【勉強会開催レポート】「現状維持?管理職?スペシャリスト?」わたしのキャリアを切り拓く、意思決定の思考プロセスを学ぶ90分 #PERSOL_WomenTech

2025年3月17日(月)、パーソルホールディングスが主催する勉強会『「現状維持?管理職?スペシャリスト?」わたしのキャリアを切り拓く、意思決定の思考プロセスを学ぶ90分 #PERSOL_WomenTech』に、パーソルホールディングスの朝比奈ゆり子、鷲田智子、清水涼子が登壇しました。

「管理職に進むべきか」「スペシャリストとして極めるべきか」、もしくは「現状維持がベストなのか」。女性 IT人材のキャリアの分岐点をテーマに、パーソルホールディングスで活躍する3人の女性IT人材がどのように自身のキャリアを切り開いたのか、最適な道を見極める思考プロセスを深掘りし、意思決定の基準をご紹介しました。 今回は、当日お話しした内容から一部抜粋・編集の上でご紹介します。

※本記事に記載している情報は、2025年3月時点のものです。

エンジニアから管理職を選択した意思決定の思考プロセス

最初に登壇したのは、パーソルホールディングスの朝比奈だ。90年代からITに関わる仕事をしてきた朝比奈。キャリアの変遷をまとめたのが次の図だ。

「エンジニア、ビジネスアナリストを経て、今はマネジメント。これをみれば分かるとおり、平坦な道ではありませんでした」(朝比奈)

朝比奈が最初に入社したのは外資系プロジェクトマネジメントソリューションベンダー。約15年在籍したが、後半は「キャリアに迷っていた」と明かす。そこで「プロダクトマーケがやりたいと手を挙げた」という。すると年俸が160万円下がった。

プロダクトマーケでも成果が出なかったので、次は経理をやりたいと手を挙げた。「さらに年俸が100万円下がりました」と苦笑を浮かべる。しかしここで気づきもあったという。「外資はしょっちゅうM&Aされる」ということ。この会社でやり尽くしたと思った朝比奈氏は、38歳の時に外資系ITセキュリティ会社に転職した。

職種はビジネスアナリスト(BA)。「天職だと思いました」と朝比奈は言う。BAを軸にキャリアを築いていたが、当時の会社もM&Aされることになったという。

「私は本社のラインに残ったのですが、その他のメンバーは全員解雇ですという通達が出たのです。そのメンバーを抱えて、PMI(Post Merger Integration)を務めなければなりませんでした。解雇が決まっているメンバーを率いてPMIをやる。精神的に辛く、なぜ、そういう意思決定をするのか、本社に乗り込んで直談判したこともありました」(朝比奈)

PMIをやりきり、当時のメンバーもそれぞれ転職先が決まったところで、朝比奈も転職する。それがパーソルキャリア(当時はインテリジェンス)である。パーソルキャリアでは組織作りなどいろいろな経験を経て、4年後にパーソルホールディングスに異動。新規の会社の立ち上げなども担った。

朝比奈は自身のキャリアを振り返り、すごくつらい経験をしたその先に、転換期があったと話す。最初の転換期は自らの迷いにより、経理や人事・総務を経験したことだ。

「この経験があったから、転職後、情報システム部門のBAとして活躍できた」と話す。SOX(サーベンス・オクスリー法)に対応したセキュリティの構築やERP導入なども経験。「前職で散らかしていたスキルが自分の血肉になっていた」と話す。

またM&A後の外資系ITセキュリティ会社では、本社に乗り込んだことで、マネジメントの考え方が変わったという。

「それまでは組織やメンバーのことをあまり考えたことがありませんでした。ですが、この経験をきっかけに、チームで働きたいという自分の思いに気づきました」(朝比奈)

そのチームが解散となったことが、朝比奈を転職へと促したのである。

「パーソルホールディングスに異動してからも、数人の社員の退社を見送ったりしたことで、組織はみんなによかれと思って努力しているのに、組織のビジョンや自律的に働く仕組みがないと簡単に壊れることを痛感しました」(朝比奈)

