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男性社員にとっての育休とは?育児休業取得経験者に聞く

厚生労働省の調査では、企業などではたらく男性育休の取得率が昨年度はおよそ17%にまで増加しました。そんな中、パーソルグループは、人的資本の柱の一つとして「多様な人材が活躍する基盤の構築」を掲げ、2025年度までに男性育休取得率100%の目標を設定しています。(2023年7月時点の国内パーソルグループにおける1日以上の男性育児休業取得率は64.8%)

今回は、育休制度を利用し仕事と家庭の両立を図っているグループIT本部の福本と納富(のうとみ)に、男性社員にとっての育児休業のリアルを聞きました。

子どものため、妻のため、制度をフル活用し取得した育児休業

まず、お二人のお仕事内容を聞かせてください。

福本:私はパーソルグループ各社におけるITガバナンス関連の規定作りやその見直し、規程マニュアル類の整備、システムの信頼性を示す各種データの収集と分析を通じて、グループ全体で適切なシステム活用を推進する仕事に携わっています。

納富:私はパーソルグループ各社のIT予算運営を担当しており、各現場の皆さんから寄せられるIT予算に関する相談に対応するほか、研修や教育を通じてIT予算の編成や執行にまつわる知識を深めてもらう取り組みに従事しています。

―早速ですが、お二人が育児休業を取られたタイミングを教えてください。

福本:私は2023年4月の丸々1カ月間取得しました。

納富:私は息子が生まれた2022年11月から、2023年の2月までの3カ月間取得しました。

―お子さんが、それぞれおひとりずつということは、どちらも今回がはじめての育休ですよね。

福本:実は私の場合、娘が生まれた前職在籍中に1カ月取得しているので今回で2回目なんです。私がパーソルホールディングスに転職してしばらくして、職場復帰直前の妻が体調を崩してしまい、2回目の育休を取ることに決めました。

はたらきながら子どもの面倒をみつつ、妻をサポートするのは現実的ではなさそうだったので、欠勤扱いであっても休むと決めていたのですが、上司に相談したところ意外な事実を知りました。実は2022年10月以降、改正育児介護休業法の施行により「私の状況であれば育休の再取得が可能」だったんです。それで2度目の育休を取得できました。

―納富さんはいかがですか?

納富:何しろはじめての子どもですから、いつ何が起こっても対処しなければと思い、2021年6月に整備された「男性版産休制度」を活用しました。出産予定日直前の5日間お休みをいただき、そのまま3カ月間の育休に入りました。

転職直後の育休取得に感じた、ためらいと不安

―福本さんは23年1月、納富さんは2022年3月入社です。転職間もないタイミングで育休に入ることに不安や躊躇はありませんでしたか?

納富:妻の妊娠がわかったのがパーソルホールディングスに転職した2カ月後で「育休を取っても大丈夫なのか?」という思いがよぎったのは確かです。

以前から育児には積極的に参加するつもりだったので、育休を取ること自体にためらいはありませんでした。でも、仕事は覚えたてでしたし、何より上司や同僚、メンバーにどう思われるかが心配でした。

福本:私も転職から3カ月しか経っていなかったので納富さんと同じ気持ちでしたね。それに加え、室長への着任を控えていたタイミングでの取得でしたから、メンバーからどう思われるかがとくに気がかりでした。

―実際、周囲の反応はいかがでした?

福本:上司に相談したところ、すぐさま「構いませんから気にせず取ってください」と言っていただけました。周囲の皆さんも「育休、取られるんですね」と、ごく普通のことと受け止めていただいたようで、ちょっと拍子抜けしたほどでしたね(笑)。

男性が育休制度を利用することに対して珍しがられた記憶は一切ないですし、取得に関して意見したりされたりする場面も見たことがありません。当然のこととして受け止められているからだと思います

納富:私も、上司や周囲の皆さんが「会社のことは心配しないで、納富さんは家庭をしっかり支えてください」と背中を押してくれました。

また、上司である本部長も過去に率先して男性育休を取得されていますし、職種や立場、男女関係なく、子どもが生まれたら「育休は取得するのが当たり前」という雰囲気がありますね。

育児を通じて学んだ、他者を許容し真摯に接する大切さ

―育休中だからこそ得られた学びはありましたか?

福本:以前は、ベビーカーを押しながら子どもを抱っこしている親御さんを見かけると不思議でなりませんでした。「ベビーカーに乗せればいいじゃないか」って思っていたからです。でも、結局自分も同じようになりました。子どもは親の都合なんて関係なく、ベビーカーに乗りたくなければぐずるので、抱っこをしなければならないと。

いまの世の中、凄く便利じゃないですか。電車は時間通りにくるし、商品を注文したら次の日に荷物を届けてくれる。でも娘を育てるなかで「自分でコントロールできないこともあるんだな」と改めて気付くんです。娘のおかげで自分と異なる境遇にいる人、事情を抱える人を許容しながら物事を前に進める大切さを学んだ気がします。自分にとって大きな価値観の変化でした。

納富:息子が産まれる直前まで、YouTubeや書籍を通じて自分なりに育児を勉強したのですが、そのなかで心に残った一文があります。それは「赤ちゃんはそもそも夜は寝るべきであることすら知りません。赤ちゃんは何も知らない【地球初心者】なんです」という言葉でした。この一文を読んで「なるほど」なと(笑)。

私も福本さんと同じように、仕事を通じて、グループ会社の方々を支援したり、相談を受けたりするのですが、どれだけ忙しくても居丈高になるべきじゃないと改めて感じました。大袈裟に言えば息子の存在が、誠意を持って仕事に取り組む姿勢を教えてくれた気がします。

―育休前と後で、はたらき方は変わりましたか? 

