PROJECT
CoEとして内製開発を推進するSBUデジタル開発室-立ち上げからの歩みと展望
2025年4月より、パーソルテンプスタッフではDX推進本部・テクノロジー本部・デジタル横断企画本部の3本部からなるデジタル管掌組織が再編され、新たなスタートを切りました。
今回は、テクノロジー本部で本部長を務める中桐にインタビューを実施。テクノロジー本部が掲げるミッションや、その実現に向けた戦略と注力施策、そして今後の展望について話を聞きました。
昨今、生成AIの台頭やはたらき方の多様化をはじめ、私たちの事業に大きなインパクトを与え得る変化がさまざま起きています。私たちもテクノロジーの活用を通して事業を変革し、この波に乗らなければ生き残れません。
もちろん、パーソルテンプスタッフでもこれまでスタッフや顧客企業の皆さんに向けた新たなシステムの提供やアプリケーション刷新など、多様な取り組みを行ってきました。しかし、昨今の状況を踏まえるともう一歩、二歩踏み出して行く必要があると感じています。
そのためには「今あるもの」をエンハンスして個々の取り組みを積み重ねていく「足し算」から、既存のプロセスを見直し、あるべき姿から再構築していく「引き算」へと考え方を変えていく必要があるのではないかなと。そうした変革に向け、全社の推進体制を見直してよりテクノロジードリブンに取り組んでいくという意志で立ち上がったのが、今回の新体制だと捉えています。
全社のデジタル変革を起こすに当たり、ITのみにとどまらないマルチな視点・方向からアプローチしていくことがミッションだと考えています。
私は前職では基幹系システムのリニューアルや各種システムのクラウド化、データ基盤構築など、事業会社におけるIT領域に携わりました。パーソルホールディングス入社後は、グループ各社のDXに関する企画やプロジェクトマネジメント、エンジニア/データサイエンティスト組織のマネジメントまで、幅広く経験しています。CoE(Center of Excellence)として派遣事業のスタッフ業務やクライアント企業の事業に直接寄与するプロダクトの開発にも携わり、事業全体を俯瞰しながら「いかにビジネスに貢献するか」という視点を身につけられたことでIT×デジタル×ビジネスの経験を得ることが出来たことは、自分の武器になっていると自負しています。
こうした、ITの経験とデジタルやデータを駆使した事業面での経験、両方を持つことの強みを生かして変革をリードしていきたいですね。
業務やビジネス全体の変革を掲げて他の本部が企画や戦略を立てた先で、その実現を担うのが私たちテクノロジー本部です。また、自組織で戦略や企画を担うこともあります。
具体的には、企画を実現するために必要なデジタルやデータ等のプラットフォームを提供するとともに、開発方針の策定や継続的な保守・エンハンスのサポートを行ったり、「安心安全な環境をいかに提供するか」を検討したり、といった役割を担います。
一つは「事業を支えるコアな価値」として、IT基盤の安定開発・運用や、システムの開発・保守運用における高いQCD(Quality、Cost、Delivery)の担保、従業員向けのデジタルツールの導入支援などを行うことです。
中でもIT基盤の安定運用は、パーソルテンプスタッフの事業を安定させる上で絶対に欠かせないものです。十数万人におよぶ派遣スタッフの皆さんを支えるシステムをはじめ、非常に重要なシステムをいくつも抱えており、これらを安定的に運用していくことに特に注力します。
それに加えて、拡張性とアジリティを備えた次世代IT基盤の導入推進や先端技術の活用など、「事業を伸ばす新たな価値」を追求することをもう一つのミッションとして掲げています。
そうですね。「守り」と「攻め」はそれぞれ独立した要素ではなく、「守り」から「攻め」に転じることもあり得ます。例えば、EOLを起点にシステムをリニューアルする際、単にクラウド化するだけでなく「いかにビジネスの伸長に耐え得るクラウドネイティブな基盤にするか」を考え、デザインしていくといったイメージです。
こうした取り組みも実際に計画が動き出して、今は「守りながら攻める」ことに取り組んでいると言えますね。
やはり人材ビジネスを取り巻く状況が激しく変化し、少子高齢化など向かい風となる要素もある中で危機感が高まっていることが大きいのではないでしょうか。
また、テクノロジー本部はもともと「守り」の側面が強かった組織ですが、私はこれまでCoEとして「攻め」の領域に触れてきました。そんな私だからこそ「守り」だけでなく「攻め」が大切なこと、そしてビジネスに活かすことの重要性を実感しています。単に安心安全なプラットフォームを提供するだけでなく、「それをいかにビジネスに生かすのか」と私から発信し「攻め」の要素を加えていかなければいけないと思っています。
事業を支えるコアな価値と、事業を伸ばす新たな価値という2つのミッションを軸に、「短期的な利益改善」と「中長期的な成長」の視点からテクノロジー本部で15の重点施策を挙げ、それぞれについて戦略と目標を設定しています。
中でも特に力を注いでいくテーマや施策として紹介したいのが、「データ利活用環境の確立」と「先端技術の活用」です。
課題の一つは、効率や生産性の面で最適化されていない業務が多いことでしょう。AIをはじめとした先端技術やデジタルツールを用いてしっかりと改善し、従業員一人ひとりにとっての「はたらいて、笑おう。」をかたちにしていきたいと考えています。
