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【後編】CoEの1年を振り返ってー協業によって踏み出せた新たな一歩を、“事業貢献”につなげる

パーソルグループでは、2023年4月に “テクノロジー人材・組織の進化”のテーマのもとパーソルホールディングス内に「CoE(Center of Excellence)」を立ち上げ、事業やサービスにおけるテクノロジーの実装・活用を強化するべく、グループ各社への技術支援を進めています。

今回は、CoEとパーソルテンプスタッフの協業の様子について深掘りする、パーソルホールディングスの柘植中桐とパーソルテンプスタッフの藻谷による記事の後編です。

後編では、パーソルテンプスタッフ×CoEで推進したプロジェクトの振り返りと、1年間の協業による成果をふまえた今後の展望をお届けします。

【前編】はこちら→【前編】CoEの1年を振り返って―パーソルテンプスタッフとの協業スタートまでの裏側

半年の時間をかけて相互理解を深め、プロジェクトが前進

―企画・組織づくりのフェーズを経て、どのようなプロジェクトが始動したのでしょうか。具体的な取り組み内容について教えてください。

中桐:方向性としては大きく二つで、一つは基幹系システムやクラウド化などに関する重要プロジェクトに参画し、CoEがプロジェクトマネジメントを担うというものです。パーソルテンプスタッフにとってニーズがあり、リソースが必要とされているところに入って一緒にプロジェクトを推進していくイメージです。

もう一つは、数字的な成果や新たな価値を生み出すための取り組みに企画から携わり、内製で開発を行っていくことです。もともとパーソルテンプスタッフの中でもこうした取り組みにトライしようという動きがあったものの、実行に移す手段がない状況だったということで、私たちが一緒に入り動き出すことになりました。具体的には、営業や派遣コーディネーター向けにAIを活用したプロダクトを開発する取り組みなどを進めています。

―プロジェクト全体を振り返って、いかがでしたか?

中桐:初めはパーソルテンプスタッフの皆さんが推進するプロジェクトに入らせてもらい、少しずつ業務やシステムへの理解を深めていきました。

ホールディングスのCoEメンバーは、IT・DXのプロフェッショナル人材で、テクノロジーに関する知識・技術については自信がありますが、パーソルテンプスタッフの現場の皆さんと比較すると事業や業務への理解がまだまだ低い状態でした。その状態で協業するというのは、コストでありリスクですから、現場の皆さんにとって負担が大きかったはずです。信頼を得るためにCoE内でも事業理解のための活動は続けたものの、至らなかっただろうなと。

藻谷:たしかに、最初から今のような信頼があったかというとそうではなかったかもしれませんね。現場の本部長たちにとっては、これから大きく重要なプロジェクトに入ってもらうという点で、「本当に大丈夫だろうか」と感じながらのスタートだったかと思います。

柘植:企画のフェーズから相互理解のためのすり合わせを続けてきて、実際に具体的なプロジェクトが動き始めてから次第に好転していった印象がありました。

中桐:そうですね。少しずつ任せてもらうところが増えて、それと同時に「ここに人材を入れて、こんなことを一緒にやりましょう」という新たな企画の提案についても考えが一致しやすくなって。その辺りから取り組みが進み出した実感を持てましたね。

―状況が好転したきっかけとは、どのようなものだったと思われますか?

藻谷:事業理解が低かった、という言葉が中桐さんからありましたが、私はそのキャッチアップのスピードが協業を後押しする要因として非常に大きかったのではないかと思っています。走りながら、短期間で事業や業務への理解を深めてもらえたことで、この先の取り組みへの期待が高まった感覚です。

あとは、「CoEの皆さんと同じゴールを目指そう」という話を社内のメンバーに向けて発信したり、私たちが何を求めているのかをしっかりと伝えていこうと心がけたり、そういったいくつもの要因の積み重ねではないですかね。

