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未経験からテクノロジー部門へ―パーソルテンプスタッフ、リスキリング経験者座談会

パーソルグループでは中期経営計画2026において、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」を目指すための事業成長のエンジンに「人的資本」を掲げています。なかでも重要指標となっているテクノロジー人材獲得に向け、グループ内でテクノロジー領域未経験者をテクノロジー人材へ育成するリスキリングの取り組みを進めています。

今回は、人事異動を機にリスキリングを経験し、テクノロジー人材として活躍するパーソルテンプスタッフの前田・牧野・清水に「未経験からのテクノロジー領域へのリスキリングのリアル」を聞きました。

テクノロジー部門という新たな挑戦

ーリスキリング前の皆さんの経歴を教えてください。

前田:私は新卒でパーソルテンプスタッフに入社して以来22年間、営業現場におり、都内や都内近郊のさまざまな事業所でキャリアを積んできました。オフィスマネージャーとして、時短勤務者のみを集めた営業部門の立ち上げを担当したり、大手顧客を担当する部門ではアカウントセールス組織のマネジメントをしていました。

牧野:私は2012年にインテリジェンス(現:パーソルキャリア)に新卒入社して以来ずっと人材派遣の営業に従事してきました。チームリーダーとして担当エリア内のメンバー配置検討や、営業戦略などの立案・実行・管理なども経験しました。

清水:私は2019年にパーソルテンプスタッフに新卒で入社し、4年ほど人材派遣サービスの営業に従事しました。その後、新規取引先の開拓や既存顧客への提案営業を担当しました。

ーどのようにして、テクノロジー領域へリスキリングする運びとなったのでしょうか?

清水:リスキリング以前から今後のキャリアについて考えていました。営業の仕事は好きでしたが、これから先のキャリアを考えたとき、営業のほかにもスキルを身につけたいと漠然と感じていたんです。新しい分野を一から学び、アイデアを育てていくのが好きだったので、企画職に興味があることを上司に伝えていた矢先に、現在所属しているアジャイル推進部への異動が決まりました。

牧野:私も「まったく新しい分野にチャレンジしてみたい」という思いがあり、営業部門以外への異動希望を上司に共有していました。そう思うようになったのは、自身に子どもが生まれ、ものすごいスピードで日々成長する姿を目の当たりにする中で、自分自身に危機感を感じたことです。

営業職として「これからどうしたいのだろう」と悩んでいたタイミングだったこともあり、ジョブトライアル制度*を活用し、以前から興味のあったテクノロジー領域の仕事を経験させてもらいました。これをきっかけにテクノロジー領域への興味が具体的になっていたところ、辞令が出て異動に至ったという流れです。

前田:私の場合、グループ会社のパーソルビジネスプロセスデザインと一緒に新しいサービスの開発に取り組む機会があり、そのなかで企画の難しさを感じるようになりました。新たな環境で自分がどのくらい通用するか知りたい、という思いが芽生えているときに、ジョブトライアル制度を活用してパーソルキャリアのWebマーケティング部門での仕事を体験したんです。違う畑の仕事ということもあり最初は不安でしたが、マーケティング分野で素人の私にも丁寧に仕事の進め方を教えていただき、より「新たな環境」に興味が湧くきっかけとなりました。


*ジョブトライアル制度:自律的な学びとキャリア選択のきっかけを得ることを目的に、労働時間の一部(月8時間以内)を使って、異なる会社・部署の仕事を体験する制度。パーソルグループ内の社員約3万人が対象となる

ー異動が決まった際の率直な感想を教えてください。
清水:テクノロジー領域の経験がまったくなかったどころか、パソコンスキルすらも乏しかったので、とにかく「難しそう」というのが第一印象でした。ただ新たなことを学ぶのが好きな性格なので、おもしろそう、学びがいがありそう、という期待感もありました。

牧野:未経験領域への挑戦という意味での不安はあまりありませんでしたね。ただ未経験とはいえ社会人10年目としての異動でもあったので、「周囲から一定の期待もあるだろう、それに応えられるかな…?」というプレッシャーは少しありました。

グループワークや資格取得…リスキリングの全容とは?

ー異動先に配属された後、リスキリングのためにプログラムが用意されていたと聞きました。どのような内容だったのでしょうか?

