まれ、本質的で戦略的な企画により深く向き合えるようになると感じています。これまで培ってきたスキルや経験を活かしながら、変化を前向きに捉えて挑戦し続けられる仲間とともに、新しい挑戦を形にしていきたいと思います。

ありがとうございました!

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=嶋田純一/撮影=長坂佳宣(PalmTrees)
※所属組織および取材内容は2026年2月時点の情報です。
※略歴内の情報は2026年2月時点での内容です。

Profile

今枝拓海 Takumi Imaeda

パーソルホールディングス株式会社
グループAI・DX本部 グループAI推進部
AI企画室
リードストラテジス

CRM領域のDX支援を行うコンサルティング会社にて、SaaS導入やBtoBマーケティング支援に従事。戦略立案から実行、運用改善まで一貫して携わり、自社のマーケティング部門の統括も経験。2024年8月にパーソルホールディングスへ入社し、現在はAI企画室にて、プロダクト企画やAI活用推進に取り組んでいる。

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