中桐:プロジェクトやCoEメンバーの評価もパーソルテンプスタッフの皆さんと一緒に取り組んで、PDCAサイクルを回して改善していけたことも大きかったです。その中でCoEメンバーも信頼を得るだけの成長ができたのかなと。

藻谷:たしかに、評価を一緒に進めたことは一つのポイントでしたね。一人ひとりのパフォーマンスに対して、CoEの管理者である中桐さんから見た評価と私たちの目線から見た評価を合わせていくことができて、本当の意味で同じチームとして一体的なプロジェクト運営ができるようになったと思います。

“一体運営”の意識と体制をつくり上げることができた

―この1年間の協業を通じた成果を、それぞれの立場でどのように捉えていますか?

藻谷:プロジェクトを信頼して任せられる方々が増えて、CoEの皆さんとの協業に現場の各部門が前向きになれていること、以前はリソース不足から挑戦できなかったような新たな取り組みにも踏み出せたことが成果だと捉えています。

また2024年度の計画を一緒に作ったり、CoEの皆さんに兼務という形でパーソルテンプスタッフに所属してもらうなど、計画実行に向けた組織づくりも実現したりと、「一緒になってやっていく」という意識も醸成されたと感じます。

中桐:そうですね。CoEのコアメンバーがパーソルテンプスタッフの重要な意思決定をする会議に入って意見したり、本部長の皆さんとプロジェクトの進捗や課題を一緒に確認して成果を出すための施策を話し合ったりしているシーンも見られます。

戦略の部分から私たちが入って“一体運営”を行っていくことは、実はCoE始動当初から私が目標として描いていたことで、こういった体制を作って2024年のスタートダッシュを切る準備ができたことが、2023年の成果だと思っています。

柘植:うまくいくと信じていましたが、初期の苦労を乗り越えてここまでこられてよかったと率直に思いますね。

―「事業への貢献」という観点での成果として実感されているものはありますか?

中桐:定量的な成果によって事業に貢献するというのは、まだこれからですね。

ただ戦略や企画の検討に一緒に入る中で「ここはもっと伸ばせる」「この領域でこんな数字を狙っていこう」という部分が具体化し、事業で成果を出していくための道筋が解像度高く見えてきた手応えを感じています。

藻谷:「2024〜2025年度でこれだけの成果を出していこう」という数字に対する意識をみんなで共有できているので、CoE戦略への投資が成功と言えるように、ここから事業における成果をしっかりと形にしていきたいですね。

CoE組織との協業を、テクノロジー部門のみならず全社に広げていく

―これから、どのような取り組みを進めていくのでしょうか?

柘植:これまでは実績や事例を作るために、イメージしやすくクイックに成果を出せるプロジェクトに着手してきましたが、今後は“事業に対してより大きなインパクトと価値を与えるような取り組み”に集中するフェーズに入ります。

藻谷:パーソルテンプスタッフを知ってもらう、各現場、個別の負を解消するというこれまでの取り組みから一歩進んだところで、2023年につくった協業のベースを開花させたいですね。

中桐:CoEにはデジタルをベースに定量的な価値を生み出せる企画・テクノロジー人材や、データ分析によりビジネス価値を生み出すデータサイエンティスト、アジャイルにモノづくりができる内製エンジニアなど、本当に多種多様な人材が所属しています。

コラボレーションによってさまざまなことを実現できる、まだまだ新たな価値を生み出せる組織だと思っているので、この強みを活かして「パーソルテンプスタッフにおいていかにアジャイルで価値を出すか」を昨年以上に突き詰めていければと思います。

―より長期的な目で見た展望、実現したいことについてもお聞かせいただけますか。

中桐:「パーソルテンプスタッフのトップラインとボトムラインをデジタルで引き上げるのに寄与する」という私たちCoEの使命を果たした先に、お客さまや従業員などパーソルテンプスタッフを取り巻くすべての人たちが「はたらいて、笑おう。」を実現している状態を目指したいと思っています。そしてその実現を通して、私たちのチームとしての幸福度も高めていきたいですね。

