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パーソルビジネスプロセスデザインが目指す、BPO事業のあるべき姿

“人”と“プロセスデザイン”、そして“テクノロジー”の力でお客さまの組織の生産性向上を実現することをミッションとするパーソルビジネスプロセスデザイン。AIやIoTなどのテクノロジーを活用して顧客のビジネスプロセスの変革を支援しています。

今回は、同社で執行役員として中核事業をリードする小野にインタビュー。これまでの経験や現在担う役割と、小野が見据える組織としての展望や今後の取り組みについて、話を聞きました。

“方針は一貫して・手段は柔軟に”を大切に、ビジネス変革に携わる

―まずは、小野さんのこれまでのご経歴から聞かせてください。

2008年に、現在のパーソルビジネスプロセスデザインの前身であるインテリジェンス(現・パーソルキャリア)のITアウトソーシング部門に新卒で入社しました。組織としては吸収合併や子会社化といった変遷を経る中で、変わらず勤め続けて今年で17年目になります。

―ファーストキャリアとして、インテリジェンスを選ばれたのはなぜですか?

将来的に自分で事業やサービスを作り、自分の力で生きていけるような人間になりたいと考え、何か専門性を身につけようとITの分野での就職活動を進めました。

インテリジェンスは当時、総合職のほかにIT専門職でも新卒採用を行っており、ITに関わる仕事ができること、また「入社して数年で独立して事業をやる」と意気込む仲間や先輩に囲まれた環境や、ベンチャー感溢れる風土に惹かれました。ここなら自分で事業やサービスを作るという思いも叶えられそうだと感じ、入社の決め手になりました。

―入社以来、どのような役割や業務を経験されてきたのでしょうか。

ITセールスからキャリアをスタートして1年ほど経験を積んだ後、事業としての受託範囲が広がり、PMOとしてお客さまのプロジェクトの支援に入らせていただくようになりました。スケジュールや工数の管理、コストの試算、サービスを作り替える際の構成や補償範囲の検討を行ったほか、時には技術的な面でSEさんのサポートにも入るなど、このタイミングで非常に幅広い経験を積みました。

その後は関西拠点の立ち上げを担当して、200〜300名規模の採用や事業のマネジメントを行ったり、新たにドローンのビジネスを立ち上げたりしてきました。2018年からはICTアウトソーシング統括部の責任者を任せていただき、少しずつ管掌範囲が広がっています。

―幅広い役割を経験される中で、変わらず大切にされていることはありますか?

昔から大切にしているのは、「方針は一貫して・手段は柔軟に」ということ。さまざまな社会の変化など、大きな話を捉えることは重要ではあるものの、それを捉えた上で自分たちが何をしていくべきかという根本的な方針はぶれずにありたいと思っています。

またその方針を実現するにあたっては、目的と手段がそれぞれ何であるのかを意識することが重要だと考えています。ITの分野においては特に目的と手段が入れ替わってしまうケースがよく見られますが、現在ITやテクノロジーがビジネスを変えるための重要な手段だと思えるからこそ活用に取り組んでいるのであり、ほかにビジネスをエンハンスする手段があるのならそちらをとってもいいはずだと。あくまで柔軟に手段を選んでいくことが大切なのかなと思います。

テクノロジーの力で、社会や産業の変化に苦しむ“現場”を支え続ける

―改めて、現在の役割を教えてください。

2022年からパーソルビジネスプロセスデザインの中核事業であるビジネスエンジニアリング事業の事業部長を、2023年からは併せて執行役員を担当しています。

―小野さんが管掌されるビジネスエンジニアリング事業について、概要を聞かせていただけますか。

お客さまのビジネスの“エンジン”になろうという思いで立ち上げられたアウトソーシング事業で、単純に業務を「代行」するのではなく、さまざまな部門の業務や実務をサポートしながら業務と組織を継続的に改善していくことを目指しています。

全部で5,000名弱のメンバーのうち8割ほどが正社員なのが特徴で、一般的なコンサルティングとBPOの中間に位置するプロフェッショナルサービスと捉えていただくとよいかと思います。

事業領域としては主に3つで、

  • BPOやコンサルティング、PMOなどのサービスを、IT業界をはじめとするさまざまな顧客企業のITセクション向けに提供する「ICTアウトソーシング統括部」
  • 同様のサービスをエネルギー業界向けに提供する「エネルギービジネス統括部」
  • コールセンター機能を提供する「コンタクトセンター統括部」

という体制で各サービスを展開しており、これらの事業を支える営業や人事、R&Dなどの組織も内包する体制となっています。

―各事業領域において展開されているサービスについてもそれぞれ詳しく伺えますでしょうか。

ビジネスエンジニアリング事業では、前段でお話したICTアウトソーシングとエネルギー事業があります。それぞれ、DXや働き方改革などニーズに合わせたサービスを展開し、事業を伸ばしています。