最近では生成AIに関してさまざまなプロダクトが登場し、調査から分析、資料の作成、さらに思考の壁打ちまで、幅広い業務に適用できるようになっていますよね。実際に使ってみると、アウトプットの質としてもある程度満足できるので、これを社内業務で活用できれば生産性を2倍、3倍へと高めていけるはずです。
これまではセキュリティやガバナンスの問題などで使うのは難しかった技術もあったのですが、常に環境は変化し続けているので、セキュリティや個人情報の取り扱いなど既存のルールを現状に合わせて的確に見直し、「安心安全に使うためにどうすべきか」を念頭に置きながら、アジリティ高く社内に展開していくことが目下のポイントでしょうか。
蓄積したデータやそれを抽出できるシステムはあるものの、実際に抽出できる人が限られ、活用範囲が狭くなってしまっていることが現状の課題です。ガバナンスを担保した状態でみんながデータにアクセスして、ビジネスに生かせる――そんな環境を目指して「データの民主化」に取り組まなければなりません。
システム面で「このように仕組み化をすれば安全だから、もっとデータを使っていきましょう!」と社内に示せるだけの案を作るとともに、データを活用しないことで起こるデメリットやデータ活用の必要性を共有する対話を重ね、カルチャーから変えていくことがポイントになると思います。 データの民主化は、業務工数の削減やリードタイムの短縮によって従業員体験を高めるという意味で大切です。ただデータを扱う上で最も大切なことは如何にビジネスに活かせるか、価値を生むことが出来るかです。ビジネスにおける競争力を高めて定量的な効果を狙うという意味でも、しっかりと取り組んでいきます。
CoEとしてパーソルテンプスタッフのビジネスに関わっていたときには、やはり「CoEはホールディングスから来た人」というやや外様な感覚がありました。これはCoEのメンバーも少なからず感じている方がいたと思います。それが新たな体制に移行して少しずつ変化し始めています。
現在はテクノロジー本部の中にテクノロジー推進室という組織を組成し、パーソルホールディングスのCoEはそこに所属して一体運営を行っているため、一体感が生まれている手応えがあります。この体制によって、CoEというグループのITリソースが、よりパーソルテンプスタッフの重要な施策で活躍できるようになり、今まで以上に推進力が高まったのかなと感じます。
以前からパーソルホールディングスの一員という立場で人材ビジネスを理解していましたが、実際に現場に立って「パーソルテンプスタッフのビジネスでは、こういうことをやらなければいけないんだ」と考えることによって、一気に知識レベルが高まったなとも感じています。中に入り込むことの大切さが、あらためて理解できました。
テクノロジー本部としては、ビジネスの基盤を安定的に守り、ビジネスの成長にも寄与できる・・・繰り返しになりますが「守り」と「攻め」が両立できている組織を目指しています。頼もしいメンバーが揃っていますので、「攻め」のアップデートが出来ればもっともっと素晴らしい組織になると思います。
パーソルテンプスタッフとしては、高い営業力とメンバーの人間力によって大きく成長してきた会社です。これからはその強みは維持しつつ、派遣ビジネスや会社を未来に繋げていくために「テクノロジードリブンの人材サービス企業」になっていくことが必要なのではないでしょうか。
具体的には、常にテクノロジーの進化にアンテナを張り、人材サービスにおいてテクノロジーを生かして新たな価値を生み出せる――そうした状態を目指します。
SIerなどでITの経験を積んだメンバーが多数活躍しています。「攻め」を意識するフェーズにあるため、先端技術の活用をはじめ、手を挙げていただければさまざまな新しいことにチャレンジできる環境です。
またパーソルテンプスタッフ全体に言えることでもありますが、一人ひとりの素敵な人柄と温かいカルチャーが魅力で、私は着任してまだ1カ月ほどですがとても気持ちよくはたらけています。この風通しの良さは、私たちの組織の大きな武器の一つかなと思いますね。
「IT・デジタルを軸に新しいチャレンジがしたい」というプロアクティブなマインドを持った方、でしょうか。IT組織としても会社としても今まさに変わっていこうとしているフェーズで、一緒に「攻めのIT」にチャレンジしたい方、大歓迎です。
取材・文・撮影=合同会社ヒトグラム
※所属組織および取材内容は2025年6月時点の情報です。
※略歴内の情報は2025年4月時点での内容です。
パーソルテンプスタッフ株式会社
テクノロジー本部 本部長
2006年ベネッセコーポレーション入社。販売管理システムやマーケティングシステムの責任者、顧客データ分
析のためのデータ基盤開発PMなどを経て、2020年にパーソルホールディングスへ入社。コロナ禍でのデジタル
化推進やコーポレートシステムの刷新企画プロジェクトに従事した後、グループ全体の基幹システム管掌部
門・部門長を経て、2025年4月より現職。
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STRATEGY
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PERSON
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