エンジニアからマネジメントの道へ―「とりあえずやってみる」から創り上げる、私らしいキャリア

テクノロジードリブンの人材サービス企業を目指す、パーソルグループ。同じ志をもつテクノロジー人材が次々とジョインしています。今回は、経験者採用で入社した桃井に、これまでのキャリアとはたらく価値観の変化について聞きました。

知識ゼロからのスタート―試行錯誤を重ねて歩んだエンジニアの道

まず、桃井さんのこれまでの経歴について聞いていきます。はじめに、どのようなキャリアからスタートしたのでしょうか?

大学時代は就職活動に前向きとは言えず、親から渡された新聞の折込チラシをきっかけに、小さな会社へ入社しました。事務職として採用されましたが、社員が少なかったこともあり、ポスティングや図面作成、現場監督など、本当に幅広い業務を経験しました。

知らないことばかりで大変でしたが、調べたり教わったりしながら、必死に取り組んだことを覚えています。もちろん不安はありましたが、社長が豪快で厳しいタイプだったので、なんとかするしかなかったんです(笑)

怒られることも多かったですが、少しずつ社会人としての基礎が身についていったと思います。

その後、どのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?

入社から1年半ほど経ち、人員増加に伴って業務量が減ったことをきっかけに、転職を決意しました。もともとオンラインゲームが好きだったこともあり、今後さらに広がっていくIT業界に魅力を感じ、未経験から客先常駐型のSES企業へ転職したんです。

入社後は、1カ月間の研修でネットワークの基礎を学び、資格も取得しました。配属先の法人向けクラウドサーバーを提供する企業では、技術的なサポート業務を担当していました。サーバーやネットワークの仕組みを知ることが、純粋に楽しかったですね。

順調にも見える中で、次のキャリアステップを考えるようになった背景を教えてください。

当時はサポート業務しか任せてもらえず、このままでは自分のキャリアが広がらないという不安がありました。加えて、どれだけ業務が順調でも、契約が終了すれば次の派遣先を探して、人間関係を築き直す―その繰り返しにも疲れを感じるようになっていたんです。そうした背景から、自社サービスをもつ事業会社に転職しようと決意しました。

次の転職先では、どのような役割を担っていたのでしょうか?

クラウドストレージサービスを提供する、社員20名ほどのベンチャー企業に入社し、まずはテクニカルサポート業務を担当しました。そこから徐々に、サーバーの管理・設計・構築といった領域まで任せてもらえるようになり、最終的にはシステム部の部長も担いました。

少人数の組織だったからこそ、幅広い領域に携わることができ、とても良い経験になったと思います。分からないことも多かったですが、いつも「なんとかなる」という気持ちで取り組んでいました。

出産や育児を経験しながらも、仕事を続けてこられたと伺いました。当時のはたらき方には、どのような変化があったのでしょうか?

第一子を授かった時は、社内にまだ産休や育休の制度が整っていなかったのですが、会社側が一緒に制度を整備してくれました。本当にありがたかったですね。復職後は時短勤務を選び、部長職からは退いたものの、自分のペースではたらける環境が整っていたので、安心して仕事を続けられました。

ライフスタイルの変化によって変わった、はたらく価値観

パーソルホールディングスに入社した経緯を教えてください。

2人目の子どもが生まれた後も時短勤務ではたらいていました。ただ、家庭の時間を犠牲にせずキャリアアップも諦めないためには、「業務の上流工程に携わりながら、マネジメントを身につけた方がいい」と考えるようになったんです。

当時は、新しい技術を学ぶ余裕がなく、会社に貢献できる時間が少ないと負い目を感じていました。加えて、職場はエンジニア中心の環境で、キャリアチェンジの選択肢もなかったので、将来の自分の姿が思い描けなかったんです。

ただ、転職活動では時短勤務という条件がネックになることが多く、最終面接まで進んでも「時短勤務は難しい」と断られるケースもありました。そのたびに「最初から伝えていたのに」と落ち込みました。

そんな中、パーソルホールディングスは、私のはたらき方を理解したうえで「ぜひ来てください」と声をかけてくれたんです。その言葉に背中を押され、入社を決めました。

ライフスタイルの変化によって、はたらく価値観にはどのような変化がありましたか?

以前は、自分の経験や成長を軸にキャリアを選んできました。ただ、子どもが生まれてからは、限られた時間の中でも成果を出し、着実にキャリアを築いていく方法を模索するようになったんです。「家族との時間を大切にしながら、自分が価値を発揮できる環境」という軸は、譲らないようにしていました。

転職の決断にあたって、大切にしていた考え方や姿勢を教えてください。

明確なキャリアプランを常に描いていたわけではありません。ただ、長く同じ環境にいると、安定を感じる一方で、不満や違和感が積み重なっていくこともあります。そんな時は、「今の環境で本当にいいのか」「自分は何を優先したいのか」と、自分に問いかけながら、立ち止まって価値観を見つめ直すようにしていました。

なかなか動けない方もいる中で、桃井さんがこれまでキャリアの選択を重ねてこられた理由は何だと思いますか?

「とりあえずやってみる」ですね(笑)

これまで勤めてきたのは小さな組織だったので、「自分が動かなければ始まらない」といった状況も多くありました。もちろん、新しいことに挑戦するのは不安もありますが、取り組んでみると案外できるようになったり、楽しくなったりするんですよね。

まず一歩踏み出してみて、うまくいけば進めばいいし、違うと思えば立ち止まればいい。大切なのは、自分の中に軸をもつことです。それがあれば、どんな選択でも自分のキャリアとして経験に変えていけると感じています。

新しい環境に適応しながら育む、等身大のマネジメント

現在の役割や業務内容を教えてください。

現在はリードコンサルタントとして、パーソルグループ全体で利用されているプライベートクラウドの運用企画全般を担当しています。加えて、チームリーダーのサポート業務も担っており、チーム全体を横断する課題や依頼に対しても、率先して対応することで、日々の業務が円滑に進むように支援しています。

桃井さんが求めていたマネジメント力は、入社後どのように高めていきましたか?

