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【前編】“止めない”から“価値を生む”へ——エラーバジェットがつなぐ、次世代ネットワーク戦略と運用変革

テクノロジードリブンの人材サービス企業を目指すパーソルグループ。今回は、IT未経験で新卒入社し、現在はインフラ領域の中核を担う加来(かく)に、キャリアの軌跡とマネジメントへの向き合い方について聞きました。
大学時代は応用植物学科で、植物の病原菌や抗体など、免疫に関わる領域を研究していました。一般的には農薬会社や農業協同組合、農林水産省に進む人が多い分野です。
ただ、自分の中で「この先も続けたいか」と見つめ直したときに、あまりイメージが湧かなかったため、同じ領域に進むことは考えていませんでした。一度フラットに他の選択肢を見てみようと思い、就職活動では別の領域で自分に合う企業を探していました。
平日8時間、週5日という時間を過ごすのであれば、「楽しみながらはたらける環境がいい」と考えて企業を見ていました。また、プライベートの時間も大切にしたいという思いもあり、転勤が少ないはたらき方ができるかどうかも判断基準の一つです。
就職活動では、業界はあえて絞らず、とにかく多くの企業を知ることを重視して、さまざまな説明会に参加しました。当時は対面での開催が中心だったため、企業の雰囲気を感じながら「無理なくはたらけそうか」を確かめていました。そうして複数の選択肢を比較していく中で、自然とIT領域に惹かれていきました。
父がIT業界ではたらいていたため、子どもの頃から身近な存在で、漠然とした憧れのようなものがありました。
IT領域未経験ではありましたが、「できないかもしれない」と考え込まず、まずは触ってみようというスタンスでした。簡単なWebサイトをつくりながら楽しめるかを試す中、「これならやっていけるかもしれない」と思えたことで、IT領域を選択肢として意識するようになりました。
一番大きかったのは、「人の良さ」を実感できたことです。選考の中で1時間の面接が複数回あり、他の企業と比べると長く、正直「1時間も話せるだろうか」と思っていました。ただ、実際に話してみると不思議とリラックスして話すことができて、「これだけ長い時間を自然体で話せるのはすごいことだな」と感じたんです。
また、他社は人事の方との面接が多かった印象ですが、パーソルホールディングスでは一次面接の段階から現場の方と話す機会がありました。実際に一緒にはたらく人の雰囲気を感じられたことで、日々どのようにはたらくのかを具体的にイメージできたことも大きかったです。

IT職というと、自分で手を動かして開発するイメージを持っていましたが、実際には企画や調整といった役割が中心で、その比重は想像していた以上でした。
また、パーソルホールディングスはグループ会社との連携が多く、自ら働きかけて調整していく場面もあります。人によっては負担に感じる部分もあると思いますが、私はあまり抵抗がなく、積極的にコミュニケーションを取っていました。ただ、私は「考えるよりもまず飛び込む」スタイルだったので、上司の方が心配していた部分もあるかもしれません。
失敗した経験はかなり多く、一つに絞るのは難しいですね。同期は10人ほどいましたが、その中でも目立つくらいには「問題児」だったと思います(笑)。
最初は専門用語を理解するだけでも大変でした。また、電話対応も積極的にしていましたが、言い間違いが多かったり、敬語をうまく使えなかったりと、グループ会社の方から時間をかけて指摘を受けたこともあります。
そうした経験を重ねながらも、入社3年目ごろからプロジェクトの中で役割を持って動くようになり、「実際にやりながら覚える」ことで理解がつながっていきました。
「失敗しても行動を止めない」姿勢は大きかったと思います。うまくいかないことがあっても消極的になることはあまりなく、行動を止めることはなかったです。失敗の数は人一倍多かったですが、その分だけ経験を積めたのだと捉えています。
また、周囲の環境に支えられていた実感も強くあります。もともと座学が得意ではないため、一度聞いただけでは理解するのが難しく、同じことを何度も質問してしまうことがありました。それでも当時の上司は、「3回目だよ」と言いながらも、その都度きちんと向き合って説明してくれました。
行動し続ける姿勢と、それを受け止めてくれる環境の両方があったことで、成長につながったのだと感じています。
2018年に入社した当時は組織規模がまだ小さく、一人ひとりの担当範囲が広い環境でした。そのため、ネットワークやデータベース、データセンター、仮想基盤など、さまざまな領域に関わりました。役割もプロジェクトリーダーやPMO、PMなどを経験しており、早い段階から複数の立場でプロジェクトに関われたことは大きな糧になっています。
昨年10月からはコアインフラ室の室長として、グループ会社に対してサーバー基盤を提供するチームを管掌しています。現在はセキュリティ機能を提供するチームも加わり、二つのチームを見ています。
その中でも大きなミッションとなっているのが、グループ全体で進めているクラウドシフトです。2026年度中にオンプレミス環境を廃止する方針があり、データセンターに設置されているサーバーをすべてクラウドへ移行したうえで、最終的にはデータセンター自体を撤廃します。現在は、この大きな転換を確実にやり切ることを最優先に、チーム全体で取り組んでいます。
入社当初は、正直まったく考えていませんでした。ただ、いくつかのプロジェクトを経験し、任される役割も少しずつ変わっていく中で将来に目を向けるようになり、5年目のタイミングで本格的にキャリアを意識し始めました。
当時の上司が、キャリアについて話す機会を定期的に設けてくれていたこともあり、自分の強みや楽しいと感じる仕事、今後必要なスキルについて壁打ちを重ねていきました。その対話を通じて、自分のキャリアを自分ごととして捉えられるようになった感覚があります。
そのときに立てたのは「30歳で管理職相当のグレードに上がる」というシンプルな目標です。給与面も含めた現実的な指標でしたが、それ以上に、自分がどこに向かって進んでいくのかを明確にするために設定したのだと思います。
チームリーダーとしての経験を重ねる中で、「このチームをもっと良くしていきたい」という想いが徐々に強くなっていきました。そうした中で、当時の上司が二つの室を兼務していたこともあり、「一つを自分が担うことで、負担を軽減できるのではないか」と考えました。これまで多くの迷惑をかけてきた自覚もあったため、何かしらの形で恩返ししたいという気持ちも大きかったと思います。
新卒入社から管理職に至る前例がまだ多くない中、不安がなかったわけではありません。ただ、これまで複数の領域や役割を経験してきたこともあり、自分なりに対応していけるのではないかという手応えも感じていました。
そして、オンプレミス環境の撤廃という、組織として大きな転換点にあるタイミングで、その一端を担ってみたい想いが重なり、挑戦を決断しました。
もっとも重視しているのは、メンバーが納得するまでしっかり対話を重ねることです。マネジメントに軸足が移ると、プレイヤーとして直接関わる機会は減り、その分、業務を任せる場面が増えていきます。その際に、「なぜこの業務に取り組むのか」が共有されていないと、どうしても受け身になりがちです。
私自身、納得感を持ってはたらきたいという想いがあったため、メンバーにも同じように自分の仕事として捉えてほしいと考えています。そのため、「なぜ今これをやるのか」「どこにつながるのか」といった意図を丁寧に伝え、違和感なく取り組める状態をつくるよう意識しています。
新米の管理職であっても、「この人がいることでチームがうまく回っている」と感じてもらえるよう、自分の役割を明確にし続けることは、室長になる前から強く意識してきました。
実際、チームのメンバーはほとんどが中途入社で、みなさん高い専門性を持っています。中には私よりも10年以上経験のある方もいるため、技術的な判断については、私が関与しなくても十分に進められる場面がほとんどです。
「室長がいなくても回るのではないか」と思われる可能性がある環境だからこそ、技術で価値を出そうとするのではなく、管理職としてどのような付加価値を出せるかを考え続けています。

