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ベトナム開発拠点を常に優れたアウトプットが出せる開発組織にするために―海外ではたらく魅力とは

パーソルキャリア初の海外開発拠点としてベトナムに設立され、2022年9月より営業を開始したPERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED。

今回は、同社にて拠点の立ち上げをリードした志田に、現在の仕事とパーソルグループではたらく魅力について聞きました。

ベトナム開発拠点立ち上げの契機になった前職の経験

—志田さんのいまのお仕事内容を聞かせてください。

パーソルキャリアが提供する各種プロダクトの開発を担う、海外開発拠点のひとつであるPERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDでゼネラマネジャーを務めています。 

主な仕事は3つある開発チームにおいてパーソルキャリアとPERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDの協働の推進と円滑化、PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDの従業員の評価や制度整備、事業目標達成に向けた活動全般です。

—そもそも、なぜベトナムではたらくことになったのですか?

民泊サービスのスタートアップ在籍時に、オフショア開発拠点を立ち上げのために渡越したのがきっかけです。高等専門学校を卒業後、地元企業に入社して開発業務に携わっていく中で、上司から「ベトナムに開発拠点をつくる計画があり、トライしてみますか?」と誘われ、ふたつ返事で引き受けました。

—ずいぶんあっさり決められたんですね。

そうですね(笑)。実は学生時代に住んでいた寮で留学生を迎えて手伝いをしたり、フランスやタイの提携している大学に交換留学し、それぞれの地で半年ほど暮らした経験があるので、海外の人たちとコミュニケーションを取ったり、海外で生活したりすることにはまったく抵抗がありませんでした。当時はまだ社会人歴も浅く、責任を感じられるほど視野や視座も高まっていなかったので、あまり深く考えずに、引き受けたと思います。

—とはいえ入社1年目でベトナムでの開発拠点を開くのは大変だったでしょうね。実際にはどんなお仕事を?

まずは現地で見つけたオフィスを回り賃貸契約を結ぶところからはじめ、オフィス環境の整備から現地でのエンジニア採用、会社のルールづくりまで一通りやりました。ベトナム開発拠点が形になってからは、主にバックエンドエンジニアとして開発に携わりながら、現地で採用したベトナム人メンバーと日本にいるメンバーの間を取り持つブリッジエンジニア的な役割も果たしていましたね。

途中、日本側の親会社が変わるという出来事がありましたが、ベトナム開発拠点はそのまま残ることになったため、最大で40人ほどの組織に育てることができました。

開発コスト低減が目的なら立ち上げには参画しなかった

—そんな志田さんはなぜパーソルキャリアに転職したのですか?

2019年に、パーソルキャリアで開発部門のマネジャーを務めていた方から連絡をいただいたのがきっかけです。その方は民泊スタートアップ時代の先輩だったため、私がベトナムで開発拠点を立ち上げたのをご存知で「パーソルキャリアでもベトナムに開発拠点を立ち上げたいので、ご一緒しませんか?」と声をかけていただきました。

ただ、そのときは当時携わっていたプロジェクトが佳境で、引き受けられる状況ではなくお断りしたのですが、サービスのリリースが一段落したタイミングで私から改めてご連絡しました。その結果、改めて転職に向けた話が動きはじめました。

—志田さんとしては、パーソルキャリアではたらくことに対してどんな思いがあったのでしょう?

当初は「ベトナムに内製開発チームをつくりたい」というお話しを受け、引き続き「ベトナムではたらけるなら」という気持ちでした。

一方で、日本よりも低コストで開発できるからという古い図式に組み込まれるのは本位ではありません。そこで正直に「下請け的な立場の開発組織ならやりたくありません」と話したところ、日本のエンジニアと協働する内製チームをつくりたいという答えをもらい、ベトナム開発拠点の立ち上げに加わることにしました。

—志田さんは日本企業がベトナムに開発拠点を置くメリットはどこにあると思われますか?

すでにベトナムの給与水準は上がっていますから、開発コストの削減が目的なら、いまあえてベトナムに開発拠点を築くメリットは限られたものになると思っています。その一方で、いまベトナムでは国を挙げてIT人材の育成に取り組んでおり、高い給与水準に惹かれてIT業界に若く優秀な人材が続々と集まってきているので、日本と比べて格段にエンジニア採用がしやすい状況です。

こうしたメリットを最大限に活かし開発リソースの拡充を狙うのであれば、ベトナムに開発拠点を置く意義は十分あると思います。

—前職から数えて2度目の開発組織の立ち上げです。今回、一番大変だったのは?

これからベトナムの開発拠点の立ち上げ準備に取りかかろうかという直前のことです。ひとり目の出産のため、3カ月間の予定で日本に一時帰国中、COVID-19の世界的な流行によりベトナムに戻れなくなってしまいました。それから約1年間、日本でバックエンドエンジニアとしてはたらきながら渡航制限が解除されるまで待たなければならなかったのは、精神的にもとてもツラかったですね。

—そんなことがあったんですか。

なんとかベトナムには2021年の4月に戻れたので、それからはパーソルグループのセキュリティ基準に準拠したオフィス選びや、ベトナム人エンジニアの採用に奔走し、採用したエンジニアとともにパーソルキャリアの開発業務に加わりながら課題の洗い出しなどに務めました。その結果なんとかPERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDの発足に漕ぎ着けた形です。

ベトナムでの様子

日本とベトナムの距離を縮めるために必要な取り組み

PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED発足から約2年。いまはどんな開発案件を担っているのですか?