サービスは多岐にわたりますが、代表的なものを挙げると、

  • BPOサービス:総務、人事、情報システム等のバックオフィス部門や各種ヘルプデスク等のフロント部門の業務を預かり、運用設計、運用、業務改善を一気通貫で対応
  • PMOコンサルティング:ICT領域を中心に、新規事業やサービス企画フェーズのプロジェクト支援から、BPR業務改善までを提供
  • デジタライゼーション:プロセス効率化による生産性を向上させるため、デジタルソリューション(RPA等)の導入から定着・保守までを支援
  • GXコンサルティング:脱炭素化に関する課題に対し、コンサルティングから算定・実行支援、サービス開発支援に至るまで提供
  • ドローンソリューション:ドローンの社会実装に向けて、サービス事業社およびユーザー企業を対象に運用プロセスの設計、構築、運用、定着化まで総括的に支援
  • コンタクトセンター:非対面の営業代行や各種カスタマーサポート窓口、事務領域の代行、DX推進を支援

など、業界や特定の業務領域に特化したなサービスを提供しています。

―パーソルプロセス&テクノロジーのビジネスエンジニアリング事業ならではの強みはどのようなところにあるとお考えですか?

明確な差別化のポイントは、BPOに欠かせない“ビジネスプロセスの変革”と“デジタルorテクノロジー”です。

パーソルビジネスプロセスデザインでは、過去1600を超えるプロジェクトの運営に携わり、業務改善からビジネスプロセスの設計、運用までを支援してきました。その豊富な経験やプロセスデザインの知見を活かし、様々な業界・業種でのBPOサービスを提供しています。また、それらのノウハウをナレッジ化したパーソルビジネスプロセスデザイン独自のメソッドによる支援は、品質・コストパフォーマンスともに多くの企業様から高いご評価をいただいています。

プロジェクトに関わる全社員のデジタル技術獲得を必須としており、全社員がコーディングやRPA構築などの技術を持っているため、現場の業務に携わりながら見つけた課題に対してそのままデジタル化、自動化を行うことができます。

社内の専門セクションや外部のITベンダーと連携することなく業務内で改善に取り組むため、認識のずれが生じることなく、素早く、追加のコストをかけずにいいシステムを作れるという点は、お客さまに価値を感じていただけるポイントではないかと思います。

生産性向上を実現する最大の武器となるのが“デジタル”

―パーソルプロセス&テクノロジーでは、中期経営計画2025において「生産性向上プロフェッショナル」と「デジタル武装」というキーワードを掲げられていると伺いました。それぞれの背景にある思いについて教えてください。

私たちの会社はさまざまな事業が合わさってできており、出自はそれぞれ異なります。そうした各事業にとって共通のよりどころとなるのが、パーソルグループが向き合う「労働人口の減少」という課題を背景にした「生産性向上」というテーマなのです。

生産性向上というとコスト削減に目が向けられやすいものですが、手段はそれだけではありません。「付加価値÷資源」で考えるのが生産性ですから、分母を小さくすることと分子を大きくすることの両側面にしっかりと取り組んでいこうという思いで、「生産性向上プロフェッショナル」という軸をおいています。

―「デジタル武装」についてはいかがですか。

付加価値を高め、資源を削減して生産性を高めるための最も有力な手段はデジタル活用だという考えに立ち、私たちの新たな武器、強みとなるデジタルで身を固めていこうという思いを「デジタル武装」と表現しています。

ビジネスエンジニアリング事業部では全社員がコーディングやRPA構築の技術を持っているとお伝えしましたが、これも「デジタル武装」というテーマがあったから実現できたことです。2020年から4年の時間をかけて研修を重ね、延べ4000名の社員にデジタル技術の研修を受講してもらいました。そして、その中で私たちが目指すことやそのためのデジタルの必要性をメンバーへ共有してきた中で、一人ひとりが意義を理解して技術を身につけ、これを活かして現場で業務改善しようという手応えを持ってやってくれている結果だと思います。

―ビジネスエンジニアリング事業においてこれらのキーワードを大切に取り組んできた成果として、ほかに実感されているものがあれば教えてください。

社内には、以前から、メンバー自身の興味関心のもとに獲得した技術を使って驚くようなシステムを開発し、生産性向上を実現しているような現場がありました。デジタル武装の取り組みとして全社員向けの教育をスタートすると、こうした価値発揮の可能性が広がりました。

また、皆でデジタルを学んでいる中で突出した技術力を持つメンバーたちも出てきており、それぞれでVBAやAccessなどで業務ツールを開発して納品したり、クラウドサービスの導入をご支援したりするようなビジネスを立ち上げるなど、お客さまに貢献できる幅も広がってきています。

