• HOME
  • CONTENTS
  • 将来的なクラウドシフトを見据えた、新たな監査の仕組みを形に―データベース監査システム刷新プロジェクト

将来的なクラウドシフトを見据えた、新たな監査の仕組みを形に―データベース監査システム刷新プロジェクト

パーソルグループ共通のITインフラ整備やITカバナンス、セキュリティを担うパーソルホールディングス グループIT本部では、半期に一度、本部内において優れた功績や貢献、顕著な成果を上げたプロジェクトチームを表彰しています。

今回は2024年上期、プロジェクト部門において表彰を受けた「データベース監査システム刷新プロジェクト」について、取り組みをリードしたプロジェクトマネージャーの加来(かく)と、プロジェクトリーダーの石榑(いしぐれ)に話を聞きました。

データセンター廃止に伴うクラウド化を見据えたシステム刷新に着手

―まずはプロジェクトの概要から聞かせてください。

加来:これまで長年にわたり運用を続けてきたデータベース監査システムを、新しく最適な仕組みに切り替えるべく発足したプロジェクトです。このシステムの管理を担う私たちパーソルホールディングス グループIT本部と、グループ各社の中でもメインのユーザーであるパーソルテンプスタッフによる共同プロジェクトとして推進しました。

―どのような背景から、この取り組みが始動したのでしょうか。

加来:このデータベース監査システムを私たちが対応するようになったのは、少し遡り2022年のことです。別部門から管理を引き継ぎ、新たな保守・運用体制を整備するとともに、なるべく手間をかけずに運用できる状態を実現するべく改善活動も実施し、この成果については当時(2022年)の本部内表彰にて「サービス改善部門」で受賞したという経緯があります。

以来、システムの管理を続けてきた中、導入から時間が経ったことを背景に、ハードウェアの故障が頻発しメンテナンスに多くの工数がかかったり、利用コストが膨らんだりと、さまざまな課題が生じるようになっていたのです。

「利用継続のデメリットが大きい」という私たちの考えと、「このままこのシステムを持ち続けていいのだろうか」というパーソルテンプスタッフの皆さんの課題意識が合致したことが、プロジェクト始動のきっかけになりました。

現在、データセンター廃止に向けてグループ全体でクラウド化を進めており、新たに構築する仕組みをオンプレ環境で利用する期間は長くはない状況でした。そうした事情をふまえ、なるべく手間や費用をかけずに切り替えられる方法をパーソルホールディングスでいくつか検討し、その中でもデータベースの標準機能とパーソルテンプスタッフで開発環境として用いているOracleCloudを活かした仕組みを採用することに。データベースはパーソルホールディングス、OracleCloudはパーソルテンプスタッフの管轄であるため、足並みを揃えて進めるためにも両社の共同プロジェクトとして取り組むことが決まったのです。

グループ会社との協業において価値を発揮し、困難を乗り越えて理想的なシステムのリリースを実現―その成果が表彰されました!

プロジェクトを推進するにあたって特に難しさを感じたのはどのような点でしたか?またその困難をどのように乗り越えたのか、意識された点についても教えてください。

加来:先に触れたデータベースの標準機能とOracleCloudの組み合わせによる構成は、当初から思い描いていたものではありませんでした。初めに着目したデータベースの標準機能だけでは、取得したログを分析・レポートする仕組みが実現できないとわかり、どうにかこの仕組みを形にしようと検討を重ね作り込みを行った過程が、今回直面した困難として印象に残っています。

石榑:私はコミュニケーションの取り方に難しさと工夫があったと感じます。急遽はじまったプロジェクトで、当初は「どのタスクを誰が進めるのか」という両社の役割分担も明確でなかったために、タスクの進捗が思わしくない状況が生じていました。

この状況を改善するため、パーソルホールディングスのプロジェクトメンバーで週に2度集まって進捗報告を行い、「このタスクが進んでいないので次の全体定例で聞いてみよう」「ここはチャットでの確認が必要だ」と認識合わせを意識して進めたことがポイントだったと思います。

加来:パーソルホールディングス内の定例ミーティングのほか、両社で進捗報告を行う全体の定例ミーティング、OracleCloudを扱うパーソルテンプスタッフの保守担当の方々と目線を合わせるための保守の定例ミーティング、ベンダーに入っていただいて技術的な点を見る定例ミーティングなど、さまざまなレイヤーで顔を合わせる場を設けて丁寧にコミュニケーションを図りましたね。

両社にそれぞれのプロジェクトマネージャーがおり、そのもとにプロジェクトリーダーとメンバーがいて、またベンダーからも見解をいただく……と関係者が非常に多い取り組みを主導するのが難しい点でもあり、この連携が成功の要因の一つなのかなとも感じます。

―2024年上期の本部内表彰でこの取り組みが受賞されましたが、どのような点が評価されたと思いますか?