納富:私はフレックスタイム制度を存分に活用するようになりましたね。以前は朝9時から夕方6時まではたらき、残業がない日はそのまま就業し夕食を摂るような生活リズムだったんですが、子どもが生まれてからは、入浴や食事のために業務を中断することが増えました。昼間息子の面倒を見ている妻に代わり、夜中にミルクを飲ませるのは私の役割なので、始業時間や就業時間を調整できるフレックスタイム制度はとてもありがたいですね。

福本:いま私は8時間のフルタイムではなく6時間の時短勤務を選択しています。家族と過ごす時間を少しでも増やしたいからです。納富さんのように状況次第では残業をすることもありますが、基本的には6時間でできる仕事をこなして、それ以外は家族のために使うようにしています。

ためらいや不安の大半は杞憂。だから積極的に取得してほしい

―育休を取得された経験を踏まえ、こんな制度や取り組みがあったらいいなと、感じたことがあれば教えてください。

納富:制度ではないですが、その人でなければできない属人的な仕事をなくすべきだと思いましたね。育休に限らず、病気やケガで動けなくなったときでも業務が回るよう、日頃からチーム内で情報共有しておくのが重要なのかなと思います。

福本:同感です。もうひとつマネージャーの立場から申し上げると、どんなに忙しくてもカツカツのスケジュールを引かないのも大事なポイントだと感じました。何か不測の事態が起こればすぐに破綻してしまいかねないスケジュールでは、誰も安心して休めません。最近はチームのリソースを7割、8割で業務を設計し、プラスアルファで満点を目指すぐらいの考えが丁度いいんじゃないかって思うようになりました。

―改めて育休制度を利用した感想を聞かせてください。

福本:育休を申請する前に感じた不安の大半が杞憂でしたね。パーソルホールディングスでは男性育休がそれくらい当たり前に普及しているってことなんだと思います。

納富:そうですね。とくに「転職してすぐ育休を取っていいのか」というためらいに関しても、周囲からかけていただいた「安心して育児に専念してください」という言葉であっさり解消されました。ありがたいことですね。

福本:個人的には妻が喜んでくれたのが一番ですね。さらに、私の親は当初、男性が育休を2回も取ることを心配していたようですが、最近は「男性が日中にベビーカーを押している姿をよく見かけるようになった」と話していて、私たちの育児を通じて時代の変化を感じ取ってくれているようです。それも取得してよかったことのひとつかも知れません。

納富:私は、育休期間を3カ月間取ってよかったと思っています。少しでも妻の体力回復に貢献できたらという一心で過ごした3カ月間でしたが、いま振り返ってもとても有意義な時間でした。

―これから育休を取得する人にアドバイスはありますか?

納富:育休に入ったらすぐに家事を引き受けられるよう、普段から家事は分担しておいたほうがいいと思います。

福本:いまにして思えば、1カ月と言わず、思い切って1年取ればよかったなって思うんです。子どもにとってはもちろん、家族にとってかけがえのない時間ですから。納富さんが深く頷いてくれたのでちょっとホッとしました(笑)

納富:本当にそう思います。妻は産前産後の夫の振る舞いをよく見ていると言うじゃないですか。もちろんイクメンアピールが目的ではありませんが、きちんと態度で示さないと妻も子どもも安心できません。もし「家族ファースト」を自認するのであれば、ぜひためらわず取得してほしいですね。

取材・文=武田敏則(グレタケ)
(2023年10月時点の情報です。) 

福本崇志Takashi Fukumoto
パーソルホールディングス株式会社
グループIT本部 IT企画部ITマネジメント推進室
兼 ITガバナンス部 ITマネジメント室 室長
SIerにて地方銀行の勘定系構築プロジェクトに参画し、開発・運用を担当。その後、監査法人およびWeb系企業にてシステム監査・情報セキュリティ監査・プロジェクト監査などを経験し、2023年1月にパーソルホールディングスへ入社。以降はグループIT本部IT企画部にて、グループ全体のITガバナンス向上に向けた取り組みに従事。
納富祥郎Yoshio Notomi
パーソルホールディングス株式会社
グループIT本部 IT企画部 IT戦略室
リードコンサルタント
2015年、日本年金機構へ入構し、年金相談や納付督励、滞納処分など、お客さま応対や行政処分業務に従事し、2018年より厚生労働省年金局へ出向。年金システムの予算編成や、財務省をはじめとする幅広いカウンターパートとの調整を担当。2021年には日本年金機構へ復籍し、継続して年金システムの予算編成やカウンターパートとの調整を担当。2022年、パーソルホールディングスへ入社し、グループIT本部の予算運営や関連研修・教育に従事。

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