藻谷:派遣という仕組みや事業自体の価値をマーケットの中で高めていくために、事業を伸ばしていくことだけでなく、新たな価値を生み出すことにもCoEの皆さんと一緒にチャレンジしていきたいと思います。

柘植:それらを実現するためには、藻谷さんが牽引するテクノロジー組織だけでなく、営業やミドルバックの皆さんとも相互理解を深めて協力していくことが欠かせません。この1年間で育んだ協業のあり方を、パーソルテンプスタッフという会社全体に広げていくことがこれからのテーマの一つになるかもしれませんね。

藻谷:今企画しているものをいかに現場に浸透させて行動変容を起こすのか、といったテーマでもCoEの皆さんと一緒に考えて、全社と深く関わってもらいながらパーソルテンプスタッフの強みでもある「人の介在価値」を高めていければと思います。

―CoEという「組織」の観点での展望としてはいかがですか? 目指す像やそのためにチャレンジしたいことがあれば教えてください。

中桐:ROIを正しくジャッジしながら注力すべき領域に集中的にITリソースを投入できる、このCoEというスキームを2026年以降も継続していきたいですし、今後その体制をより大きくして構えていたいと思っています。

藻谷:その点で、「CoEがはたらく人たちの目にどれだけ魅力的に映るか」も一つ重要になりそうですね。今はたらいている方の活躍を見て仲間に加わってくれる方が増えるなど、マーケットにおいてこの新たな仕組みに注目が集まっていることもCoEとしての“成功”の形ではないでしょうか。

中桐:そうですね。そのためにも、「従業員の生産性が高まる喜びを感じるホールディングスの立場」と「事業を通じて社会に貢献する喜びが得られる事業側の立場」の“美味しいとこどり”ができる、この組織ならではの魅力をもっとアピールしていきたいなと。またメンバーのはたらきやすさやモチベーションに繋がるように、組織やプロセスの設計もさらにレベルアップさせていければと思います。

―前後編にわたり、ありがとうございました!

取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=合同会社ヒトグラム
(2024年6月時点の情報です。)

柘植悠太Yuta Tsuge
パーソルホールディングス株式会社
執行役員 CIO/CDO
2006年同志社大学を卒業、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)に新卒入社。法人営業を経て、事業企画部門にて人材紹介、dodaなどの主要事業の事業戦略を担当。その後、事業におけるデザイン活用・デジタル技術活用に積極的に取り組み、ビジネス・テクノロジー・クリエイティブの三位一体で事業開発に臨む新鋭的な組織編成に注力。時代に先駆けた体制で既存事業・新規事業の開発に挑む。現在はホールディングスで執行役員CIO/CDOとして、グループ経営およびグループ全体のIT/デジタル化の推進を担当。
藻谷裕二Yuji Motani
パーソルテンプスタッフ株式会社
執行役員 機能管掌(デジタル管掌)
2001年4月テンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)入社。人材サービスの法人向け営業部門にて、マネージャー、部長を歴任。2018年4月より第一営業本部本部長、2020年4月より執行役員に就任。2023年4月より現職。
中桐亮Ryo Nakagiri
パーソルホールディングス株式会社
グループデジタル変革推進本部 データソリューション部/
デジタル推進部/デジタル開発部
部長
2006年ベネッセコーポレーション入社。BtoC通信教育を支える販売管理システムやマーケティングシステムの責任者、顧客データ分析のための分散処理技術を用いたデータ基盤開発PMなどを経て、2020年よりパーソルホールディングスに入社。コロナ禍でのデジタル化推進やコーポレートシステムの刷新企画プロジェクトに従事。グループ全体の基幹システム管掌部門・部門長を経て、2022年より現職。テクノロジードリブンな人材企業を目指してグループ各社のDXやデータ利活用を推進。

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