「パーソルテンプスタッフらしさ」を残したあたたかみのあるDXを――戦略の立案と実行を担う「DX推進本部」のトップが見ている青写真

2025年4月の組織再編により、パーソルテンプスタッフではDX推進本部・テクノロジー本部・デジタル横断企画本部と3つの本部からなるデジタル管掌組織が新たに始動しました。今回は、DX推進本部で本部長を務める戸澤にインタビュー。これまでの経験や現在の役割、DX推進本部として掲げるミッションや展望について話を聞きました。

「柔道整復師」から、未経験でITコンサルタントに転職

―まずは、戸澤さんのキャリアについて聞かせてください。

ファーストキャリアは、柔道整復師としての整形外科・接骨院での仕事です。バスケットボールで渡米した高校時代、怪我をして現地のトレーナーの仕事に感銘を受けたことを機に国家資格を取得して、プレイヤーとは別の形でスポーツに関わることを決めました。

当時は楽しくはたらいていましたが、社会をよく知らない高校時代に選んだ仕事だったこともあり、ある程度経験を積んだタイミングで「もう一度フラットにやりたいことを考えてみよう」と思い未経験でしたがIT系のコンサルティングファームへの転職を決意しました。ここがキャリアの転機といえるかもしれません。

―柔道整復師からITコンサルタントへ、大きなキャリアチェンジですね。

まったくの異業種からの転職で、就職活動もコンサルタントの仕事も未経験だったので、正直に言って面接にどう臨むべきかは悩みましたね。その会社の戦略やマーケットを自分なりに調べ、分析した内容を話し、面接官から教わったトレンドをふまえてアップデートした内容を次の面接でプレゼンする――ということを繰り返しました。

最終面接で「まったく知識がない中でも一生懸命考えて話してくれた。仮説を立てる、というコンサルタントの仕事を君はもうやれている」と採用理由を伝えてもらえたことが、強く印象に残っています。

面接を経て成長を実感でき、更には自信をつけられたこの経験は、私にとって「仮説思考」や「論点思考」に価値を感じ大切にするようになった原点とも言えます。

この会社では、ITコンサルタントとしてシステム導入プロジェクトやクライアントのIT企画組織の立ち上げに携わりました。その後、パーソルキャリア(旧:インテリジェンス)に転職し、事業会社でビジネスサイドから業務システムの改善に携わる経験をしました。その後、再びコンサルティングファームに転職しています。これは、もっと企画力を磨き、事業会社の中で戦えるノウハウを蓄えるためでした。

経営コンサルタントとしてテクノロジー領域における経営・組織の変革支援、戦略構想支援などを担う経験を経て、2024年10月にパーソルホールディングスに入社しました。パーソルキャリア時代の仲間からのリファラルで、アルムナイとして再入社しています。これまでを振り返ると、まさにコンサルタントと事業部門を行き来してきたキャリアですね(笑)

―これまで活躍の場を選択するにあたってどんな軸を持たれていましたか?

常に持っていたのは「経営や事業に近づきたい」という思いです。

最初にコンサルティングへ目を向けた起点はかっこいい・面白そうという純粋な印象でしたが、次第にITというのは「手段」に過ぎないと考えるようになり、企画などより経営や事業に近い場所を選んでキャリアを歩んできた感覚があります。

一度、外に出たからこそ分かった「パーソルグループの魅力」

―パーソルキャリア(旧:インテリジェンス)から転職した選択には、どのような背景があったのでしょうか。

当時、パーソルキャリアに在籍していたのは7年間で、基幹システムの刷新に関するプロジェクトマネジャーと、DX企画組織の立ち上げを主に担いました。このころは今ほど十分にDXの情報や事例がなく、社内にもセキュリティをはじめ一つひとつのスキームが完全には確立されていない中、手探りでDX推進を担っていた状況でした。

信用して仕事を任せてもらえる状況には満足していましたし、頭の中にはたくさんのアイデアも浮かんでいて、とても楽しい毎日でしたよ。ただ、「実行計画」という観点で、経営層を納得させ得る形に昇華する企画力が足りないと、自身の力不足も感じていました。

そこで、一度パーソルキャリアを離れてみようと。転職先にはコンサルティングファームを選び「企画・経営層へのプレゼンを専門とする場所で企画力を身につける時間」として、経験を積みました。

