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【後編】テクノロジーの力で心地よく、楽しくはたらける環境を作る

パーソルグループは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現に向けたテクノロジー戦略の一つとして、環境のデジタル化によって従業員体験(EX)を良化することを掲げています。

今回は、この“はたらく環境の進化”を支えるグループIT本部で、本部長を務める渡辺にインタビュー。グループIT本部としての戦略と具体的な取り組みについて話を聞きました。

【前編】はこちら→「はたらいて、笑おう。」の実現に向けて“安心してはたらける環境”で取り組むこと

社員を見て、「社員にとって使いやすい環境とは何か」を考えながらITサービスを提供する

―まずは、グループ中期経営計画2026をふまえて、グループIT本部が担う役割について聞かせてください。

中期経営計画2026とその実現に向けたテクノロジー戦略においては、環境のデジタル化による「従業員体験の良化」を強く打ち出しており、この部分がまさにグループIT本部が担う役割です。細やかな取り組みによる短期での良化と、長い時間軸の中での不連続かつ劇的な良化の両方に取り組んでいきます。

中でも特に期待されているのは、社員のことを見て「社員にとって使いやすい環境とは何か」を考えながらITサービスを提供していくことです。ただ単に使いやすいだけでなく、お客様の大切な個人情報をしっかりと守れるようシステム側で制御がなされ、安心して使える。そんな状態を実現し、圧倒的な生産性を作っていくことが求められます。

―従業員体験(EX)の良化に、どのような戦略で取り組んでいこうと考えていますか。

グループIT本部が扱うのは、インフラやセキュリティ、ITガバナンス、セキュリティガバナンスといった社員からは見えづらい領域ではありますが、ここにしっかりと取り組むことと“見せていくこと”の両輪を意識したいと考えています。

―“見せる”とは

言い換えると、社員との距離が近い、見えやすい領域との連携や融合です。

インフラとアプリケーションを切り分ける考え方が果たして正しいのかというと、疑問が残ります。例えばデバイスというとインフラにあたりますが、社員が実際に触れるものという観点では“インフラ”に収まるものではありません。また昨今流行しているChatGPTについても、表面的にはUI・UX、つまりアプリケーションの領域ですが、裏で動く基盤に関してはインフラ領域にあたりますよね。

こうした前提のもと、インフラとアプリケーションを切り分けず、組み合わせて一気通貫で見れば、出せるスピードが大きく変わると思うのです。アプリケーション担当がやりたいことをインフラ担当に相談し、そのインフラ担当がセキュリティ担当に相談して……という世界ではなく、両者が融合して協力して取り組んでいくことを戦略として掲げています。

―現段階で、両者の融合の動きは生まれていますか?

現在は、グループ共通のアプリケーションの実装やDXを中心に担当する「グループデジタル変革推進本部」とグループ共通のITマネジメント・インフラ・セキュリティを中心に担当する「グループIT本部」があり、両者の協力を当たり前のものと思える土壌ができてきています。互いの領域に線を引かず「社員に最高のITサービスを提供する」という目的に立ち返り、一緒に進めた方が早いものは一緒に、どちらかが一気に進めた方がいいものは単独で集中して進める。そういったスムーズな動き方ができているので、今後も継続していきたいところです。

従業員体験の良化に向け、堅牢な“守り”と積極的な“攻め”の両立を

―お聞きしてきた戦略のもと、どのようなことに取り組んでいくのですか?

従業員体験の良化に向け、「IT環境・インフラの進化」を一つの大きなテーマとしています。このテーマについては、次世代ネットワークやクラウドシフトなど、土台となるデジタル基盤を整備することと、より社員に近い部分でワークスタイルを変革していくこと、これらの2階建ての構造で進めます。

また人材サービスを提供する会社として、「IT・セキュリティガバナンスの進化」にもしっかりと力を入れて取り組んでいきます。

―それぞれのテーマについて詳しく教えてください。まず「IT環境・インフラの進化」については、どのような取り組みを進めていこうと考えていますか?