一見、回り道をしたように見える朝比奈のキャリアだが、以下のように語っている。

「その回り道があったからこそ、今は大きな組織をみることができています。私のように真剣に迷って、つまずくたびにできる選択をしてキャリアを築いていく例もあります。だから悩んだ方が良い。その先に自分らしいキャリアが見つかると思うんです。また、やりたいことをやるためには、役職を上げてしまうということも選択肢のひとつです。そうすることでやれることの範囲もぐっと増えますよ!」(朝比奈)

管理職・スペシャリスト、それぞれの道を選んだ3名の意思決定の思考プロセスを学ぶトークセッション

朝比奈のセッション終了後、管理職を代表してパーソルホールディングスの鷲田、スペシャリストを代表してパーソルホールディングスの清水を交えたトークセッションが始まった。

鷲田は大手通信会社に新卒で入社し、法人営業・事業計画に従事。その後外資系コンサルを経て、外資系通信会社でセキュリティを担当。2017年4月にパーソルホールディングスへ入社し、現在はグループ全体のセキュリティガバナンス推進を担当する部門で管理職として従事している。

清水は2000年からメーカー勤務を経て2004年にアプリケーション開発エンジニア、2008年から約10年に渡り、金融系サービス業のシステム運用保守体制の構築と改善に携わり、2018年から情報サービス業の内部監査部門でシステム監査を担当。2022年にパーソルホールディングスへ入社、ITガバナンスの向上を目的とした組織の評価・改善を推進するスペシャリストとして従事している。

まず、前置きとして今回の参加申し込み者に向けたキャリアに関するアンケートの結果を紹介した。「現在、キャリアに関してどのようなことを考えていますか」の問いに対しては、最も多かったのが「キャリアの方向性に迷っている」という回答だ。

「キャリアの意思決定において、どのようなことを不安に感じていますか」という問いに対しては、「自分の影響力やセルフブランディングが足りないと感じる」という回答が最も多かった。トークセッションはこれらのことも踏まえて進めることになった。

なぜ、今の道を選んだのか?

トークセッションのテーマは大きく2つ。最初のテーマは「なぜ今の道を選んだのか? IT職の管理職・スペシャリストのリアルな決断」だ。

清水:転換点はIT職に進んだこと、専門職を選択したことの2つです。新卒で入社したのは10人ぐらいの精密機械のベンチャー企業。元々文系でドイツ語学科出身だった私の志望はテレビ局でした。

しかし、就職氷河期で50社くらい落ちました。志望業界とは異なる会社への入社でしたが、すごくいい経験が出来ました。お客さまの企業に伺い、製品の修理を行った際はいつも年配の管理職の方に丁寧に感謝いただき、新人の自分でも役に立てると自信をもつことができました。

ただ、入社して4年ほど経った頃、今後のキャリアや人生を考えた時にスキル・適性などに限界を感じ、転職を決意。そこで選んだのがIT職です。当時はIT業界が急成長していた時代で、未経験でしたがソフトハウスに入社しました。

3年半金融系システムの開発や保守に携わりましたが、残業が多く、毎日タクシー帰り。土日も休めなかったため、転職を検討しました。そして、30歳のときに転職。金融系サービス業でシステム運用保守体制の構築と改善に携わりました。

ここで良かったのは、マネジメントやガバナンスにつながる経験ができたことです。しかし、客先常駐の状態が続いたことで自社との距離ができてしまい、評価にもなかなかつながりませんでした。そこで、前職での経験を活かして、情報サービス業の内部監査部門に転職。業務の視野は広がりましたが、もっとキャリアを積みたくなり、パーソルホールディングスに転職しました。

朝比奈:今のポジションを選んだ理由は何ですか?