―そこでの経験を糧に「パワーアップ」して、パーソルホールディングスに戻ってこられました。

ありがたいことに、コンサルティングファームでもある程度の結果を出せたこともあって、また転職をしてみようかなと考えました。そこで思い浮かんだのが、パーソルキャリアのカルチャーだったんです。

いざ離れてみると、これだけの規模の事業会社で、活躍したい人に信頼と裁量と資金を与えてトライアンドエラーをさせてくれる環境というのは他にないなと(笑)。たくさんの失敗をして、キャリアの中で自分が一番前進できたと思えるその環境の貴重さを、あらためて実感しましたね。

それと同時に、当時の自分に足りなかった企画力を身につけられた手応えがあったこと、現在グループAI・DX本部で本部長を務める岡田さんから「戻ってきて手伝ってほしい」とお声がけいただいたことを踏まえ、もう一度パーソルグループに戻ることを決断しました。

内外の連携を通じて「提案」と「実行」によるDXを目指す

―パーソルホールディングスへの入社後について、あらためてお聞かせください。

2024年10月の入社から半年間、パーソルテンプスタッフの事業支援に携わり、2025年4月の組織再編を経てパーソルテンプスタッフ DX推進本部の本部長に着任しました。またパーソルホールディングスのCoE(Center of Excellence)組織である、グループAI・DX本部 StaffingDX部の部長も兼務しています。

―DX推進本部は、どのようなミッションを担う組織ですか。

デジタル管掌組織には「テクノロジーでビジネスをドライブする」ことが求められており、中でも私たちの本部には戦略的な部分を担うミッションがあります。より具体的には、経営戦略をデジタル活用によって実現する「イネーブラー(実行者)」であり、さらにデジタルのケイパビリティを活かして新たなビジネスモデルを提案する「ドライバー」であることが求められているという認識です。

開発やデータ管理、インフラなどを担うテクノロジー本部、そして人材やガバナンスなどを担うデジタル横断企画本部との連携によって、ミッションを形にする前段階としてアイデアや進むべき方向を示す存在でありたいなと。今もまさに、パーソルテンプスタッフのDX戦略の策定をDX推進本部で進めているところです。

―DX推進本部と、パーソルホールディングス側であるCoE組織との連携についてはどう考えていますか。

CoEはグループの“戦略的ITリソース”として、事業や施策に入り込みながらグループ各社への技術支援を行っています。しかし「外」の立場からでは思いつかないこと、実現できないこともあります。反対に事業側から見ると、テクノロジーを知らないと思いつかないこと、「内」の立場で内部事情の影響を強く受けて考えづらいこともあるでしょう。

これら「内」と「外」の視点を踏まえ、「事業をよく知る視点から生まれた新たなアイデア」と「テクノロジーの専門性」をそれぞれ持ち寄って磨き、具体的な戦略を描き、実行したい。これが、パーソルテンプスタッフのDX推進本部とパーソルホールディングスのCoEを「ミラー組織」と捉え、私が兼務の形で両組織を見る理由です。こうした緊密な連携を念頭に、現在策定中のDX戦略もCoEのみなさんと一緒に作っているんですよ。

無味乾燥ではない「パーソルテンプスタッフらしい」デジタル活用を

―パーソルテンプスタッフにおけるDXで目指す方向性について教えてください。

特に重要なのは「パーソルテンプスタッフらしさ」をデジタルで増強することです。

われわれの強みは、顧客や社会に貢献したいという気持ちの強いメンバーがいて、温かみのあるきめ細やかなサービスを提供できることにあります。顧客に寄り添いオーダーメイドのサービスを提供してきたことは、生産性の観点では課題とも捉えられますが、こうしたサービスを均一化して効率を高めるというのは、我々が目指すべきところではありません。

テクノロジーの進化はめざましいのですが、「無味乾燥」な印象を持つ人もいるでしょう。それを乗り越えて、テクノロジー活用によって「パーソルテンプスタッフらしさ」を残したまま、サービス品質が向上した状態は、必ず実現できると考えています。

たとえば、「アプリで日程調整まで完結した方が楽だ」という方にはその便利な仕組みを、「電話連絡に安心感を覚える」という方には、AI技術を活用して「まるで人と対話しているかのような温かみのある電話連絡を」――というように、一人ひとりのニーズに沿ったきめ細やかなサービスを届けることを思い描いています。

これらはあくまでインタフェースに目を向けた一例で、マッチングのロジックをはじめ、さまざまなところでまだまだパーソルテンプスタッフらしさをデジタルで増強できる可能性があるはずです。そのことを念頭に、戦略を策定していきます。

―さらに長期的な視点で、描く世界観や挑戦したいことはありますか?

