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ワーケーション制度で「はたらくWell-being」を創造。ワーケーションがもたらす組織の進化

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、多様なはたらき方や学びの機会の提供を通じて、一人ひとりの選択肢やはたらく自由を広げ、個人と社会の幸せを拡げることを目指しています。

多様なはたらき方を推進するための取り組みのひとつとして、パーソルホールディングスなどに所属する約600名の社員を対象に、チーム単位で利用できる「ワーケーション制度」の運用を2023年度から開始しました。 

今回は、ワーケーション制度利用経験者の梅澤、岸本、池田に、ワーケーション利用のきっかけや期間中の過ごし方、実施前後で感じた自身やチームの変化を聞きました。

「ワーケーション制度」とは

ワーケーションとは「Work」と「Vacation」の造語で、観光庁の定義では「テレワークなどを活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすこと」とされています。

パーソルグループでは、リモートワーク下でのはたらき方を前提としたチーム内の関係性向上を目的としたワーケーション制度を2023年度から取り入れています。交通費や施設利用費は全額、宿泊費は11,000円/日まで会社が負担し、3人以上の部門や組織、プロジェクトチームなど、チーム単位で申請し、抽選で参加が可能です。
※ワーケーション実施場所は年度によって異なります

<ワーケーション制度 利用者座談会 参加者>

チーム力強化やマネジメント層の目線合わせにワーケーションを活用

―まずはいつ、どのようなチームで、どこでワーケーションしたのかをお一人ずつ教えてください。

池田:私は、正式にワーケーション制度が始まる前の2023年3月に、トライアルとしてワーケーション制度を利用しました。当時はまだ室長ではなく、所属していた室のメンバーとして、同じ室のメンバー3名とともに利用しました。場所は長野県木曽町です。

木曽町の施設の様子

岸本:私の場合は、パーソルグループ全体のテクノロジー活用を推進するCoE*1に所属する室の室長3名と、部長1名といったマネジメント層の計4名で集まってワーケーション制度を利用しました。場所は、栃木県那須郡那須町で2023年の10月に2泊3日で行いました。

梅澤:私は、2023年の7月に2泊3日で北海道・釧路で行いました。ワーケーション制度はセールス&マーケBITA*2室の8名のチームメンバーで利用しました。

*1 CoE(Core of Excellence):パーソルグループ全体のテクノロジー人材・組織の拡充とともに、事業・サービスでの実装・活用を強化するために組成された組織。2023年4月にパーソルホールディングス内に設置され、グループ各社の技術支援を行っている 。 

*2  BITA:Business IT Architect の略称。ビジネスを理解し、IT 知識を持ち、IT 施策を推進する組織として 2012 年に設置された 

―ワーケーション制度を利用しようと思った理由やきっかけ、そのとき抱いていた課題感などがあれば聞かせてください。

梅澤:私は自分の室を「より強いチームにしたい」という思いでワーケーション制度を利用しました。2023年の1月にメンバーから室長となり、俯瞰でこの室を見るようになりまして。もともと同じ室で仕事をしていたのでメンバーの関係性は良好だと思っていたのですが、マネジメントするようになってから、会社や部の方針を軸に目線は合っていて一見まとまって見えるのに、お互いがなんとなく気を遣いながら仕事をしているような空気を感じるようになりました。

お互いにもう一歩ずつ踏み込めればより建設的なディスカッションができると思い、まずはお互いをより理解する時間としてワーケーションを活用することにしました。

池田:私のチームも梅澤さんと同じように、チームビルディングが主な目的でしたね。当時の室は、デバイス・エンドポイントセキュリティ・拠点ネットワークといった3つのチームに分かれていまして。在籍するメンバーは、社歴の浅いメンバーが非常に多いほか、年次も異なっていました。

しかも同じ室にいるのにチームが違うだけでお互いの業務内容を知らない、いわゆる情報共有が不足している状況もありました。そこでワーケーションの機会に距離感を縮めてコミュニケーションの活性化を図ろうと、社歴が3年程度ある人材と1年未満の人材をミックスしてワーケーション利用に踏み切ったのです。

―岸本さんはマネジメント層でのワーケーションをされたとのことですが、いかがですか?