前田:当時テクノロジー部門への異動が盛んなタイミングで、私と清水さん含め約20人が同年にテクノロジー領域未経験からテクノロジー部門へ異動となりました。そのため、基本的には皆で同じプログラムを受けていました。

具体的には、必要なスキルが包括的に学べる「即戦力化プログラム」を年間を通して受講しました。1カ月に1〜2回程度のペースでプロジェクト運営の方法や要件定義の方法、ファシリテーターを務める上での心構えなど、実践的な内容が体系的に学べたと感じます。

それとは別で、「ITパスポート試験」の合格を目指していました。配属から半年間は業務時間の一部を勉強時間に充てられたので、各々が計画的に学習を進めていたと思います。

ーとくに印象に残っているプログラムや研修内容があれば、教えてください。

前田:実際の業務課題を題材にしたグループワークが印象に残っています。パーソルテンプスタッフの中核事業である人材派遣業における課題が提示され、それをどのように解決できるかをグループごとに発表するという内容でした。

清水:あのワークはおもしろかったですね。1つのプロダクトを開発する一連の流れをミニマムに体験できたと思います。プロダクト開発のためにユーザーの感情マップやストーリーを作成したり、ROIを計算したり。プロダクト開発には表面的な課題解決だけでなく、その裏にある本質的な課題が何かを深く考えることが必要なのだと学びました。

ー牧野さんは、リスキリング期間どのように学習を進めていましたか?

牧野:私の場合は、配属後1年間は業務時間の一部を資格取得のための勉強時間に充てられました。

前田さんたちと同じ「ITパスポート試験」のほかに、私の部門では「ITIL ® 4 ファンデーション」「基本情報技術者試験」の資格取得が推奨されていました。その上でより早く業務に慣れるために、「AWSクラウドプラクティショナー」と「情報セキュリティマネジメント試験」にも自主的にチャレンジしました。

最初の1年間は、月に1〜2回のペースでテクノロジー領域の基礎知識を身に付けるための外部研修受講やeラーニング受講など、かなり盛りだくさんでした(笑)。

ー学習のモチベーションを保つのが難しそうですが、いかがでしたか?

牧野:そうですね(笑)。ただまったくの新しい分野への挑戦に心が折れないよう、定期的に外部メンターと面談する機会が設けられていました。学習の進捗を共有したり、時には悩みをシェアしたりと、社外のメンターだったからこそ、なんでも率直に相談できたのが良かったです。

あとは同じタイミングで5人ほど異動したので、お互いに「やばいよね」と弱音を吐きながらも励まし合いながら切磋琢磨できたのが心強かったです。

前田:私たちの本部でもレイヤー問わず異動してきたメンバーが集まってランチ会が開催されていました!「大変だよね」と悩みを相談し、励まし合える場があったのはとても力になりましたね。

自らの成長実感がモチベーションに

ーリスキリングを経て、現在はどのような仕事を担当しているのでしょうか。

前田:所属しているクライアントDX推進部は、派遣先企業向けプラットフォーム「T-PLA」のサービス企画を担う部門です。そのなかでも私が所属するクライアントDX推進室は、派遣先企業に近い立場でオンボーディング支援、メールマーケティングの運用企画などを担当しています。

清水:私はアジャイル企画室で、社内のフロント部門のDX推進に携わっています。今取り組んでいるのは、派遣スタッフを派遣先企業に紹介する際に必要となるスキルシートをAIで自動作成するシステムの開発です。利用者の声をヒアリングしながらアップデートを重ね、現場の業務をより効率化して事業に貢献するのが私たちの役割です。

牧野:私は基幹システムと外部サービスの連携に関する業務や、フロント部門向けのシステム導入支援などを担当しています。たとえば事業部門からの改修要望があった際に実施時のリスクや外部システムへの影響などを検討したり、実際の開発プロセスをマネジメントしたりするのが私の役割です。

ー今担当している仕事でおもしろさを感じる部分、逆にまだ難しいと感じる部分を教えてください。

清水:おもしろさと難しさ、表裏一体な点でいうと、本質的な課題を考えることですね。私の部門は、営業担当者の声を聞くのが大切ですが、一つひとつの声を表面的に理解するのではなく、本当に課題だと感じていることを見抜くのは難しさでもあり、この仕事のおもしろい部分でもあります。

前田:新たに開発した機能に対して派遣先企業から「便利だね」「すごいね」など声をいただくと、テクノロジーで事業を変革している実感が湧き、やりがいに感じます。また、その成果に辿り着くまでの仕事の進め方自体も純粋におもしろいです。クリティカルパスを理解して仕事を進める力は、これからどの部門に行っても持ち運べるスキルではないでしょうか。