管理職になる前は、業務量が増えてワークライフバランスが崩れるのではないかというイメージを持っていました。ただ、実際に担ってみると、自分のペースで仕事を進められており、プライベートとの両立もできています。
はたらき方は工夫次第でコントロールできる部分が多く、特にメンバーの領域にどこまで関与するかによって、自分の業務量は大きく変わります。すべてを自分で抱え込むのではなく、メンバーに委ねることで、チームとしての力を引き出すことが重要です。
管理職に対して「忙しそう」といった印象を持つ方は多いと思いますが、そのイメージだけで選択肢から外してしまうのはもったいないと感じています。実際に経験してみることで見え方が変わる部分もあるので、一度挑戦してみたうえで、自分に合うかどうかを判断しても遅くはありません。
マネジメントの面白さは、個人として成果を出すこととは異なる軸にあります。自分一人で結果を出すのではなく、組織としてどのように意思決定し、どう進めていくかを設計できる点が魅力です。
会社の規模が大きくなるにつれて、意思決定のプロセスや関係者の数も増え、物事の進め方はより複雑になってきました。その中で、どのようにすればスムーズに進められるのかを考え、仕組みとして整えながら全体の精度を高めていくことこそが、管理職としての大きなやりがいだと感じています。
パーソルホールディングスの魅力は、性別や年齢といった属性に関係なく、役割や成果で評価される点にあります。一方で、女性管理職向けのメンター制度など、必要なサポートも用意されており、挑戦を後押しする仕組みが整っています。私自身、人事の女性管理職の方に半年間伴走してもらったことで、視野が広がり、社内でのつながりも増えました。
振り返ると、未経験ながら新卒で入社し、周囲に迷惑をかけることも多かった自分が管理職を任せてもらえていること自体が、一つの可能性だと思っています。
もし今の環境でそうした点にコンプレックスを感じつつも挑戦したいと思っている方がいれば、パーソルホールディングスを前向きな選択肢として考えていただけたら嬉しいです。

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=嶋田純一/撮影=長坂佳宣(PalmTrees)
※所属組織および取材内容は2026年5月時点の情報です。
※略歴内の情報は2026年5月時点での内容です。

パーソルホールディングス株式会社
グループIT本部 ビジネスコアインフラ部
コアインフラ室
室長
2018年、新卒でパーソルホールディングス株式会社へ入社。ネットワークやデータベース、仮想化基盤など幅広いインフラ領域の運用保守に携わる。2024年8月からはチームリーダーとしてクラウドリフトやオンプレミス環境の撤廃を推進し、2025年10月より室長として組織マネジメントを担っている。