岸本:CoEの取り組み自体が2023年度から始まったのですが、24年度、25年度を見据えたときに、CoEを成長させ活動の幅を広げるうえで足元をどう固めていくか未確定な部分がありました。

CoEに関わるメンバーを積極採用する全体の方針もあったので、今後CoEがどのような組織であるべきか、マネジメント層で一度話し合い目線を合わせておくべきだと各々が思っていたはずです。ただ、日常業務中にマネージャー層全員で時間を確保することは難しく、集中的に合宿ができないか?という話が挙がり、ワーケーション制度を利用することになりました。

チームメンバーにがっつり向き合い、理解し合うワーケーション

―ワーケーション中、通常業務の調整はどうされましたか? 

岸本:まとまった時間を同じタイミングで確保するのは難しかったので、「この時間は確実に空けておこう」という時間を事前に参加メンバーで共有していました。今回の場合は、ワーケーション初日の夕食前の数時間、2日目に3時間、最終日に1時間と集まる時間を決めて、トータル4〜5時間は全員で集まってワークできる時間にしましたね。

梅澤:私のチームは、ワーケーション期間中の3日間は通常業務を持ち込まないように事前に伝えていて、全員が「チームメンバーをより理解すること」に集中できるよう業務を調整して臨みました。とはいえ、緊急のミーティングや急遽こなすべき仕事が発生した場合に備えて、1日に1時間ほどは個人の作業時間も確保しましたよ。

池田:トライアルの期間だったので……と軽く言い訳させてもらいながらお話しすると、私たちのチームは特に業務量について話し合うことなく各メンバーがワーケーションに臨みました。その結果、がっつり通常業務を持ってきたパターンと、私を含め業務量を調整して持ち込まなかったパターンで分かれてしまって、待ちぼうけの時間ができてしまったのは反省点ですね。これからまた制度を利用するならば、業務調整に関するメンバー間の認識は合わせておくべきだと思います。

―これから制度を利用する社員にも参考になりそうですね。次に、ワーケーション期間中の大まかなスケジュールと、実施したプログラムやワークを教えてください。

岸本:私たちの場合は3日間それぞれの通常業務をこなしながら、全員が集まった時間にワークを行いました。ワークの内容としては「今後のCoEのあり方」をテーマに、それぞれ用意してきた資料を活用しながら各々が描くCoEの将来像や室のあり方を言語化してディスカッションしました。

言語化することで自分のなかのイメージがクリアになりましたし、ほかの室長や部長がどのように考えているのかを視覚的に確認しながら、24年度、25年度のCoEのあり方や目指す姿をお互いの意見や考えを組み合わせて全員で描いていきました。ここで議論したものをもとに、ワーケーション終了後に1つの方向性としてまとめ、今後CoEとして目指していく方向性の元となるものを創造できたと振り返ります。

梅澤:私のチームは、3日ともがっつりプログラムを組みました。初日は、キックオフとして全体オリエンテーションを行った後、アイスブレイクとして業務は行わずにトランプなどのゲームをひたすらメンバーで楽しみ、とにかくチームメンバーと一緒に過ごす、仲良くなる時間に充てました。

2日目は、相互理解を深めるためのコンテンツを持ってきて、それぞれが大事にしている価値観や今の組織に対して思うことをペアで共有し合うワークをしっかり行いました。最終日は、ワーケーションの振り返りとして期間中の気付きや率直な感想を共有し合うワークを行う、という流れでしたね。

ほかにも、食事の時間など釧路にある観光コンテンツも取り入れ、往復の飛行機も座席を組んでと、まるで「大人の修学旅行」のようにメンバー同士がしっかり向き合う時間になったと思います。

ワーケーション時の様子

―「相互理解を深めるためのコンテンツ」のなかで特に有効だったと感じるワークがあれば、ぜひ聞きたいです。 

梅澤:そうですね。特に有効だったと思うのは、40種類の価値観が書き出されたワークシートを見て、その中から自分が特に大切にしている価値観5つと、そうでない5つを選び、お互いに考え方を共有し合うペアワークです。何度かペアを変えながら、なぜそれらを大切、あるいはそうでないと考えているのか時間をたっぷりとって話し合いました。

ワーク後は、お互いに根本的な価値観が理解できて非常に良かったです。振り返りの際にも「みんなのことがよくわかった」「実はもやもやがあったが、晴れた」などという声が多々挙がり、みんなすっきりとした表情でしたよ。

―価値観を理解し合うと日々のコミュニケーションの質が上がりそうですね。池田さんはトライアルとして制度を利用したとのことでしたが、期間中にプログラムなどはありましたか?