清水:ITガバナンスの改善をしたいと思っていたところ、それを仕事としてちゃんと謳っていたのがパーソルホールディングスでした。業務の専門性を突き詰めたいと思ったからです。

朝比奈:鷲田さんも今に至るまでのお話をお聞かせください。

鷲田:キャリアに悩んでいない人はいないと思います。ですが、自分が新卒の時はキャリアのコトなんて何も考えていませんでしたね。20代はがむしゃらに働いて、30歳になる前にふと考えて、一度、社会人を辞め、小さいときからやりたかったことに挑戦することにしました。

その後、社会人に戻りましたが、なかなかうまく進みませんでした。平日は派遣社員として働き、土日はバイトする生活。物理的に前に進みたいと思い、マラソンやトレランにはまったりもしました。

そうしているうちに、派遣先の会社に転職。その後転職した外資系通信会社ではセキュリティを担当。パーソルホールディングスにはそのときの経験を活かしてスペシャリストとして入社しました。それなのになぜ管理職をやっているかというと、上司が辞めて、やってみないかと言われたためです。最初は不安でしたが、やって良かったと思っています。

管理職とスペシャリストに求められるスキルに違いはあるのか?

朝比奈:次のテーマに進みましょう。「管理職vsスペシャリスト それぞれのリアルと求められるスキルの違い」について。管理職とスペシャリストのスキルに違いはあると感じていますか。

鷲田:私は今管理職という立場にいるので、その立場から見えることをお話させていただくと、管理職とスペシャリストのスキルに違いを感じることはありません。私の部署にはメンバーが8人いるのですが、パフォーマンスをうまく発揮させるために、自分たちのやっていることをしっかり理解するようにしています。

朝比奈:スペシャリストは、人の差配はしないのでしょうか。

清水:私はスペシャリストという立場にいるので、スペシャリストとしてお答えすると、人の差配はしません。ですが、メンバーの育成や業務のとりまとめは、私が担当しています。大きな違いは管理職には権限があること。例えば部門内で衝突があったときは、管理職でしか裁けないことがあります。私はメンバーの話を聞くことはできますが、まとめることは管理職が担当しています。

朝比奈:組織のマネジメントをしたいと思いますか。

清水:たまにあります。チームのルールや秩序を保とうと思ったときに、責任者が決断、意思決定することでしか治められない場面があると思います。

朝比奈:鷲田さんはスペシャリストから管理職になっていかがですか。

鷲田:メンバーのコンディションが悪いときは大変なこともありますが、アドバイスなどによりコンディションが上向くとやりがいを感じます。組織としてはたらくことができているという実感もあります。そこが面白さですね。

朝比奈:個人に求められる資質に違いを感じますか。

清水:プロジェクトに専念したいか、マネジメントとして組織を俯瞰しながら調整したいか、という違いで変わると思います。また管理職は一歩引いてみる姿勢も大事。それができる人はすごいと思います。

鷲田:スキルセットとしてはどちらも持っていた方がうまく回せると思います。パーソルの場合は、管理職がプロジェクトを動かすこともあるので。逆にスペシャリストがメンバーの育成に携わることもあります。

あえて区別するとしたら、スペシャリストはチームのエースとして自分の正しいと思うことに向かって突き進める人。管理職は自分が正しいと思っても、相手が言っていることを受け止めることも必要です。管理職はそういうバランス力がより求められると思います。

朝比奈:最後にこれからのキャリア、ビジョンの展望を教えてください。

清水:機会があればマネジメントを経験してみたいです。より組織を俯瞰で見て、変えていくことができればいいなと思います。

鷲田:会社を良くしたり、課題が解決できたりするような人材を育成することにこれからも取り組んでいきたいですね。

朝比奈:自分が正しいと思うことをやりやすくして、自分が嫌だと思うマネジメントを変えたいと思うのなら、ポジションを上げていくのを目指すのもよいです。やりたいことがやりやすくなります(笑)。そういうことをモチベーションにポジションを上げていくことにトライしてもいいかなと思います。

まとめ

トークセッション後の交流会では、参加者が3テーブルに分かれ女性IT人材のキャリアについて意見を交換しました。女性IT人材に特化したキャリアを語る場は多くないことから、「さまざまな会社、ポジションの方と話せて、刺激になった」という声が多数寄せられ、非常に盛り上がった時間となりました。

パーソルホールディングスでは引き続き、女性IT人材向けのイベントを企画・実行していく予定です。 ※レポート内容はイベント開催日時点の情報です。

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