難しさを感じるところでいうと、テクノロジー領域の専門知識や用語に対する理解ですね。開発者との会議では、いまだに外国語で会話されているような感覚になることがあります。「知らないことは恥ずかしいことではないはず!」と言い聞かせて、その場で都度質問して解消するように心がけています。

牧野:わかります。私もテクノロジー領域でまだまだ苦手な分野が残っていて、これをクリアするにはもっと時間をかけて基礎からしっかり学びを深める必要があると考えているところです。

ポジティブな部分としては、新しい知識を学び、新たな領域に挑戦できていること自体にワクワクしますね。所属部門で自分しか持っていない知識があったりすると、その知識がほかメンバーから必要とされたり、業務に結びついたりしたときは存在意義が感じられます。

テクノロジー部門での活躍を目指す社員の「道筋」に

ーリスキリングを経験した感想を教えてください。

牧野:素直に、リスキリングが経験できて良かったと思います。社会人として過ごしてきた10年間ではなかなか時間をさけなかった「学び」と向き合い、新しいことを吸収し、それが業務につながり、自分自身がレベルアップできている。これを実感できるのが新鮮で楽しいです。学習期間も「強制感」を感じることなく、業務のつながりを感じながらポジティブに進められました。

前田:長くフロント部門にいたので、事業を多角的に見る視点を養えたのが一番大きな収穫です。「こうやって業務のやり方を変えていくんだ」と脳をフル回転させ、ワクワクしながら仕事ができて非常に刺激的です。

清水:私も常に物事の本質に立ち返る癖がつき、自分の思考の仕方が変わった実感があります。また牧野さんと同じで学ぶこと自体も好きなので、自分の知らない世界を吸収することでの知的好奇心が満たせておもしろいですね。リスキリングを経験して良かったと思っています。

ー最後にリスキリングを経験した今、これからチャレンジしたいことを教えてください。

牧野:自分自身今後も学び続けたいのが1つ。もう1つは、グループ全体でテクノロジー人材の需要が高まるなか、テクノロジー部門での活躍を目指す非テクノロジー社員の道筋となる存在になりたいと思っています。私自身の経験を活かして、そんな皆さんを受け入れられるような基盤・組織づくりに貢献したいです。

清水:私は、現場のテクノロジー活用における意識改革に取り組みたいですね。新たなテクノロジーを活用したツールを営業部門に使ってもらう際、まだまだ抵抗感があると感じます。テクノロジーは決して怖いものではなく、むしろ業務を効率化してくれる強い味方だと粘り強く伝えていきたいです。

前田:フロント部門との連携強化やテクノロジー活用推進を通じた事業変革に、部のメンバーとともに引き続き挑戦したいです。2025年の4月から部長職を務めることになったので、現場視点とともにより多角的な視点で事業そして企業価値向上に貢献できればと思います。

取材・文=ファーストブリッジ 宮口佑香
(2025年2月時点の情報です。)

前田裕子Yuko Maeda
パーソルテンプスタッフ株式会社
DX推進本部 クライアントDX推進部
クライアントDX推進室
ITDXマネージャー
2001年、パーソルテンプスタッフへ新卒入社。複数のオフィスで勤務後、マネージャーとして横須賀オフィス立ち上げに携わる。産休や育休を経て2015年には時短勤務社員で構成された営業組織の立ち上げを担当。大手個社のアカウントセールスを経て2023年にDX推進本部へ異動。現在は、法人ポータルサイト「T-PLA」のサービス企画のプロジェクトマネジメントなどを担当している。
牧野翔太Shota Makino
パーソルテンプスタッフ株式会社
テクノロジー本部 ビジネスIT推進部
スタッフIT室
2012年にインテリジェンス(現:パーソルキャリア)へ新卒入社し、一貫して人材派遣業の営業に従事。2022年にテクノロジー本部へ異動し、基幹システムの新規導入プロジェクトなどを経験。現在はチームリーダーとしてチーム・システムの安定運用の為の仕組みづくりや、プレイヤーとしてクラウドサービス導入のプロジェクトマネジメントなどを担当。
清水萌美Moemi Shimizu
パーソルテンプスタッフ株式会社
DX推進本部 アジャイル推進部
アジャイル企画室
2019年にパーソルテンプスタッフに新卒で入社。新宿オフィスにて新規開拓や深耕営業に4年間従事した。2023年4月よりDX推進本部に異動。現在はAIを活用したスキルシート自動生成システムの企画開発など、社内フロント部門のDX推進に携わっている。

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