池田:はい。人事部門でいろいろと企画を用意してくれていました。当時の木曽町はかなり雪が深かったので観光はできなかったのですが、雪の中で焚き火をしながら通常業務に取り組んだり、テントの中で仕事をしたり、参加メンバーで雪山を散歩したりしました。

こうしたプログラム中はもちろんですが、仕事以外の時間もメンバーと一緒に過ごすことでかなりの時間をともに過ごせ、ふだんなかなかできない深い話までできたのが良かったですね。

ワーケーション後、チームの変化を実感「コミュニケーションの質が上がった」

―ワーケーションを実施して、組織やチームに変化はありましたか?

池田:リモートワークだとなかなかチームメンバーと雑談する機会はないかなと思います。期間中は、お互いの業務について情報を共有したり、時には本心を明かしたりと、心理的安全性が取れるチーム力を養えたと感じました。

これは棚ぼただったのですが、同期間に同じ施設でワーケーションしていた総務室のメンバーや、トライアル期間中という理由で付き添いで来ていた人事部門のメンバーなどと部門を超えて密にコミュニケーションをとれたのも良かったです。特に、総務室とは日々の業務を遂行するうえで連携が非常に重要でして。デバイスの手配や発注を総務室が行い、デバイスの選定や設定などは我々が担当しています。

ワーケーションで初めて対面でお会いする方もいて、仕事に関する悩みを打ち明けたり、相談し合ったりと思いがけず有意義な時間が過ごせましたし、今に繋がる良い関係性が構築できたと感じます。

梅澤:私の室もコミュニケーションに変化があったと思いますね。メンバー内でコミュニケーションを取る際に私自身含めて「こう発言すると、こんな反応が返ってきそう…」などと、余計なことを推測したりアクションを取ったりしなくなった気がしていて。変に気を遣ったり、勘ぐったりしなくても、「この人はこういう価値観を大切にしてるから、そういうふうに発言したんだな」と自分のなかで納得して切り替えやすくなったので、お互いのコミュニケーションの質が上がりましたし、速くなったと感じます。私自身の変化としては、メンバーにこれまで以上に業務移譲しやすくなって、業務効率が上がったと思いますね。

岸本:私の場合は、マネジメント層での利用だったため、ワーケーション前からある程度相互理解している関係性ではありましたが、組織に対する思いや考え方、今後ありたい室の姿、お互いの組織との理想的な関わり方、今の課題と解決に向けた動きなど、ワーク以外の時間でもじっくりと話す機会を持てたのは良かったですね。

マネジメント層ならではの課題を出し合って、私たちがどうはたらきかけることで解決していくか、CoEとしての活動を拡大するためにグループ各社の人材をどのように巻き込んでプロジェクトを成功させるか、といった踏み込んだ会話がじっくりできました。ワーケーション期間が今のCoE活動の方向性の根幹になっていると思います。

さまざまなチーム課題をブレークスルーさせるワーケーション制度

―遠方に赴いて行うワーケーション制度ならではのメリットがあれば教えてください。 

池田:普段とは異なる環境という点が刺激となり、集中力が高まったように感じます。自然を感じリフレッシュできる環境だったこともあり、集中力が高まり、いつもとは異なるアイディアが出るように感じました。 

また、リフレッシュできる環境だったので、ざっくばらんに参加メンバーとコミュニケーションが取れたように感じます。その効果なのか、振り返りの際には参加メンバーへの思いや感謝を伝える方が多かったようにも思います。 

梅澤:「生活圏から離れてチームメンバーと過ごす」ということに意義があるように感じます。ワーケーション中はともに時間を過ごすので、必然的にコミュニケーション量も増えたように感じます。 

釧路の街並み

―もう一度ワーケーションをしたいと思いますか?

岸本:やっぱりこの取り組みはとても意義があると感じましたし、梅澤さんや池田さんのお話を聞いていると同じチームメンバーで行う効果は大きいなと感じました。今回はマネジメント層でのワーケーションでしたが、ぜひ私の室や部のメンバーでもワーケーションしてみたいですね。

真っ先に思ったのは、梅澤さんが言っていた価値観を共有し合うプログラムをそのままやりたいです(笑)。2024年度も新しいメンバーがチームに増えていますし、既存メンバーと新メンバーで、もっとお互いを知る、知ったうえでコミュニケーションを円滑化して、心理的安全性を確保できるような、そんな目的でワーケーションができればなと思います。
 