“テクノロジーを活用したプロセス変革の専門家”として認知された状態を目指す

―ビジネスエンジニアリング事業としての、今後の展望をお聞かせください。

私たちは現在、主に「デジタルを活用したタスクの自動化」を手がけていますが、ここからさらに事業を進化させるために、大きく二つのことに取り組んでいきたいと思っています。

一つは、各現場で行ってきた自動化の取り組みを吸い上げてモジュールに変えていくこと。お預かりしている業務のワークフローを同じ規格で可視化してビッグデータとして集めれば、標準化された“業務プロセス”を定義できます。この業務プロセスと「この業務でどのようなテクノロジーを活用して生産性を高めているか」というデジタルのノウハウを掛け合わせて“業務モジュール”を作っておくことで、お客さまから依頼をいただいてから業務を開始するまでにかかる時間を短縮していきたいと考えています。

もう一つは、タスクの自動化からもう一段階進んで「デジタルによるビジネスプロセス全体の変革」にも挑戦すること。そのためには、これまでの自動化の取り組みをすべて繋ぎあわせてさらに進化させる必要があるので、ビジネスエンジニアリング事業の中にもCoE(Center of Excellence)組織を設け、エンジニアたちの技術を集結させて取り組んでいければと思います。

―より長期的な視点で、目指す姿とはどのようなものでしょうか。

私たちBPOベンダーは、“プロセスデザイン”の知見をもつ業務プロセス変革のプロフェッショナルであり、またその中でのテクノロジー活用についても誰よりも知見を持つ専門家だと自負しています。私たちが持つさまざまな業界や企業でのビジネス変革の経験とノウハウがあれば、素早く適切なビジネス/業務プロセスに変えていけるのだと認知され、BPOが専門職としての高いプレゼンスを獲得できている状態を目指したいですね。

それによって、BPOの領域ではたらく皆さんが自身の仕事に誇りを持てるような、また多くの人々にとってBPOが“習得したい専門性or専門職”になるような世界が実現できたら嬉しいなと思います。

―そのほかにも、取り組むべきテーマとして検討されていることがあれば教えてください。

私としては、ビジネスエンジニアリング事業にとって今後取り組むべきメインテーマとなるのは「脱炭素」と「AI」だと思っています。

脱炭素化が進むことで全産業がサプライチェーンを大きく変える必要に迫られ、現場でも新たなルールに対応するためにやるべきことが増え、手探りで取り組みを進める負担があるはずです。

またエネルギー転換によって旧産業での雇用が減少し、反対に新産業で雇用が不足することが考えられる上、さらにAIによってビジネスプロセスが変わり、雇用がこれまでと大きく変化する領域もあると言われる…こういった揺れ動く状況に、しっかりと対応していきたいところです。

―そういったテーマに対して、パーソルビジネスプロセスデザイン、そしてビジネスエンジニアリング事業としてどう貢献していきたいとお考えですか?

まずはこの労働移動という課題に対する対応の経験や知見を、世の中に展開していくことができると考えています。またBPOは基本的にメンバーを雇用して展開するビジネスですから、雇用のなくなった領域で活躍されていた方々の新たな着地点になることもできるのではないかなと。そういった方々を受け止め、必要な新しい知識を身につける機会をご提供し、一人ひとりの経験と新しい知識を活かせる別の現場での活躍を後押しする……そんな貢献の仕方もあるのではないでしょうか。

―最後に、今後パーソルグループにおいて、どのような役割を果たしていきたいと考えていますか?

産業構造がさまざま変化し、それに伴って現場の仕事も変化していくと考えられる中、パーソルグループのほかの事業と私たちの連携が重要になるのではと考えています。

例えば、人材派遣や人材紹介などの事業に、業務プロセスを深く知る私たちが入り込むことで、グループとして「この産業やビジネスがこういうふうに変わっていくから、こういったリスキリングが必要だ」と定義できるかもしれないと考えています。“すでに一人ひとりが持っているスキル”と今ある仕事”というピンポイントのマッチングだけでなく、「必要なリスキリングを行った上で仕事を紹介する」といった新しいアプローチにつなげるなど、これからさらに連携を広げていければと期待しています。

―ありがとうございました!

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=合同会社ヒトグラム)
(2024年9月時点の情報です。)

小野陽一Yoichi Ono
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社
執行役員 兼
ビジネスエンジニアリング事業部
事業部長
新卒でパーソルプロセス&テクノロジー(現:パーソルビジネスプロセスデザイン)へ入社。IT業界の大手クライアントを中心に営業企画・サービス開発の支援を行う。2018年からはサステナブルな社会を目指して、ドローンビジネスを立ち上げ。ドローンサービス普及のための、運用標準化に取り組む。2022年よりICT、エネルギー、ドローン・MaaSを含む、アウトソーシング事業全体を管掌。

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