「人材派遣」という言葉のイメージを変えたいという思いがありますね。

人材派遣サービスとは、一人で仕事と向き合うのが辛いときや、一時的に他の道を探して新たな挑戦をしたいとき、柔軟な条件の下ではたらきたいときなど、さまざまなはたらくニーズに対して寄り添ってサポートしてくれる人が隣にいる素晴らしい仕組みです。また、フレキシブルに職場を変えて能力を発揮するという意味で、今の時代に合った側面も大いにあるでしょう。

そんな人材派遣サービスの良さを、ブランドやプロダクトを通じて伝えられれば、世のためになるのではないかなと思うのです。人材派遣サービスで世界を変えたいとまでは言いませんが、はたらき方の選択肢としての人材派遣サービスの魅力をもっと知ってもらえればうれしいですね。

「アイデア」と「愛される人柄」さえあれば、経験とフォローで何とかなる

―ここからは、はたらく環境としてのDX推進本部にフォーカスしていきます。DX推進本部はどんなカラーの組織ですか?

営業出身者が9割ほどを占める組織で、事業に対する思いや成長意欲が高いメンバーがそろっています。「顧客企業やスタッフさんに対して何をすべきか」の視点が豊富で、週2日は出社して膝をつきあわせながら対話することを大切にしています。

―組織の新たな一員として、どんな方を求めていますか?

DX推進本部に「外の当たり前」を知る中途入社者を迎えて内外の融合を進めたいという思いはありますが、何より重視しているのは「創発力」と「チャーム(愛嬌)」です。

取り組みのコモディティ化が顕著なDX推進という領域で、「こうしたらいいのでは?」「こういうのがあった方がいいですよね!」と新たなアイデアを出せることは大きな強みになります。そしてそれを相手に伝えるときに光るのが、誰からも愛される人柄です。

これさえあれば、他の技術は後から身につけられます。「論理的にうまく喋れない」「課題を整理するのは苦手」だとしても、私を含めて既存のメンバーがフォローするので、アイデアと愛される魅力を持った方が仲間に加わってくれたらうれしいですね。

―最後に、未来の仲間に向けたメッセージをお願いします。

今、パーソルテンプスタッフは、全社で事業変革に挑戦している途上にあります。その中で私たちには、テクノロジーの領域で言われたことだけをするのではなく「デジタルが分かる私たちから見た、パーソルテンプスタッフの新たなあり方」を企画、提案することが求められています。

これはつまり、自分の知見を活かして、ビジネスモデルやプロセスから人事・制度などまで幅広い領域へ越境して提案し、価値発揮できるということ。私は今この環境で、そんな「本当の意味で経営に寄り添った企画」にチャレンジさせてもらい、面白さを感じています。

もちろんプレッシャーはありますが、こんな面白い環境と仕事は他にありませんから、みなさんもぜひ一緒にチャレンジしませんか。たくさんの仲間を迎えられることを心待ちにしています。

―ありがとうございました!

取材・文・撮影=合同会社ヒトグラム

※所属組織および取材内容は2025年5月時点の情報です。
※略歴内の情報は2025年4月時点での内容です。

戸澤 和俊Kazutoshi Tozawa
パーソルテンプスタッフ株式会社
DX推進本部 本部長
柔道整復師からのキャリアチェンジの後、コンサルティングファームや事業会社でシステム導入や組織の立ち上げ、サービス企画などを幅広く経験。2015〜2021年には現パーソルキャリアで基幹システム刷新とDX企画組織の立ち上げを担う。
その後、コンサルティングファームにおける経営コンサルティング業務の経験を経て、2024年10月にパーソルホールディングスへ入社する。 

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