入社してまず感じたのは、「これまでマネジメントスキルだと捉えていなかったことが、実はマネジメントスキルだった」ということでした。例えば、タスク管理や共有です。私は少人数の組織ばかりに所属していたので、自分のタスクを管理し、必要な情報を周囲に共有するのは自然と身についていたのだと思います。しかし、それが実はマネジメントスキルの一つだったのだと気づかされました。

今後は、こうした自身のスキルを基盤に、メンバーの進捗把握やフォローにも力を入れながら、実践を通じてマネジメント力をさらに高めていきたいと思っています。

組織文化や規模の違いで、戸惑ったことはありましたか?

もっとも苦労したのは、稟議や予算申請などの業務フローです。これまで経験がなく、フォーマットを覚えるところからのスタートでした。

前職では社長もエンジニアだったので、細かな資料作成や背景説明の必要がほとんどなかったんです。ただ、今は役職者や他部門に向けて、背景や目的、予算根拠を明確に伝えるための資料や説明が求められます。

入社当初は10歳年下のメンバーから、資料の作り方を厳しく指摘されていました。周囲のレビューを受けながら改善しつつありますが、今でも「当時の資料はひどかった」と言われます(笑)

業務を進めるうえで、特に意識していることがあれば教えてください。

縦割り構造の組織だからこそ、意識して「横のつながり」を築くようにしています。他部署の動きが見えにくい分、自ら関係性をつくることが大切なんです。

もともと私は、初対面の方と話すのが得意ではありませんでした。しかし、業務を円滑に進めるために、年代問わず積極的にコミュニケーションを取るように心がけています。

実際、チームには20代から50代まで幅広い世代がいますが、年齢の違いを気にせず意見交換できる関係性を築けるように意識しています。

マネジメントの理論を重視する方も多くいますが、桃井さんは現場での体験から学びを得ている印象です。

そうですね。私は、理論だけでは頭に入ってこないタイプだと思います。上司からのアドバイスや他のシニアメンバーの動き方を参考にして、実践を重ねながら学んでいます。

私のように規模の小さい企業から転職した方は、社内にほとんどいません。だからこそ、「自分のこれまでのやり方は通用しないのが当たり前」だと思っています。「こうあるべき」ということに縛られず、今の環境に合うマネジメントスタイルをつくっていきたいですね。

誰もが管理職を目指せる組織へ。柔軟なキャリアパスの実現に向けて

将来的にどのような仕事に携わり、どんな成長を目指していますか?

時短勤務を解除した後には、管理職に挑戦したいと考えています。

現在は、プロジェクトの上流工程やベンダー調整などを経験し、業務全体の流れを捉えられるようになってきました。また、チームリーダーやメンターの役割も任されているので、現場でのマネジメント経験を通じて、チーム全体をまとめる力をさらに磨いていきたいと思います。

管理職へのキャリアアップを目指しているんですね。

そうですね。ただ、仕事とプライベートの両立を前提にマネジメント職を目指すには、安心して挑戦できる環境が整っていることが重要だと感じています。

安心して管理職に挑戦できる環境をつくるために、どのようなアプローチが有効だと考えますか?

まずは、「マネジメントの一極集中」を見直すことが必要だと感じています。一つの部署に所属する人数を減らしたり、技術に特化したエキスパート職にも一部のマネジメント業務を分担してもらえたりする仕組みがあれば、管理職の負担を分散できるのではないでしょうか。

もちろん、制度の見直しや体制づくりには時間がかかりますが、誰もが無理なくマネジメントに挑戦できる環境を整えるためには、仕組みそのものを変えていくことが重要だと思います。

最後に、今後のキャリアやはたらき方について、どのように考えていますか?

今後は、これまでとは異なるはたらき方でも、管理職を目指せる道がないかを模索していきたいです。「キャリアアップのためには家庭やプライベートを犠牲にするしかない」といった考え方が当たり前になってしまう社会は、やはり悲しいですからね。

だからこそ、制度や業務のあり方を見直す必要があると感じています。選択肢が広がれば、もっと多くの方が前向きに新しいチャレンジへ踏み出せるはずです。

現場ではたらくからこそ見えてくる気づきや課題を、これからも一つずつ丁寧に伝えていきたいと思います。

ありがとうございました!

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=嶋田純一/撮影=原野純一
※所属組織および取材内容は2025年6月時点の情報です。
※略歴内の情報は2025年4月時点での内容です。

Profile

桃井良枝 Yoshie Momoi

パーソルホールディングス株式会社
グループIT本部 ビジネスコアインフラ部
SBUインフラ推進室 オンプレ基盤チーム
PO/リードコンサルタント

大学卒業後、地元の零細企業にて事務関連業務全般を経験。翌年、未経験でSES企業に転職。その後、BtoBのクラウドサービスを提供する会社にて、インフラ全般の設計・構築・運用保守を担当。2021年末よりパーソルホールディングスに入社し、グループIT本部ビジネスコアインフラ部クラウド推進室のオンプレ基盤チームにてサーバ監視基盤の運用保守とSaaS監視サービスの検証を担当。2023年よりSBUインフラ推進室配下となったオンプレ基盤チームにてチームリーダーを担当。

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