いまベトナムには大きく分けて3つの開発部署があります。PERSOL MIRAIZやHRシリーズのHR Forcasterの開発といった、新規サービス開発領域を担う部署と、doda関連プロダクトを開発する部署、またdodaの各サービスに携わる社員が日々の業務で利用する基幹システムを開発する部署です。

—それぞれ開発する対象が異なるようですが、日本の開発チームとベトナムの開発チームのかかわり方についても教えていただけますか?

パーソルキャリアの日本人エンジニアとPERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDのベトナム人エンジニアが同じチームではたらく「混成チーム」と、日本とベトナムで役割分担して開発にあたる「独立チーム」の2つの関わり方があります。

現時点では、新規サービス開発領域の開発については混成チーム中心で、doda関連のプロダクトや基幹システムは、独立チームで対応することが多い状況です。

—開発チーム内での共通言語は何ですか?

PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDには日本語が話せるブリッジエンジニアがいるので、日本人メンバーとのコミュニケーションや仕様書などのドキュメント類は基本的に日本語です。私はベトナム語が話せないので、ベトナムのメンバーとは英語でやり取りしています。

最近は日本語や英語ができないベトナム人エンジニアのために、リモートミーティングツールのリアルタイム翻訳機能を使って対話の機会を増やそうと努力しているところです。

—パーソルキャリアとPERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED、ふたつの開発拠点の違いを感じる場面はありますか?

PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDは立ち上げ間もない組織です。パーソルキャリアの成熟した開発組織と比べると、PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDは業務知識や技術的な経験値が不足している場面はありますが、業務遂行能力に差があると感じたことはないですね。

ベトナムは、国民の平均年齢が若いですし、国力がどんどん伸びているせいか、みなさん非常に前向きです。ベトナム語しかできなかったエンジニアが、日本人エンジニアとコミュニケーションを取ろうと率先して大学の夜間講座に通い英語を身につけるなど、基本的に真面目な方が多い印象があります。

—現状の課題は?

日本人エンジニアとベトナム人エンジニアのコミュニケーション量は着実に増えているものの、ベトナム人エンジニアが、パーソルキャリアで活躍する優秀なエンジニアの知見に直接触れる機会は限られています。モチベーションが非常に高いベトナム人エンジニアのポテンシャルを最大限に引き出し、目に見える成果を残すためにも、こうしたギャップを埋めるのは喫緊の課題といえそうです。

ベトナム開発拠点の成功を通じて事業成長に貢献したい

—志田さんは、PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDを将来的にどんな開発組織にしたいですか?

PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDの社員がパーソルキャリアの事業のコアな部分に関わって、事業推進に貢献する姿を実現したいです。

ゆくゆくは、われわれの施策提案からプロダクトが大きく成長するような状況を作れたら、価値発揮の幅が広がっていき、やりがいが大きくなっていくと思います。また、所属しているベトナム人にも「はたらいて、笑おう。」を実現してほしいなと考えています。こうした未来を実現することは、パーソルキャリアにとっても大きなメリットを生むと思います。

—たとえばどんなメリットがあると思いますか?

現時点で「日本人が利用するサービスは、日本人が開発したほうが効率的」という考えには一理あると思うものの、この先もその考えでいいかといわれれば、必ずしもそうではないだろうと思っています。

日本のエンジニア不足はかなり深刻な状況ですし、人材不足が理由で開発が滞ってしまえば事業成長にも悪影響をおよぼしかねないからです。開発拠点が海外に広がればそのリスクはかなり低減できるはずです。開発体制のグローバル化は、将来パーソルキャリア、ひいてはパーソルグループの成長に大きなメリットをもたらすと信じています。

—ベトナムがその先陣を切っているわけですね。開発体制のグローバル化を進めるために何が必要だと思われますか? 

PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITEDにおいても、パーソルグループの事業に対する理解を深め技術の研鑽に努める必要があるのはいうまでもありませんが、まずはお互いを知る機会を増やしていくことが重要でしょうね。相手を知れば互いを慮ったり助け合ったりすることもできるからです。

パーソルの事業成長に欠かせない重要な戦力となるには、まだまだ乗り越えなければならない壁はありますが、それを実現するのが私たちの務めであり、責務だと確信しています。

—最後に海外ではたらくことに関心があるみなさんにアドバイスをお願いします。

まずは自分が住んでいる国が好きであることが大事だと思います。その国の文化や人が好きでないと、長くはたらくのは難しいからです。私はベトナムのゆったりとした空気感が好きですし、ベトナム語を知らない外国人にも積極的にアプローチしてコミュニケーションを取ろうとするエネルギー溢れる部分も気に入っています。家族もすっかりベトナムでの生活に馴染んでいるので、当面ここを離れる気はありません。これからもベトナムの地に根を張り、ベトナム人エンジニアの存在感を高めていきたいです。

取材・文=グレタケ 武田敏則 
(2024年9月時点の情報です。)

志田共晶Tomoaki Shida
PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED
ゼネラルマネージャー
⺠泊サービスのスタートアップ企業在籍時に、開発リソースを増強する目的で2017年に初渡越。ベトナム現地法人立ち上げに参画し、日本の開発チームと連携しながら、ベトナム人エンジニアと共にWebアプリケーションの開発に従事。その後、どこで暮らしていても「はたらく」を自分で作り出せるようになりたいとの思いから、「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」というパーソルキャリアのミッションに共感し、2020年にパーソルキャリアへ入社。その後、2022年にパーソルキャリア初の海外拠点となるPERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAMの発足メンバーとなる。エンジニアリング組織作りを通じて、現地ベトナムから、日本だけでなくグローバルでのパーソルキャリアのミッション実現に努めている。

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