加来:パーソルホールディングスのテクノロジー組織(グループIT本部、グループテクノロジー推進本部、グループデジタル変革推進本部)では、「取り組みを形にすること」を2024年のテーマとして進めてきました。今回、標準機能だけでは求める仕組みが実現できないとわかった中でも諦めず、プラスアルファのつくり込みをおこなって新たなシステムをリリースできたことが、この「取り組みを形にすること」を体現した成果だと評価いただけたのではないでしょうか。

また前例の少ないグループ会社との共同プロジェクトを完遂し、一緒にプロジェクトを進めた方々から「率先して取りまとめ、積極的にタスクを巻き取ってくれた」と評価の声をいただけたことも、一つのポイントだったかなと振り返ります。

今回のプロジェクトを通して感じたこと、得られた学びや気づきを教えてください。

石榑:私にとっては、プロジェクトリーダーとしてグループ会社と共に取り組む最初の機会であり、初めは何をすべきかがわからなかった中、自分にできることを探して情報の漏れや認識の齟齬を防ぐ対話、議事録作成、進捗管理などを担当しました。

この経験を通して「この規模のプロジェクトではどのような頻度でミーティングが必要か」「この領域で情報共有が必要なメンバーは誰か」といったプロジェクトを進めるにあたっての考え方や、ベンダーとのやりとりの仕方など、基礎を学べた手応えがあります。

加来:私は、プロジェクトを進める中でさまざま生じる課題を一緒に乗り越えて「やりきった」という感覚を共有できた結果、パーソルテンプスタッフの皆さんとの関係がより良く、深くなったことが何よりよかったと感じます。

パーソルホールディングスの立場からではグループ各社の温度感が見えづらいところも多いのですが、「ここの温度感が私にはわからなくて」と相談できる関係性ができたことはとても大きいなと。今回のプロジェクトは終わってしまいましたが、データベースも監査システムも使い続けていくものですから、何かあったときには意見交換や対話をしていきたいところです。

プロジェクトを進める中で「コミュニケーションをしっかりと取らなければ」「要望を汲み取らなければ」というプレッシャーや難しさもありますが、今回のように良いものを作って嬉しいお声をいただき、結果として良い関係性が築けると大きなやりがいを感じます。

石榑:「あるプロジェクトを完遂して終わり」ではなく、「一生お付き合いしていくグループ各社と共につくり上げる」「関係構築をしながら長期的にシステム改善に取り組める」というところ、そしてそれによってグループ各社に大きな影響を与えられるところは、パーソルホールディングスの立場ならではの魅力ですね。

“よりグループ各社に喜ばれるクラウド化のあり方”を皆で考え、力を尽くす

最後に、ご自身の業務やキャリアにおける今後の抱負を聞かせてください。

石榑:未経験からITの領域に入り、初めは会議で交わされる言葉も全く理解できないようなところからのスタートでしたが、今回入社2年目でプロジェクトリーダーを任せていただきました。初めはそのスピード感に驚いたものの、「まずは試しに挑戦してみよう」「失敗したらフォローするから」という文化が当たり前のものとして根付く環境がせっかくあるので、早いうちにたくさんの経験をして、失敗するところは失敗して学んでいきたいなと思っています。

また現在はデータセンターの廃止に向けて動いており、今後グループ各社との機器撤去の調整などが発生するため、今回のプロジェクトで学んだ連携の仕方を活かして頑張っていきたいと思います。

加来:今回のプロジェクトで「クラウド化を見据えてシステムを導入し、新たなソリューションをつくる」という実績ができたため、この知見を、チームを超えて他の室にも積極的に横展開できたらと思っています。また、最近では女性メンバーも増え、産休・育休を取得される方や、お子さんがいて時短勤務をしながらもさまざまなプロジェクトをリードして活躍される方が増えたので、先輩のロールモデルも増えて、長く勤めていけるという安心感も得られています。男性社員の育休取得者も増えていますし、多様な方々がはたらきやすい環境づくりにチームリーダーとして取り組みたいと思っています。

―ありがとうございました!

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=合同会社ヒトグラム
(2025年1月時点の情報です。)

加来明日香Asuka Kaku(左)
パーソルホールディングス株式会社
グループIT本郡 ビジネスコアインフラ部
SBUインフラ推進室
オンプレ基盤チーム
PO/リードコンサルタント
2018年パーソルホールディングス株式会社へ新卒入社。ネットワーク、データベース、仮想化基盤等の運用保守を担当。2024年8月からチームリーダーを担当。各基盤のクラウドリフトやオンプレデータセンターの撤廃に向けたプロジェクトをけん引している。
石榑 倭子Wako Ishigure(右)
パーソルホールディングス株式会社
グループIT本郡 ビジネスコアインフラ部
SBUインフラ推進室
オンプレ基盤チーム
2023年4月にパーソルホールディングスへ新卒入社。現在は、データセンターの運用管理を担当する部門にて2026年3月のデータセンター撤廃に向けたグループ各社の旗振り役を担う。定常業務では、パーソルグループのSSL証明書発行業務や管理を担当している。

―― 合わせて読みたい記事

テクノロジーを活用した非連続的な成長を目指して―パーソルグループが一丸となって取り組むクラウドシフト

クラウドシフトの加速を目指し、パーソルホールディングスとパーソルテンプスタッフがともに取り組む「インフラCoE」 

IT部門だけではなく、パーソルグループのビジネス全体に良い影響を与えるITガバナンスの実践を

グループ全体のインターネットのセキュリティを確保するプロキシ更新プロジェクトー大型リプレースの舞台裏 

ページの先頭へ