―ワーケーション制度を振り返って「もっとこうしておけばより良かった」というポイントはありますか?これからワーケーション制度を利用する社員にアドバイスをお願いします。

池田:参加するメンバーで、ワーケーション利用の目的を明確にしておくことが重要だと感じました。参加者同士で共通認識を持っておくことで、実施するコンテンツの満足度が格段に変わると思います。

岸本:議論の時間は確保できるだけしておくべきだなと感じました。時間あればあるだけ、もっと議題を深堀りできたように感じます。

梅澤:岸本さんの意見には同感です。通常業務は東京に置いていくべきですね(笑)。あとは実施するコンテンツは事前に企画し、準備していった方が良いです。コンテンツの質がワーケーションの質に直結するようにも感じました。

社員のはたらくモチベーションアップにつながり、「はたらいて、笑おう。」の実現へ

―最後に、ワーケーション制度はパーソルホールディングスの「はたらくWell-being」にどのように寄与していると思いますか?

岸本:ワーケーション制度は、福利厚生とはまた違った社員に対する制度だと理解していて、私たちのはたらき方の選択肢を広げてくれるものだと思います。この選択肢があること自体、パーソルホールディングスの魅力そのものにつながり、「はたらきたい」と思ってもらえる1つの要素になるのではないでしょうか。

梅澤:COVID-19をきっかけに、新しいはたらき方としてリモートワークが増えたことでどうしてもコミュニケーションが希薄になってしまう部分はありますよね。そんななか、ワーケーション制度を通してチーム力を強化できたのは良かったです。

パーソルグループは、多様性を尊重するはたらきかけをしています。多様性を尊重するためにも、まず身近な仲間を知ることができるワーケーション制度はとても意義のある取り組みだと思います。

池田:ワーケーション制度は、パーソルグループのビジョン「はたらいて、笑おう」に寄与していると感じます。

中期経営計画2026のなかの「2030年に向けた想い」では、「“自分のはたらくは、自分で決める”の実現で、 “はたらくWell-being”を創造していく」という言葉があります。ワーケーション制度を含めて、はたらき方を自ら選択することで「Well-being」につながり、それが社員のモチベーションや笑顔につながれば最終的にビジョンの「はたらいて、笑おう」が実現できると思います。その結果、会社全体が活気づき社会により一層貢献できるのではないでしょうか。

取材・文=ファーストブリッジ 宮口佑香
(2024年10月時点の情報です。)

梅澤幸治Koji Umezawa
パーソルホールディングス株式会社
グループデジタル変革推進本部 ビジネスITアーキテクト部
セールス&マーケBITA室 兼
データ利活用BITA室 室長
1997年、新卒で食品メーカーに営業職で入社。量販店への自社商品の販売や売り場提案、NB・PB商品の開発などを行う。2005年にSI会社に転職し、プログラマー・エンジニアとしてシステム開発に従事。2006年にパーソルプロセス&テクノロジーに転職し、パーソルグループで使用する各種システムの設計〜運用、マネジメント業務に従事。2016年には自社プロダクト「MITERAS勤怠」の立ち上げプロジェクトに参画し、外販向けのプリセールスおよびPMとして25社への導入にも携わる。2021年10月にパーソルホールディングスへ転籍。現在は、セールス&マーケBITA室・データ利活用BITA室の室長を務める。
岸本昌之Masashi Kishimoto
パーソルホールディングス株式会社
グループデジタル変革推進本部 DX企画部
SBUデジタル企画室 室長 兼
グループテクノロジー推進本部 テクノロジー横断部
DX横断室
メーカー系SIerへ入社後、製造・流通業の業務システム(販売管理、生産管理、SCM、会計)の開発・インテグレーション経験を経て、PMやプリセールスとして現状分析や課題抽出による案件獲得活動に従事。ユーザー事業が変容・変革する瞬間に携わりたい、という手触り感を求め、2023年2月パーソルホールディングスへ入社。 アジャイルでの価値提供やデータ利活用を軸にグループ各社のDX推進を担う。
池田和俊Kazutoshi Ikeda
パーソルホールディングス株式会社
グループIT本部 ワークスタイルインフラ部
ユーザーインフラ室 室長
2008年からSIerでプロジェクトマネージャーとして幅広く活動し、2020年にパーソルホールディングスに入社。現在、グループ社員が利用するスマホ管理システムのプロダクトオーナーを担当。スマホを活用した安全な業務環境の実現と大規模なシステム展開に従事。

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