「はたらく環境をいかに良くするか」という問いのもと、社員にとってのちょっとしたストレスを解消していくこと、それによって生産性を高め、より人間が活躍すべき領域に時間を使えるようにしていくことに取り組みます。

例えば情報の検索一つをとっても時間がかかりますし、検索によって得られる情報には人によって差があります。これに対して「この基盤とアプリを使い、ここのデータを参照すれば、情報漏洩のリスクなく情報の検索ができる」といった組み合わせを提供することで、必要な情報がすぐに入手でき、それをもとに効果的な顧客提案がすばやく行える、そんな世界を作っていきたいのです。

そのためには、“組み合わせ”と表現したように、アプリの表面的な部分が使いやすい・見やすいだけでなく、裏側にあるインフラやデータまで含めたセキュアでシームレスなデジタル基盤を整えていくことが大切になると捉えています。

―「IT・セキュリティガバナンスの進化」についてはいかがですか?

想像していただきやすいのは、セキュリティガバナンスにまつわる取り組みでしょう。外部からの攻撃を防ぐとともに、有事の際に検知・復旧すること、グループ内でインシデントがあった際に、グループ各社では受容できないリスクにホールディングスが対応すること。こういった、リスクをコントロールする“守り”の動きに確実に取り組んでいきます。

ただ中期経営計画2026のもとでは、この“守り”のガバナンスだけでなく、“攻め”のガバナンスも大切にしていこうと考えています。

―“攻めのガバナンス”とは、具体的にどのような取り組みになるのでしょうか?

「IT投資が、未来に向けた視点もふまえて正しく使われているのか」「IT戦略が“テクノロジードリブンの人材企業”への進化に資するものであり、事業戦略と結びついているのか」、こういったことをしっかりと考えて事業に貢献していく、ITガバナンスの領域です。現在は、「各事業の経営が投資すべきところに投資できているか」を”見える化”して検討し、できていない部分を改善することに取り組もうとしています。

コミュニケーションを大切に、社員と向き合う組織へ

―取り組みを進めていくにあたり、グループIT本部の現在地や課題をどのように捉えていますか?

「社員にとって使いやすい環境とは何か」を考えて仕事をするには、社員のことをよく理解していなければいけませんが、すべてを理解するのは難しいはずです。だからこそ、社員のことを知っている他組織の方々としっかりと対話することが必要だと考えています。

現在のグループIT本部は、そういった軸となるコミュニケーションの部分にまだ成長の余地があるかなと。外を向いてコミュニケーションをとり、社員に向き合うことや「こういったことを実現したいから協力してください」と自信を持ってお願いしにいくことを、より大切にしたいですね。組織としての変化の兆しは間違いなく見えているので、今後も継続していきたいところです。

―最後に、グループIT本部としてパーソルグループにどのような影響を与えていきたいか、今後の展望をお聞かせください。

テクノロジーの力ではたらく上でのストレスを解消し、エネルギーの無駄を排除していきたいと思っています。それによって、社員の皆さんにとって本当に心地よく、楽しくはたらける環境を作りたいですし、将来的には入社される方に「この会社すごいな」「こんなにシステムが揃えられて、はたらく環境が整っているんだ」と思っていただける会社にしていきたいですね。

またこれらを国内の一部の話にとどめず、国内と国外の融合も進めていけると、より面白い世界が広がるのではないかなと思います。

―今後TECH DOORでも、引き続きグループIT本部、そして渡辺さんの取り組みを取り上げていけたらと思います。ありがとうございました!

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)
(2023年10月時点の情報です。)

渡辺良夫Yoshio Watanabe
パーソルホールディングス株式会社 ​
グループIT本部
本部長​
2000年早稲田大学大学院を卒業、米系投資銀行のIT部門でキャリアをスタート。日系の証券会社を経て、2017年11月にパーソルホールディングスに入社。IT戦略やIT予算、海外子会社を含むグループ全体のITガバナンスの設計など幅広く担当。2020年より、システム・スキル軸の組織から価値ドリブンの組織への変革を目指し、アジャイルマインドの浸透や、アジャイル組織運営を実現するためのプロセスの構築に取り組んでいる。2023年7月より現職。​

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